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第95回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

Posted By araihiro On 2016年5月27日 @ 5:19 PM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 平成28年5月26日、「第95回社会保障審議会医療保険部会」が開催されました。当会からは委員として武久洋三会長が出席いたしました。
 
 今回の医療保険部会では、最近の医療費の動向と高齢者医療の現状について議論が行われたほか、「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」で行われた議論の取りまとめについての報告が行われました。
 

1.最近の医療費の動向について

 厚労省より、診療報酬の審査支払業務を通じて集約された情報から、最近の医療費動向の調査報告が行われました。平成27年4月~11月にかけて、医療費全体では3.1%の伸び率を示しており、2%程度を示していた平成24年度~26年度と比較して高めの伸び率となっています。中でも調剤医療費については前年比8.2%と高い伸び率を示しています。委員の間では、この調剤医療費について主に意見交換が行われました。高額なC型肝炎の新薬を例に取り、このような治療薬が開発されることは第一に患者利益となることは無論、長期的な観点で見れば総合的な医療コストの低減に繋がるとする意見や、一方で高額薬剤の使用にあたっては高額療養費制度に則り保険者が多くのコストを負うため、保険財政の観点からは重大な負担である、等の意見が述べられました。武久会長はこれについて「病気の解明、医学の発展は足を止めてはいけない。薬価の規定については諸外国との比較なども含めて慎重に決定して欲しい」と述べられました。
 

2.高齢者医療の現状について

 今後の医療保険部会での検討の前段階として、高齢者医療の現状について総論的な報告が行われました。医療費の動向として、医療費全体40.8兆円のうち、後期高齢者医療費が約3割の14.5兆円を占めていること、後期高齢者医療制度の被保険者数のうち、現役世帯並所得者は全体の6.5%にとどまり、全体の40%近くが低所得の高齢者であることなど、高齢者医療の現状を示すデータが提示されました。また、特定健診・特定保健指導やヘルスケアポイントによる保険加入者へのインセンティブ付与、糖尿病等の重症化予防など、予防・健康づくりのための取り組みが紹介されました。武久会長は特に高齢者のフレイル予防の項について触れ「フレイルは徐々に進行していくもの、というイメージがあるが、現場の観点からいうと、例えば脳血管障害のため急性期病院で治療を受け、入院をしているうちに、徐々に、というよりは急速に低栄養などフレイル状態になってしまい、そういった状態の患者さんを慢性期病院で受け入れることもあるのが現状。フレイルに『させない』、フレイルになってしまったら『治す』いう流れも必要ではないか」と述べられました。
 

3. 子どもの医療制度の在り方等に関する検討会 議論の報告

 「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」で取りまとめられた内容が報告され、特に医療保険部会に関わる内容として、子どもの医療に関わる制度の問題が採り上げられました。現在、子どもの医療費の窓口負担については、各地方自治体がそれぞれ少子化対策の一環として独自の減免措置を講じているものの、年齢や医療費の範囲、所得制限など内容が自治体によって異なっており、また自治体間での競争も激化し、統一的な基準が求められていることなど、子どもの医療に関わる制度についても、検討が必要であることが示されました。
 



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