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「慢性期DPC」に関する検討を ── 入院分科会で池端副会長

Posted By araihiro On 2019年4月26日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は4月25日、入院医療に関する厚生労働省の会議で「療養に合わせたDPCを考えていくことも検討範囲に含まれていると考えてよろしいか」と質問し、慢性期DPCに関する検討を求めました。厚労省の担当者は「急性期以外の入院医療についての退院患者調査における報告内容の設定に係る検討ということで、(作業グループで)検討させていただきたい」と答えました。

 厚労省は同日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の今年度最初の会合を開き、次期改定に向けた議論を開始しました。
 
 同分科会は昨年10月以来、約半年ぶりの開催となります。当協会からは池端副会長が委員として出席しました。

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20190425入院分科会

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「中・長期的には、従来の評価指標以外も検討」

 厚労省は同日の会合に、「入院患者の評価指標の課題(案)」を提示。次回改定に向けて「重症度、医療・看護必要度」の見直しを検討する必要性などを挙げたほか、「中・長期的には、入院医療機能の適切な評価指標や測定方法等について、従来の評価指標以外についても、必要な調査研究を含め、検討する必要があるのではないか」との考えを示しました。

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ページ07改_20190425入院分科会資料

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 今後の検討方針については、同分科会の下部に設置する2つの作業グループで検討を進めることを確認した上で、「診療情報・指標等作業グループ」の検討事項として、①2020年度改定に向けた検討、②中・長期的な検討──を提示。このうち②については、「平成31年度厚生労働科学研究」などの研究を踏まえ、「急性期から長期療養まで含めた、入院医療機能の適切な評価指標や測定方法等についての検討」としました。

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20190425入院分科会資料_18ページ修正

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研究結果を見てから検討するので「中・長期」

 質疑の冒頭、牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)が「中・長期的な検討」との記載を指摘。「平成31年度の厚生労働科学研究は31年度なので、これから行う研究ということだろう。それを『踏まえて』ということは、同時進行で行っていくというようなイメージを持っているのだろうか」と尋ねました。

 これを受けて厚労省の担当者は、「中・長期」の意味を説明。「目の前の改定に向けた作業とは別に、まずは研究を先に進めさせていただいて、その結果が一定程度まとまったら、検討を行う。つまり、研究事業を先に行い、その結果を見ながら検討をしていくということで、今年度に限定するということではなく、『中・長期』という表現にしている」と答えました。

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20190425入院分科会(事務局)

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急性期から療養まで、「通した入院を評価」

 この回答を受け、池端副会長が医療区分の見直しについて質問。「『中・長期的な検討』の中に『急性期から長期療養まで含めて』と書かれている。とすると、以前、この分科会でも何度か私からご提案させていただいた慢性期に関する医療区分の抜本的な見直しということも、この中に含まれていると理解してよろしいのかどうか、確認させていただきたい」と尋ねました。
 
 厚労省の担当者は「検討の範囲について特段、今の段階で何を入れる、入れないということを決めているところではない」とした上で、平成30年度改定で実施した入院医療体系の見直しに応じた評価を次期改定でさらに進めていく考えを提示。「患者からの視点で見た場合には、入院という1つの形態の中で、どういう評価ができるのかというところも1つの問題点として思っている」と答えました。

 その上で、厚労省の担当者は「『共通』という表現が適切かどうかは分からないが、患者側から見た場合の入院は、当然ながら、急性期から始まって、ある程度の期間で、回復期リハや地域包括ケアの病棟に移って退院される、もしくは、回復期リハから次の病棟に移る。要は、『通した入院』というところも評価もできないかというところも問題意識を持っているので、そういったところも含めて、ご検討いただきたいと思っている」と説明しました。

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慢性期DPCの問題は、作業グループで検討

 続いて池端副会長は、DPCデータの提出が療養病床にも拡大していることに言及し、「療養病床に合わせたDPCを考えていくことも検討範囲に含まれていると考えてよろしいか」と尋ねました。

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ページ18改_20190425入院分科会資料

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 厚労省の担当者は、同分科会下部の「診療情報・指標等作業グループ」の検討事項を説明。「2020年度改定に向けた検討の中で、『急性期以外の入院医療についての、退院患者調査における報告内容の設定に係る検討』を挙げているので、ここで検討させていただきたいと思っている」と答えました。

                          (取材・執筆=新井裕充) 



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