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2019年11月27日(木)第86回介護保険部会の報告

Posted By araihiro On 2019年11月28日 @ 5:17 PM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 令和元年11月27日(木)、厚生労働省の「第86回介護保険部会」が開催されました。当会からは武久洋三会長が委員として出席しました。

 議題は下記の通りです。

(1)「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」の検討状況(報告)
(2)介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務付け(報告)
(3)保険者機能
(4)論点ごとの議論の状況
(5)その他

 武久会長から以下の意見を述べられました。

【武久洋三会長の発言】
①社会福祉連携推進法人の創設について
 社会福祉連携推進法人の創設について、意義はあるが、医療法人はすでに平成29年4月から「地域医療連携推進法人制度」は創設されている。しかしながら、3年間でわずか14法人しかなく、多いとは言い難い。
 地域の赤字の公立公的病院がイニシアティブをとって行われているようだが、社会福祉法人が連携推進法人化することがで、どのようなものにしたいのか明確でないように思われる。
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②介護福祉士について
 介護福祉士について、なり手が少なく、介護福祉士養成施設へ入学する生徒が少ないということであるが、国家資格である介護福祉士の社会的地位が低く、医療関係者や厚労省も「看護補助者」と呼び、あくまでも看護職員のヘルプとして扱われていることが問題ではないか。看護と介護は今やほとんど別々の専門分野である。そして介護ケアを支えるのは彼らである。大きく制度を変える必要も重要であるが、医療分野における介護福祉士をもっと評価してほしい。
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③介護保険の自己負担額の上昇について
 特養の約60%がユニット型個室となり、施設入所者の自己負担額が15万円~20万円にもなっている。もはや低所得者向けの施設ではなくなっている。年金受取額は減額され、一般労働者の給与は上がっていない。一般企業は将来を不安視し、内部留保を蓄えている状況である。
 2035年には1号被保険者と2号被保険者の人口が逆転し、若年者が高齢者を支えきれなくなる可能性がある。つまり子供の収入で両親の施設入所費用を負担できなくなるかもしれない状況の中で、介護保険の自己負担割合をさらに引き上げようとしている。診療報酬も介護報酬も上がる予定は全くない。医療施設・介護施設運営はますます厳しくなることが十分考えられる。
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④古い特養の救済措置について
 現在、古い特養の4人部屋が空床になっている。古い施設に対する救済措置について、どうしてゆくかが大きな課題である。
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⑤過疎地における介護サービス供給について
 人口の少ない地域は往々にして老人が多く、被保険者が保険料を払っているのに介護サービスが無いので、受けたくても受けられない。公的サービスであるので、ある程度の利益が出ている介護サービス経営者は、過疎地において、一定程度サービスを提供するようにしてもらいたい。
 また、人口の少ない地域ほど老人が多く、保険料は高い。国保は2018年に保険者が市町村から都道府県に変更された。介護保険も財政管理は都道府県が行い、実務は市町村が担当するというような過渡的な改革が必要である。

(第86回社会保障審議会介護保険部会 資料)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08085.html
 


 



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