- 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト - http://manseiki.net -

「在宅に帰れない患者が急性期病院から送られてくる」── 9月26日の入院分科会で池端副会長

Posted By araihiro On 2019年9月27日 @ 5:17 PM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は9月26日、入院医療に関する調査結果が示された厚生労働省の会議で「在宅にどうしても帰れない患者さんが急性期病院から療養病棟に送られてくる。その患者さんを在宅に帰すことは非常に困難」と指摘し、在宅復帰率の年間15%基準について「2段階にする方法もあるのではないか」と提案した。

 厚労省は同日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の2019年度第8回会合を開き、「2019年度調査結果(速報)の概要」を示した。

 それによると、「療養病棟入院料1」の届出病棟のうち、在宅復帰機能強化加算を算定する病棟の割合は前年度調査の27.6%から34.0%に上昇した。
.

083_2019年度調査結果(速報)概要_2019092入院分科会

.
 また、「療養病棟入院料1」を届け出ている病棟の在宅復帰率については、在宅復帰機能強化加算の届出をしていない医療機関でも在宅復帰率の基準「5割以上」をクリアしていた。
.

084_2019年度調査結果(速報)概要_2019092入院分科会

.
 年間15%基準については、「20%以上25%未満」にピークが見られた。
.

085_2019年度調査結果(速報)概要_2019092入院分科会

.
 こうした結果を受け、池端副会長は「在宅復帰率が今回やや上がったのは非常に喜ばしい」と評価した上で、「療養病棟は単に長期に入院する病棟ということではなく在宅復帰させる機能を併せ持つ。在宅復帰機能は療養病棟の大事な機能だと思っている」と述べた。

 一方、在宅復帰率5割をクリアしているにもかかわらず、在宅復帰機能強化加算を届け出ていない理由に言及。「急性期病院などから受け入れた患者さんを年間に15%以上在宅復帰させる要件がクリアできないので同加算が取れないという医療機関が非常に多い」と指摘し、「この15%基準は本当に意味があるのか」と問題提起した。

 池端副会長は「近年、急性期病院から入院する患者さんの状態が大きく変わっている。在宅にどうしても帰れない患者さんが療養病棟に紹介されてくるので、そういう患者さんを在宅に帰すことは非常に困難になってきている現状がある」と指摘。年15%要件について「この縛りがある限り、せっかく頑張って在宅復帰させても加算を取れない。このような『療養病棟は在宅復帰させていない病棟ではないか』と疑われるデータが出てしまうので、何かご検討いただけるとありがたい。例えば2段階にするという方法もあるのではないか」と提案した。

                          (取材・執筆=新井裕充) 



Article printed from 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト: http://manseiki.net

URL to article: http://manseiki.net/?p=6301

Copyright © 2011 Japan association of medical and care facilities. All rights reserved.