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「平成29年度第11回入院医療等の調査・評価分科会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2017年11月3日 @ 11:23 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成29年11月2日、「平成29年度第11回入院医療等の調査・評価分科会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。

 今回の分科会の議題は、「特定集中治療室等の重症度、医療・看護必要度」「一般病棟の重症度、医療看護必要度」「救急医療管理加算」「短期滞在手術等基本料」の4点でした。池端幸彦副会長は重症度、医療・看護必要度に関し、「7対1一般病棟におけるB項目該当患者のうち、身体抑制ありの患者にはA項目1点以上の患者が多い」とするデータについて下記の意見を述べています。

〔池端幸彦副会長の発言〕
 「身体抑制ありの患者が重症な患者であるというミスリードがあってはならない」と筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)が指摘されたように、7対1一般病棟について、B項目(患者の状況)の「診療・療養上の指示が通じる」もしくは「危険行動」に該当する患者を身体抑制のありなしで分け、身体抑制ありの患者はモニタリング及び処置等(A項目)が必要で重症であるということを示すようなデータの出し方には、とても違和感を覚える。療養病床ではケアを工夫することによって、急性期からミトン型手袋や4点柵が必要とされて移ってきた患者のほとんどの身体抑制を実際に外してきており、点滴やルート類の自己抜去を防ぐためには身体抑制をしてもやむを得ない、とも考えていない。慢性期では身体抑制はしないのが原則なので、一見、身体拘束ありが重症であるかのようなデータがひとり歩きすることがないよう表現をあらためていただきたい。

 他の委員からの主な発言には、「重症度、医療・看護必要度で重症とされる患者と診療報酬請求区分で重症とされる患者は、一致している患者もいれば一致していない患者もおり、どちらの項目に合わせるのかということではなく、急性期における真の重症とは何かということこそ議論するべきである」(筒井孝子委員)、「重症度、医療・看護必要度とDPCデータの突合について現場では、看護師の業務負担の軽減を期待する声よりも不安の声の方が大きい」(武井純子委員・相澤東病院看護部長)、「重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の判定にEFファイル(レセプト情報)が活用できる可能性はいまだ示唆されたとはいえない。客観的で統一性のある指標は引き続き検討していくべきであるが、平成30年度の診療報酬改定に反映させるというのは拙速である」(本多伸行委員・健康保険組合連合会理事)、「重症度、医療・看護必要度に基づく重症患者割合は28.8%で、DPCデータを用いた重症患者割合は24.8%であった。この4%の違いはかなり大きく、重症度、医療・看護必要度をDPCデータで置き換えるのは相当難しい」(石川広己委員・千葉県勤労者医療協会理事長)などの意見がありました。

 委員から多くの意見が集中した「DPCデータを用いた重症度、医療・看護必要度の分析」について迫井正深・厚生労働省保健局医療課長は、「重症度、医療・看護必要度とDPCデータは完全に一致はしないということを踏まえた上で、異なる両者をどのように活用するのかについてはまだまだ改善の余地はあると考えており、その最終結論を出すのは本分科会ではなく、あくまで中医協基本問題小委員会及び総会である。したがって本分科会の委員の先生方にはアナリティカルにご議論いただき、中医協基本問題小委員会及び総会における審議の素材を整理できるようご協力をお願いしたい」と述べ、議論の見とおしを示しました。

 次回の分科会では、本分科会の検討結果報告(案)について議論される予定です。

〇平成29年度第11回入院医療等の調査・評価分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000182561.html

 



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