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「過疎地でも小規模でも運営できる体制に」 ── 次期介護報酬改定に向け、武久会長

Posted By araihiro On 2020年8月4日 @ 11:11 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は8月3日、令和3年度介護報酬改定に向けて14団体が意見を述べた厚生労働省の会議で「小さな施設が団体をつくって、それぞれの主張を述べ合う時期ではない」との認識を示した上で、「過疎地でも小規模でも効率的に運営できるような体制にしていただきたい」と述べた。

 厚労省は同日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の第181回会合をオンライン形式で開催し、令和3年度改定に関する関係団体ヒアリングを実施した。

 意見を述べたのは、OT・PT・STなどのリハビリ関係団体のほか、訪問看護やヘルパー、栄養士、福祉用具事業者、小規模多機能など幅広く、全体を3部に分けて約3時間にわたって実施された。
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小規模施設の経営強化を強く要望

 意見陳述で社会福祉法人の関係団体は、定員規模の小さい特養が赤字傾向にあることを伝え、「小規模施設の経営強化を強く要望する」と訴えた。

 小規模多機能型居宅介護の関係者は「稼働率が70%になっても半数は赤字という状況。利用者を増やしても黒字化しない」と経営の安定化を求めたほか、離島や中山間地域等での加算の見直しなども要望した。
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「専門職配置」など総合リハの評価を

 リハビリ関係の団体は「退院後早期にリハビリを開始したほうがその後のADL向上が大きい」とのデータを紹介し、退院後速やかに生活期リハビリを開始できるような評価の導入を求めた。

 また、基本報酬について「時間を中心としているために質の高いリハビリを提供した場合でも同じ単位数」との課題を挙げ、基本報酬に「専門職配置」などを含めた総合的なリハビリテーションの評価を導入することを提案した。
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医療と介護の距離が近くなっている

 質疑で武久会長は、介護保険におけるリハビリの充実を評価した上で「介護施設や介護保険の利用者に医療の必要性が改めてクローズアップされてきた」との認識を提示。「医療と介護の距離がだんだん近くなってきていることは非常にありがたい」と謝意を示し、「担当部局のさらなる頑張りを期待したい」と述べた。

 武久会長はまた、小規模事業者が厳しい経営状況にあることを指摘した上で、「その地域にそのサービスが1つしかなければ、やめるわけにはいかない」とし、「小規模で細かく分画されたサービスやシステムを効率化する時期。過疎地でも小規模でも効率的に運営できるような体制にしていただきたい」と述べた。

 詳しくは以下のとおり。

【武久会長の発言要旨】
  2点、意見を述べたい。まずリハビリテーションについて。リハビリは医療の分野が中心だったが、最近、要介護者等に対するリハビリテーションサービスの提供体制について特別な検討会をつくっていただいた。介護保険におけるリハビリスタッフの積極的な導入などを検討していただき、報告書をまとめていただいたことは非常にありがたいと思っている。
 リハビリは回復期だけで終わるものではない。回復期におけるリハビリも大事であるが、在宅や施設に行った人の状況が非常に悪くなった場合に、また2週間ほど入院することによって良くしていくという視点も必要である。
 介護保険の中でもリハビリのスタッフがだいぶ増えてきた。できるだけ今回の報告書に沿って、介護施設なり介護保険のサービスにリハビリ的な要素をもっと増やしていただきたいと思う。
 介護保険のほうに医療がだいぶ近づいてきた。介護施設や介護保険の利用者に医療の必要性が改めてクローズアップされてきた。医療と介護の距離がだんだん近くなってきていることは非常にありがたいことだと思っているので、担当部局のさらなる頑張りを期待したいと思う。
 もう1点は、小規模化に伴う課題について。資本主義社会では、規模が大きいことは企業としての利益を求める上ではいいわけだが、残念ながら介護保険というのは一般事業ではない。小規模多機能やグループホーム、特養などで小規模化が進んでいる。
 先ほどの意見を聴いていると、全体的に小規模化の所ほど収益が非常に悪いという。大規模化しているような事業体もあるが、そういう所は過疎地にはほとんど手を出さない。そして、効率化して非常に多くの利益をあげている。
 自由主義社会であることはいいのだが、こうした問題について、どのように考えていくか。今後、検討が必要になるのではないかと思う。
 残念ながら、小規模多機能の収支が悪化している。先日の会議でも申し上げたが、過疎地や地方で利用者が減少し、収支バランスが悪くなり、赤字になったからといって、その地域にそのサービスが1つしかなければ、やめるわけにはいかない。医療機関や社会福祉法人の社会福祉施設等は、そのような状況である。
 社会福祉施設に関しては、最近の約10年間の建築費の高騰で減価償却が非常に大きくなっている。それによって収支が悪くなっている。
 小規模で、かつ過疎地で行われているサービスがいろいろある。小規模で細かく分画されたサービスやシステムをもう少し効率化できるようにしなければいけない。それぞれの小さな施設が団体をつくって、それぞれの主張を述べ合う時期ではないと思っている。
 施設にいるより在宅が一番いいのだから、これがスムーズに動くように、過疎地でも小さい規模の所でも運営が非常に効率的にできるような体制にしていただけたらと思って発言させていただいた。よろしくお願い申し上げる。

                          (取材・執筆=新井裕充) 


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