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マイナンバーカードの保険証利用、「国民的啓発を」 ── 12月25日の医療保険部会で池端副会長

Posted By araihiro On 2019年12月26日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は12月25日、マイナンバーカードを保険証として利用するシステムの導入に向けて議論した厚生労働省の会議で、「国民的啓発を進めていくべき」と強調した。

 厚労省は同日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第123回会合を開き、オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況を報告するとともに、今後の対応案を示した。

 それによると、マイナンバーカードを使った受診時の本人確認などに必要な「顔認証付きカードリーダー」を支払基金が医療機関に配布することや、特定健診のデータ等を保険者間で引き継ぐ場合に本人の個別の同意を不要とする提案などが挙げられている。

 ※ 同部会の資料はこちら
           → https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08629.html
 ※ 厚労省担当者の説明はこちら → http://chuikyo.news/20191225-interest/
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運用コストは20億から39億に「バージョンアップ」

 厚労省の担当者は同日の部会で、オンライン資格確認などの運用にかかるコストを提示。平成30年5月の時点では年間約20億円と見込んでいたが、クラウドに移行した後の令和4年度時点では年間約39億円と倍増することを伝え、「バージョンアップ」と説明した。

 厚労省の担当者はまた、電子証明書の有効性を確認するための手数料が発生することを説明した上で、その手数料は別途賄う必要があることを伝えた。

 質疑では、保険者の代表から「その手数料を保険者が負担することがないようにしてほしい」「追加の負担を生じないようにしてほしい」などと新たな費用の発生を危惧する声もあった。マイナンバーカードに手数料がかかると、普及が進まなくなるとの指摘もあった。
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20191225医療保険部会
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マイナンバーカードに変える動機づけになるか

 同日の部会に委員として出席した池端副会長は「マイナンバーカードの普及にあたり、カードリーダーを使って確認するために、年間40億かかるとすると、国民がマイナンバーカードに変えていくという動機づけにつながる方策をしっかり考えない限り、その投資には非常に疑問を感じる」と指摘した。

 池端副会長は、マイナンバーカードが高齢者らにあまり広まっていない現状を説明し、「高齢になると保険証ですらなかなか持ってこない場合がある。高齢者がこれからさらに増えてくる中で、マイナンバーカードを普及させるというのは、相当な覚悟がないと、つまり同時進行で国民的啓発をすすめていかないと、せっかくの投資をしても絵に描いた餅になってしまう」と懸念し、今後の取組や方策などを尋ねた。

 厚労省保険局医療介護連携政策課の山下護課長は「単にお金を使い、カードリーダーを医療機関に設置してもらっても、国民にメリットを感じてもらえず、マイナンバーカードを入手してもらうことができなければ、おっしゃるとおり絵に描いた餅になる恐れがある」との認識を示した上で、ポイントを付与してマイナンバーカードの取得を喚起するなど、さまざまな取組を進めていく意向であると説明した。
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事務局_20191225医療保険部会

                          (取材・執筆=新井裕充) 



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