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「100%の医療機関がコロナの影響を受けている」 ── 池端副会長が中医協総会に初参加

Posted By araihiro On 2020年8月20日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は8月19日付けで中央社会保険医療協議会(中医協)の委員に就任し、同日の総会に初めて参加した。新型コロナウイルスを踏まえた対応をめぐる議論で池端副会長は「100%の医療機関がコロナの影響を受けている」と述べ、経過措置の延長などについて支払側の理解を求めた。

 厚生労働省は同日、中医協総会(会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)の第464回会合をオンライン形式で開催した。

 会議の冒頭、小塩会長が委員の交代について報告し、診療側の猪口雄二氏の後任として池端副会長が同日付けで委員に就任したことを伝えた。

 あいさつで池端副会長は「福井県越前市で地域包括ケア病床と療養病床とのケアミックスの在宅療養支援病院を中心に、地域医療、在宅医療、介護等に携わりながら、昨年から福井県医師会会長も拝命し、現在は新型コロナ対策で奔走している」と述べた。
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「対象は全ての都道府県」と厚労省

 この日の総会では、新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療報酬上の対応について議論があった。

 厚労省は「緊急事態宣言の対象が一部の都道府県であっても、その周辺にある都道府県も影響を受けることになる」との認識を示した上で「対象は全ての都道府県」とし、全国一律の臨時的な取扱いなどを提案した。

 これに対し、一部の支払側委員から「全て一律とするのではなく、もう少しきめ細かく分けてはどうか」との意見があり、診療側委員との間で議論になった。

 池端副会長は「感染拡大の濃淡は地域によってある」と支払側の見解に理解を示しながらも、「コロナ対策に対して非常に危機を持っていることや患者が減っていることに関しては、全ての医療機関、100%の医療機関がコロナの影響を受けている」と現状を訴えた。

 池端副会長の就任あいさつと、質疑での発言は以下のとおり。

【池端副会長の発言要旨】
■ 就任あいさつ
 私の所属は日本慢性期医療協会で、平成24年から副会長を務めており、その関係で猪口雄二先生の後任として病院団体推薦ということで委員を拝命させていただいた。
 私は現在、福井県越前市で地域包括ケア病床と療養病床とのケアミックスの在宅療養支援病院を中心に、地域医療、在宅医療、介護等に携わりながら、昨年から福井県医師会会長も拝命し、現在は新型コロナ対策で奔走している。
 中医協関係では、平成26年より「入院医療等の調査・評価分科会」の委員として、これまで5年務めた。
 残念ながら今回の総会にはWEBでの初参加となり、委員の皆さま方にきちんとごあいさつできないが、どうぞ、ご指導のほどをよろしくお願い申し上げる。

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■ 新型コロナを踏まえた対応について
 県内でコロナ対策に奔走している者として申し上げる。コロナ患者を受け入れている医療機関だけではなく、受け入れていない医療機関も含めて、全体的に受療行動や疾病構造などが変化している状況で、収入は大幅な減少になっている。これは入院基本料にも関わることで、10月から潰れるかもしれない病院もある。そういう状況になっていることをぜひご理解いただきたい。
 支払側委員がおっしゃるように、臨時的な取扱いの実施や経過措置の延長などを判断するためのエビデンスとなるデータは確かに必要ではあるが、9月30日までにデータを揃えるのは難しい。当然ながら10月以降では間に合わないので、とりあえず半年延ばしていただいて、その間に少しずつデータを取っていけばいいのではないか。
 また、コロナ患者を受け入れている病院と、そうではない病院とを一律に扱うのはいかがなものかというご意見もあったが、1人でも院内感染が出ると、その病棟を閉鎖しなければならない。他病棟から職員を配置するなど、大変な状況が現場で起きている。こうした状況をぜひご理解いただき、ぜひ経過措置の延長を実施していただきたい。これは現場の強い意見である。
 確かに、感染拡大の濃淡は地域によって違うと思う。しかし、コロナ対策をするということに対して、そして非常に危機を持って、しかも患者も減っているということに関しては、全ての医療機関、100%の医療機関がコロナの影響を受けている。厚労省が今回示したような対応について、ぜひご理解いただきたいと思う。
 今まさに、コロナはパンデミック、災害の最中である。こうした状況下で精緻なデータの取得を目指していたら、医療現場で患者にきちんとした対応ができるだろうか。ぜひ現場の感覚をご理解いただきたい。
 データはあとで、しっかり取ればいい。今は災害の真っ最中であり、まだ「ウィズコロナ」ではない。コロナがどんどん拡大している可能性がある。そういう状況でデータを取っても、果たして本当にそれが正しいデータになるかどうかは分からない。どうか、前向きなご判断をいただきたいと思う。本当に現場は苦しんでいる。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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