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「第4回高齢者医薬品適正使用検討会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2017年10月31日 @ 11:33 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成29年10月30日、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課主管による「第4回高齢者医薬品適正使用検討会」が開催され、池端幸彦副会長が出席いたしました。

 今回の検討会では、前回の検討会でとりまとめられた「中間とりまとめ」(高齢者の医薬品適正使用に関する検討課題と今後の進め方について)を受け、下記の論点について、構成員ならびに参考人によるプレゼンテーションが行われました。

 〇高齢者薬物療法適正化チームの形成
 〇電子版お薬手帳の活用
 〇高齢者に対する向精神薬の安全な薬物療法
 〇高齢者適正使用に関する製薬企業の取り組み

 池端幸彦副会長は、プレゼンテーション後の議論の中で、「高齢者薬物療法適正化チームの形成」と「高齢者適正使用に関する製薬企業の取り組み」について、以下の意見を述べています。

〔池端幸彦副会長の発言〕
池端幸彦副会長平成29年10月30日◇患者の入院時はポリファーマシー(多剤併用)削減のチャンスなのだが、患者が退院した後に減薬した処方が元に戻ってしまうという症例は私自身にも経験がある。入院中とは異なり、退院後、在宅では生活のペースが変わって安静度も落ち、血圧や食事のコントロールができなくなってやむを得ず処方を再開するということはある。これは必ずしも情報不足が原因とはいえないため、チームの認識を共通にしておかなければ、かえって連携にズレが生じることになってしまう。ポリファーマシー削減に多職種連携のチームで取り組む一番の長所は、各専門科の医師に対しても減薬を提案しやすいという点にあるので、院内だけでなく、在宅や外来おいてもチームアプローチのあり方を検討していく必要がある。

◇今後、ポリファーマシー削減チームの取り組みを普及していくためには、チームをポリファーマシー削減のためだけのものとして固定してしまうのではなく、同じチームが、あるときは栄養サポートチーム(NST)であったり、またあるときはポリファーマシー削減チームであったりすることができるよう柔軟に捉えていくべきである。院内にはいろいろなチームがあるが、中小病院ではどのチームもメンバー構成はほぼ同じになるので、将来的にポリファーマシー削減チームの設置が診療報酬上求められるようになることも想定し、是非考慮していただきたい。

◇高齢者適正使用に関する製薬企業の取り組みについては、医療関係者や患者向けの情報提供もさることながら、MR(医薬情報担当者)の意識がポリファーマシー削減に向かうよう促すことが先決なのではないだろうか。失礼ながら、私がこれまでに接したMRの方々からポリファーマシーに関する問題意識を感じとったことはない。営業部門として自社の医薬品が少しでも多く売れるように考えるのは致し方ないが、日本全体の医薬品が適正に使用されるようになることが、結果として製薬企業にとってもメリットになるのだという視点を併せ持つことが求められよう。

 他の構成員からの主な発言には、「電子版のお薬手帳の導入にあたってはパソコンの年齢別利用状況を勘案いただき、ファミレス社会(ファミリー[家族]がレス[ない])をカバーするものになるよう期待したい」(樋口恵子構成員・高齢社会をよくする女性の会理事長)、「かかりつけ薬局が適切に機能することにより、多様な医療機関を受診する在宅患者がそれぞれの医療機関の門前薬局で調剤を受けてしまうということがなくなっていけば、服薬情報の一元化はかなり進むのではないか」(美原盤構成員・全日本病院協会副会長)、「ポリファーマシー削減を診療報酬で誘導するというのは本末転倒である。患者の状態は一人ひとり異なるので、3種類でも問題が起きることもあれば、10種類必要なこともある」(松本純一構成員・日本医師会常任理事)などの意見がありました。

 次回の検討会では、「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ」からフィードバックされるガイドラインの骨子について検討される予定です。

〇第4回高齢者医薬品適正使用検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000183054.html
 



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