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「第5回高齢者医薬品適正使用検討会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2017年12月23日 @ 3:25 PM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成29年12月22日、「第5回高齢者医薬品適正使用検討会」が開催され、池端幸彦副会長が出席いたしました。厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課主管の同検討会では、高齢者の多剤服用に関する適正使用について、平成29年度中に総論となる包括ガイドラインを作成し、平成30年度末までに専門領域別・領域横断的な詳細ガイドラインを作成するよう二段階での検討が進められています。
 

1.高齢者医薬品適正使用ガイドラインの骨子案について

 検討会の前半では、先に開催された高齢者医薬品適正使用ガイドラン作成ワーキンググループにより検討された「高齢者医薬品適正使用ガイドライン(総論編)骨子案」について意見交換が行われ、松本純一構成員(日本医師会常任理事)から、「ガイドラインは病院の病床機能別に作成するべきではではなく、あくまで患者の病態別に作成するべきである」との主張がありました。その理由は、急性期病棟には急性期の患者しか入院していないという誤解が一部にあることや、慢性期病棟においても急性期の患者や回復期の患者が入院している場合もあるということにあります。
 
池端幸彦副会長20171222 この松本純一構成員の主張について池端幸彦副会長は、「処方見直しのタイミングは患者の病態別に考えるべきであることは松本純一構成員の言われるとおりであるが、どの病床種別にも急性期や慢性期、回復期の病態にある患者は入院しているので、骨子案作成の段階では、患者の病態をベースにしつつも、病院の病床機能別の取り組みを採り入れた方がよいという意見が、ワーキンググループ内では多かった」と述べ、高齢者の服用薬の実態に大きな落差が生じる退院時や在宅復帰時に焦点を当てて、場面ごとに医薬品の適正使用を検討していくということについて理解を求めました。

 また、美原盤構成員(全日本病院協会副会長)からは、「骨子案に『チームの処方医とのコミュニケーションのあり方』との記載あるが、ここにいう処方医はチーム内の処方医のことなのか、あるいはチーム外の処方医のことなのか。もし、チーム外の処方医のことなのであれば、それがわかるような明瞭な言い回しにするべきである」との意見も出されました。池端幸彦副会長は、「医師を含めたチームでポリファーマシー対策を検討した上で、その方針をチーム外の主治医、処方医とすり合わせるべきであるというのが私の理解である」と述べ、美原盤構成員の意見に同意しました。
 

2.構成員からの情報提供について

 検討会の後半では、「高齢者の服薬に関する現状と意識」「緩和ケアとポリファーマシー」「プレアボイドの取り組み」の3つの論点について、構成員ならびに参考人等による情報提供が行われ、池端幸彦副会長をはじめ各委員から、その内容や提言に対して非常に高い評価の声が上がりました。

 また池端幸彦副会長は、林昌洋構成員(日本病院薬剤師会副会長)より報告された「回復期および慢性期における薬剤削減群の比率が急性期よりも高かったことから、薬剤削減後の影響を評価するには一定の入院期間を要する可能性がある」という調査結果について、「回復期や慢性期では医療費が基本的に包括なので、そのバイアスがかかった結果の可能性もあるのではないか」と指摘し、急性期と回復期および慢性期との薬剤削減状況のギャップをできるだけ埋め、急性期病院から積極的にポリファーマシー対策に取り組んでいただき、退院時に橋渡しをすることこそが重要であると述べました。
 

○第5回高齢者医薬品適正使用検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189396.html
 



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