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介護サービス、「各事業者の適切な選択で」 ── 令和3年度改定の審議で武久会長

Posted By araihiro On 2020年12月10日 @ 11:11 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 令和3年度の介護報酬改定に向けて日本慢性期医療協会の武久洋三会長は12月9日、介護サービスについて「各事業者が適切に選択して介護を行うべき」との認識を示した。グループホームの夜勤職員やユニット定員をめぐり再審議となった運営基準等の改正案は大筋で了承され、パブリックコメントなどの手続きを進める方針でまとまった。

 厚生労働省は同日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の第196回会合をオンライン形式で開催し、継続審議となっていた運営基準等の改正案などを審議した。

 前回12月2日の会合では、グループホームの夜勤職員やユニット定員に関する方針に反対意見があり、改めて審議することになっていた。
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「前回から少し工夫させていただいた」

 グループホームの夜勤職員の配置について、厚労省老健局の笹子宗一郎課長は「前回から少し工夫させていただいた」とし、例外的に配置を緩和する場合の要件を具体的に提示。職員が円滑に利用者の状況を把握し、速やかに対応できる構造などを求めた。

 また、各事業所が夜勤職員体制を選択できるようにするほか、3ユニットで夜勤職員2人とする場合の報酬を別途設定。施行後の状況を把握・検証し、次回の令和6年度改定に向けて必要な対応を検討していく方針などを説明した。
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01スライド_P2抜粋_【資料1】認知症対応型共同生活介護2_20201209介護給付費分科会

             2020年12月9日の介護給付費分科会「資料1」P2から抜粋
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原則として10人以下という原則は変えない

 ユニット定員を15人とする見直しについて、厚労省老健局の齋藤良太課長は「ケアの質の確保にどのように取り組むのかという点について宿題になっていた」と前回の議論を振り返り、まず省令のイメージを提示。「原則としておおむね10人以下という原則の部分を変えることはせず、上限を15人として設定するような形で規定したいと考えている」と説明した。

 その上で、省令の附則に事業者の努力義務規定を設ける方針を提示。「ケアの質の低下や職員の過度な負担にならないように、新規に10人超のユニットを整備する施設については、夜間・深夜を含めた介護職員と看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するよう努めることなどを想定している」と理解を求めた。

 努力義務規定の施行に当たっては、定員を超える施設に対し都道府県への届け出などを求めるほか、「適切な運営や指導が行われているか検証し、必要に応じて制度の見直しを行う」としている。
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02スライド_P3抜粋_【資料2】介護老人福祉施設2_20201209介護給付費分科会

             2020年12月9日の介護給付費分科会「資料2」P3から抜粋
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全体のバランスを取らなければいけない

 グループホームについて武久会長は前回会合で、「入所して間もない場合には状態が少し不安定な人もいるが、慣れてくると非常に環境が良く、ほとんどの方々は安定した生活をされている」と説明した。

 今回の会合では特養との比較を示し、「グループホームよりも特養のほうが異常行動もある」とし、「全体のバランスをある程度は取らなければいけない」との考えを示した。

 その上で武久会長は、「今回の対応案は基本的には3名だが2名にすることもできるという条件付きとなっている。各事業者が適切に選択して介護を行うということでいいのではないか」と厚労省案に賛同した。

 武久会長の発言要旨は以下のとおり。

〇武久洋三会長
 特養、老健、介護医療院、グループホーム、小規模多機能等を実際に運営している者の立場からお話をさせていただく。
 特養100ベットのユニットケアは5人の夜勤者で業務を回している。平均要介護度は4以上である。老健に関してもそのような傾向がある。私が運営している老健は個室が多いが、その分だけ、少し多めに夜勤を増やしている。
 特養の入所者とグループホーム等の入所者の認知症の程度がどのぐらい差があるかと言うと、私どもの場合は、認知症グループホームよりも特養のほうが認知症の程度が非常に高く、異常行動もある。
 介護保険というのは公的保険であるから、サービスごとに極端な差があってはいけないと思うし、全体的なバランスを考えていくことも非常に重要であると思う。
 グループホームのように、例えば9人のユニットが2つあると、その夜勤を1人にするということは現実問題として非常に厳しい。
 ほかの特養や老健の夜勤者と比べて、夜勤業務をしている職員の負担を考えると、全体のバランスというのは、ある程度は取らなければいけないと思う。
 夜勤者数を増やしても、安定している時には2人でもよいという条件付きであればいいのではないか。今回の対応案は、基本的には3名だが2名にすることもできるという条件付きである。現場からの発信として、私は各事業者が適切に選択して介護を行うということでよいのではないかと思っている。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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