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「退院後に医療保険のリハを受けにくい」 ── 介護保険部会で橋本副会長

Posted By araihiro On 2019年5月24日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会の橋本康子副会長は5月23日、地域包括ケアシステムの推進について議論した厚生労働省の会議で「入院中に介護保険を算定すると、退院後に医療保険のリハビリを受けにくい」と指摘し、リハビリテーションの連続性や連携について、さらなる検討を進めるよう求めました。

 厚労省は同日、社会保障審議会(社保審)の介護保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第77回会合を開き、当協会からは、委員を務める武久洋三会長の代理として橋本副会長が出席しました。

 同部会では、2021年度から始まる第8期介護保険事業計画に反映させる制度改正に向けた議論を今年2月にスタート。3回目を迎えたこの日は、「地域包括ケアシステムの推進」を主な議題としました。
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介護保険部会_20190523

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地域包括ケアの推進について課題を整理

 厚労省は同日の会合に、「地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)」と題する資料を提示。今後の高齢化の進展等に伴う介護サービスの基盤整備などについて現状や課題を整理しました。

 この中で、「医療ニーズへの対応、医療・介護の連携」について平成30年度の同時改定を振り返り、「医療保険のリハビリテーションとの連続性・連携の強化」などを挙げました。

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P7_資料1-1地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)

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 こうした整理を踏まえた「論点」では、「医療・介護の役割分担と連携を一層推進する観点」などを挙げています。

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P9_資料1-1地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)

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「介護保険をキャンセルしたい」との声も

 
 質疑で、参考人として出席した橋本副会長は「医療保険のリハビリテーションとの連続性・連携の強化も踏まえ、私どもの経験からお話をさせていただきたい」と切り出し、医療保険と介護保険のリハビリをめぐる問題に言及。

 「入院中に介護保険を算定すると、そのあと、退院してから医療保険での外来リハや訪問リハを受けようとしたときに介護保険のほうが優先されてしまい、医療保険の外来・訪問リハがなかなか受けにくいという現状がある」と指摘しました。

 その上で、橋本副会長は「患者さんによっては咽喉頭部の手術後の特殊なリハビリが医療保険で必要な場合があるため、『介護保険をキャンセルして医療保険のリハビリを受けたい』という声もある」と説明し、医療と介護の一体化について、さらなる検討を進めるよう求めました。
 
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「そういう実情があるというご意見」と遠藤部会長

 
 この発言を受け、遠藤部会長は「基本的には中医協や介護給付費分科会での議論ではあるが、シームレスな扱いという中で、今、そういう実情があるというご意見ということで承らせていただきたい」とコメントしました。

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介護保険部会全体風景_20190523

                          (取材・執筆=新井裕充) 



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