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「第139回社会保障審議会 介護給付費分科会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2017年5月25日 @ 7:33 PM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 平成29年5月24日(水)、「第139回 社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、当会の武久洋三会長が委員として出席いたしました。会議では下記の議題が話し合われました。

 1.平成30年度介護報酬改定に向けて(認知症施策の推進)
 2.その他

(第139回介護給付費分科会 資料)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165818.html 

 今回の介護給付費分科会では、事務局より平成30年度介護報酬改定に向けて、「認知症施策の推進」が議題として挙げられ、論点として3つの論点が示されました。

 ○利用者の状態に応じた医療ニーズへの対応(医療機関との連携、口腔機能の管理等)、福祉用具の提供など、認知症対応型共同生活介護(以下、認知症グループホーム)のサービスの在り方について、どのように考えるか。

 ○認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)の利用者の状態を踏まえたサービスの在り方について、地域密着型通所介護との役割分担等を含め、どのように考えるか。

 ○認知症高齢者が今後も増加する見込みの中、認知症関連の加算のあり方
 

【武久洋三会長の発言】
武久洋三会長平成29年5月25日 資料1の4頁にある論点の1つめ「医療ニーズの対応、認知症グループホーム」について、若年性認知症でない限りは、認知症の患者はほとんどが後期高齢者で臓器等に合併症を抱えていない人はほとんどいない。昨年の後期高齢者1,641万人の中の4.2%の70万人が入院している。普通の病院病床の90万人中の約8割が後期高齢者の入院で占めている。ということで認知症患者は認知症グループホームだけではなく、普通の病院でも大勢の認知症の人がいる時代となっていて、特養・老健で100万人以上、普通の病院で90万人以上、精神病院で10万人、全体では500万人、いずれは700万人になるといわれる中で、これからの認知症施策は非常に重要だと思う。

 私の見識では、厚生労働省全体が宅老所の発想で小規模ユニットが一番良いと考えられていた時期があり、最初は3ユニットから始まり、2ユニット、そして小規模多機能とどんどん少人数になっていった。もちろん私も良い考えだとは思うが、経営効率や人的効率の面で考えると小ユニットでの運営は大変ではないかと思う。
 経営効率の面では小ユニットは土地を買って新築となるとほとんどペイできない。人的効率の面では1ユニットを1人で見るより、3ユニットなら1ユニットに1人ずつ計3人ということにはならないであろうから、3ユニットの方が経営面でも効率化の面でも良いのではないのかと思う。

 厚生労働省の取り組みについては、認知症で入所する人に関しては現状、精神科ではBPSDなどの方が入院することはあるが、認知症グループホームと特養と精神科という入所先で重症者と軽症者が特に明確に分けられているわけではない。しかし症状によってどこでどのように治療し、どのように良くしていくかということを、ゾーニングして振り分けていくなど、全体で一度立ち止まって認知症の対策を考えていく必要があるのではないか。

 10年ほど前から認知症サポート医をはじめ、国民に向けて様々な認知症に関する研修を行い養成してきたはずだが、そういった何百万の研修を受けた人たちを組織立てて地域で動いてもらう取り組みがない。せっかく作ったので、もう少し活用法を考える必要があるのではないか。

 また後期高齢者は認知症だけではなく、色々な合併症を抱えている。診察する臓器別専門医が、例えば心臓専門医が対応するとなると、色々な臓器の症状を抱える後期高齢者を診断することは難しいので、総合診療医が対応するのが普通ではないかと思う。

 そういった点でもしっかりと医政局、老健局、保険局など厚生労働省全体で取り組んでいく必要があるのではないか。

 口腔ケアについて、私の病院の慢性期病棟では歯科衛生士を必ず常勤で配置している。非常に丁寧に口腔内をきれいにしてくれるため肺炎の合併率が下がるなど、とても効果がある。歯科医師の配置だと大変だが、歯科衛生士の配置をぜひ考えて欲しい。

 最後に、10年以上前に認知症グループホームができた当初から入所していた利用者が、齢を重ねていくにつれて、どんどん悪くなっていく。そういった中で真面目に関わってきた職員は人情として最後まで関わりたいということで外に送りたくないという気持ちがあると思うが、看取りについても考えないといけないし、重症度も増してきたり、病院の行き帰りを手伝ったり、色々な形でグループホームの職員の負担がより大きくなっていく。
 そういうことで認知症はグループホームだけで解決する問題ではなく、合併症なども含めた大きな命題としてぜひお考えいただきたい。
 



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