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データ提出加算、「将来的には全病床」 ── 中医協分科会で池端副会長

Posted By araihiro On 2018年7月13日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成30年度の診療報酬改定で、データ提出加算を要件とする病棟が拡大されたことなどを踏まえ、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は7月12日に開かれた厚生労働省の会議で「将来的には、たぶん全病床がデータ提出加算という方向に持っていこうという狙いもあるかと思う」と見通した上で、診療実績データの提出が困難な理由についても調査するよう提案しました。

 厚労省は同日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院医療等の調査・評価分科会」の平成30年度第1回会合を開き、今改定の影響を調べる調査案などを了承しました。この日の分科会は、平成30年度改定前の昨年11月以来、約8カ月ぶりとなる開催で、当協会からは池端副会長が委員として出席しました。

 新たな分科会長には、互選により九州大学名誉教授の尾形裕也氏が就任しました。これまで分科会長を務めてきた武藤正樹(国際医療福祉大学大学院教授)が「診療報酬と医療政策は大変関係が深い。特に医療政策の分野に豊富なご経験のある尾形委員にお願いしてはどうか」と推薦し、委員の賛同を得ました。

 尾形分科会長は「(新たな入院分科会は)入院医療全般を対象とするということで、大変、重大な責任があると認識している。皆さまの自由闊達なご議論が進むよう努めてまいりたい」とあいさつしました。分科会長代理には、DPC評価分科会の分科会長を務めた山本修一委員(千葉大医学部附属病院長)が就任しました。

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02_会議風景_20180712入院医療分科会

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データ提出の調査、「あぶり出されるような項目を」

 厚労省は同分科会で、入院医療について今改定の影響を調査するために実施する項目などを提示。入院基本料の評価体系の見直しの影響など7項目について、平成30年度と平成31年度の2カ年で調査を実施する方針を示し、了承を得ました。

 質疑で、池端副会長は「今回、療養病棟などでデータ提出加算が義務化された初めての調査になる」と指摘した上で、「今後、将来的には全病床がデータ提出加算という方向に持っていこうという狙いもあるかと思う」との認識を示しました。今改定では、データ提出加算を要件とする病棟が拡大され、データ提出加算の評価方法が見直されました。

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診療実績データの提出への評価

                     同分科会の資料「診調組入-2」P40から抜粋
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 池端副会長は「簡単なチェック項目でもいいので、データ提出加算をすることに対して、いろいろな難しかった点や、あるいは、これだけはできていないとか、できなかったとか、そういうことが少しあぶり出されるような項目をご提出いただけると今後につながる」と提案しました。

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データ利活用に向け、報告項目の追加を検討

 厚労省はまた、同分科会の下に、調査研究に関わる作業を行うためのグループを設置することを踏まえ、「作業グループにおける当面の作業(案)」を示し、了承されました。同分科会の下に設置する2つの作業グループの名称は、「DPC/PDPS等作業グループ」と「診療情報・指標等作業グループ」に決まりました。

 「DPC/PDPS等作業グループ」は、これまでDPC評価分科会が担っていた「DPC退院患者調査に関する事項」などを担当します。一方、「診療情報・指標等作業グループ」の分担について厚労省は、①診療実績データ(DPCデータ)の分析に関する事項、②データの利活用のあり方に関する事項、③その他、データ提出に係る診療情報や指標に関する事項──を挙げました。

 このうち②について厚労省の担当者は「特に、今回の改定では診療実績データを提出する病棟の種類が拡大した」と指摘。一般病棟や地域包括ケア病棟に加えて、今改定では回復期リハビリテーション病棟や療養病棟が追加されたことを説明した上で、「今までは主に急性期の病棟を主眼に置いた病棟機能に関連するデータが報告項目だったが、回復期リハビリテーション病棟や療養病棟が追加になったので、それに合わせた報告項目を追加する必要があるかどうかなどを整理・作業していただくことを念頭に置いている」と述べました。

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急性期の病棟でも入院前からの連携を推進

 質疑で、池端副会長は「データ提出の見直しに関して、新規の『要介護度』と『要介護情報』は療養病棟に限るのか」と質問。厚労省の担当者は「療養病棟に入院する患者について、必須でご提出していただくということになっている」と答えました。 
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DPCデータの見直し(様式1の見直し)

                  同分科会の資料「診調組 入-1-2参考」P9を修正
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 そこで、池端副会長は「今回の改定では急性期の病棟でも入院前からの連携が推進されている」と指摘した上で、「療養病棟に限らず、急性期の病棟でも『要介護度』などの項目は医療と介護の連携という視点で必要になるので、少し検討してもいいのではないか」と提案しました。

 これに対し、厚労省の担当者は「(要介護度などの)データ提出について、療養病棟以外の病棟も入れてもいいという扱いになっているので、データを提出する一般病棟等もある場合には一緒に調べられる。患者の調査票には、例えば『要介護度』を入れることができるので、それで横串で見てみて、また、提出項目の対象病棟を広げるかどうかをご議論いただければいいかと思う」と述べました。
 
03_事務局20180712

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                          (取材・執筆=新井裕充) 



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