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「第7回療養病床の在り方等に関する特別部会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2016年12月8日 @ 10:50 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 平成28年12月7日に開催された「第7回療養病床の在り方等に関する特別部会」では、療養病床の在り方等に関する議論がとりまとめられ、介護療養病床等を「新たな施設類型」に転換する方針について了承されました。委員として出席した武久洋三会長は、最終のとりまとめにあたって次のように発言し、「新たな施設類型」の施設機能や施設基準、転換支援措置がより具体的な内容となるよう確認を求めています。
 

(武久洋三会長の発言)
武久洋三会長平成28年12月7日*「新たな施設類型」の有する機能については、現行の介護療養病床の機能に加えて「生活施設としての機能」が強調されている。「生活施設」というと、利用者の入所期間がかなり長期にわたるという印象を受けるが、「新たな施設類型」には、在宅復帰機能よりも、医療が必要な重介護者を受け入れ、そのターミナル機能を担っていくという機能に重点が置かれているという理解でよいのか。

*「新たな施設類型」への転換は、介護療養病床及び医療療養病床をまず優先させ、次いで、一般病床からの転換を進めていくということが大筋となっている。転換に係る準備のための経過期間が3年であるとして、その経過後は、介護老人保健施設や特別養護老人ホームからの新規参入を認めていく計画なのか。もし認めていくのであれば、「新たな施設類型」における利用者数は一体どのくらいを見込んでいるのか。転換について限度枠が設定されるのであれば、転換するかしないかの経営判断に大きくかかわってくるので、国としてのビジョンをきちんと明示していただきたい。

*「新たな施設類型」の創設にあたっては、1病棟で運営しているような小病院への手当ても忘れないよう要望してきているが、今のところその方策は講じられていないようだ。例えば、50床程度で1病棟の小病院については、20床を病院病棟とし、残りの30床を病棟内施設とすることなどが許容されなければ、その病院の運営は現実的にかなり厳しいものとなる。

*同一建物内で医療機関と居住スペースとの併設を認める「医療外付け型」については、その居住スペースとして「特定施設入居者生活介護の指定を受ける有料老人ホーム等」を想定しているということであるが、介護付き有料老人ホーム以外は居住スペースとして認められないのか。

*土地の確保が困難な大都市部の転換支援策として、「サテライト型を認めて、同一建物と同様に扱えるようにする」とあるが、例えば、50床の介護療養病床についてそれを40床にし、残りの10床分をサテライト型として認めるということなのか。あるいは、既存の病床数を超えたサテライト型も認めていくということなのか。また、大規模改修後も「1室当たり定員4人以下、かつ、入所者1人当たり6.4㎡以上を特例的に認める」というのは、1室当たりの定員は4人でもよく、8㎡/人以上が介護老人保健施設であることから、床面積は7~7.5㎡/人程度でよいというイメージなのか。

*「医療外付け型」の面積について、「既存の建築物を転用する場合、個室であれば面積基準なし」との注記がある。この注記の意味するところを反対解釈すると、既存の建築物を転用する場合は、個室でなければ、「1室当たり定員4人以下、かつ、入所者1人当たり6.4㎡以上」という特例は認められないということなのか。これまでの議論の経過では、居住スペースは6.4㎡以上/人以上で保たれるという認識であったように思う。

*今回、私が確認を求めている「新たな施設類型」の施設基準や転換支援措置の詳細については、「議論の整理(案)」を見ると、介護給付費分科会で検討することとされている。しかし本来、ある程度大枠の議論は、この特別部会でなされるべきではなかったのか。「療養病床の在り方等に関する検討会」における議論を受けて本特別部会が設置されたにもかかわらず、肝心な議論はすべて介護給付費分科会で検討されるというのでは、非常に違和感を覚える。
 
 他の委員からの主な発言としては、以下の意見がありました。

・「新たな施設類型」の機能は現在の介護療養病床の機能に生活機能をプラスしたものであるというのであれば、介護療養病床はそのまま残し、別途、バージョンアップした施設類型を創設するのが本筋なのではないか。入所者1人あたりの床面積を6.4㎡から8m2にするという手段だけで生活機能が著しく向上するとはとても考えられない。今回のとりまとめには、私が一貫して介護療養病床の廃止に反対していたということを必ず明記していただきたい。(吉岡充委員・全国抑制廃止研究会理事長)

・転換に係る準備のための経過期間は3年では短いので、6年とすべきであることをあらためて主張したい。また、一般病床からの「新たな施設類型」への転換は、療養病床からの転換の次の段階になるとのことであるが、一般病床から「新たな施設類型」への転換ありきの「療養病床への駆け込み転換」が起きることのないよう、何らかの対策が必要である。(鈴木邦彦委員・日本医師会常任理事)

・武久洋三委員が指摘したように、「議論の整理(案)」の至るところに「介護給付費分科会で検討する」という記載が散見される。「新たな施設類型」の施設基準や介護報酬、床面積などについて決めるのはこの特別部会ではないというのであれば、当事者である病院団体の代表者が介護給付費分科会の議論に参画できるよう考慮されるべきである。(加納繁照委員・日本医療法人協会会長、西澤寛俊・全日本病院協会会長)

・「新たな施設類型」の機能として、老人性認知症疾患療養病棟が現在担っている認知症の要介護者に対する医療提供や機能訓練等の機能がまったく示されていないことはとても遺憾である。(見元伊津子委員・日本精神科病院理事)

・「医療外付け型」については、「住まい」であるということを踏まえ、十分な居住スペースとプライバシーが保たれるよう、要件緩和には一定の歯止めが必要である。(市原俊男委員・高齢者住まい事業者団体連合会代表幹事)

・「新たな施設類型」の名称については、これまで介護療養病床等の病院の現場で勤務してきた医師や看護師等の「思いや士気」に配慮すべきとの記載があり、一定の理解はできる。しかし、この記載だけを見ると、病院でなければモチベーションを保つことができないのか、という誤解も生じかねない。病院以外の介護保険施設の現場でプライドを持って勤務している医師や看護師等は大勢いるので、言い回しを工夫するべきである。(齋藤訓子委員・日本看護協会常任理事、平川 則男委員・日本労働組合総連合会総合政策局長)
 

 本年6月から7回にわたった本特別部会のとりまとめは遠藤久夫部会長(学習院大学経済学部教授)に一任され、今回の委員の意見や確認事項をさらに反映した「議論の整理(案)」は、委員の確認を経て、社会保障審議会の医療部会及び介護保険部会に報告されることとなっています。
 
 〇第7回療養病床の在り方等に関する特別部会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000145095.html
 



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