- 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト - http://manseiki.net -

大学病院の外来縮小など議論  ~ 中医協

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2011年11月30日 @ 8:00 PM In 審議会 | No Comments

 2012年度の診療報酬改定に向け厚生労働省は11月30日、中央社会保険医療協議会を開催し、医療提供体制、後発医薬品の使用促進、歯科、調剤、改定に関する意見などについて議論しました。

 医療提供体制の議題で厚労省は、① 特定機能病院等での専門特化外来 ② 複数科受診 ③ 入院中の他医療機関受診─の3点について論点を示しました。

 このうち、大学病院など特定機能病院の外来医療について厚労省は、「若手勤務医の労働時間が長い」「外来受診が多い」「待ち時間が長い」などのデータを示し、紹介状なしで大学病院などを受診した患者の初診料・再診料(外来診療料)を来年4月の診療報酬改定で引き下げる方針を示しました。

 厚労省保険局医療課の鈴木康裕課長は、「救急患者さんは再診患者さんの40人分に当たるので、なるべく紹介していただく、再診患者をなるべく逆紹介していただく、地域の医療機関に戻していただくということが大病院、大学病院等の経営上も大事なことではないか」と指摘、「大学病院等の地域の拠点になるような病院の外来については専門を中心にしていただき、残りは地域の中小病院なり診療所で診ていただくのがいいのではないか」と述べました。

 これに対し、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「紹介状のない場合を引き下げると患者さんの負担が減るので、むしろ意図することと逆方向に動くのではないか。点数の誘導で効果が発揮できるのか、地域全体での取組がないと実効性が伴わないのではないか」と苦言を呈し、継続審議となりました。
 

 医療提供体制について厚労省が示した論点は以下の通りです。
 
1. 外来受診の役割分担
 

 【論点】

 ○ 外来の機能分化を推進し、病院勤務医の負担軽減を図るために、紹介なしに地域の拠点病院等を受診した患者に係る初診料・再診料(外来診療料)を適正な評価とし、すでに導入されている初診料・再診料(外来診療料)に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収することと併せて評価を行うことについて、どのように考えるか。

 ○ 専門的な医療が必要な紹介患者を多く診察し、軽症例や安定した患者については、地域の診療所等へ逆紹介を行う取組みついて、診療報酬上の評価をどのように考えるか。

 ○ 病院勤務医の負担の軽減に資する新たな取り組みに対する評価の新設の際には、外来縮小を原則とすることについて、どのように考えるか。

 ○ がんや認知症については、拠点病院等を中心とした連携の評価を行っているところであり、セカンド・オピニオンを目的として専門病院等へ紹介された患者に対して、専門病院等のセカンド・オピニオン外来で行われた診療のうち、がんと認知症の拠点専門医療機関等との連携の評価については、セカンド・オピニオン外来は保険診療上の取扱いとしないという現行の取扱いを見直すことについて、どのように考えるか。
 

2. 複数科受診
 

 【論点】

 ○ 同一日の複数科受診の再診料を全て認めた場合経済的影響が非常に大きいものとなるが、平成18年度改定における初診料に関する評価(2科目の初診科について半額の評価を行う)をふまえて、同一日の2科目の再診に関しても一定の評価を行うことについて、どう考えるか。
 

3. 入院中の他医療機関受診
 

 【論点】
 ○ 病棟の特徴から、他医療機関受診の必要性がやむを得ないと考えられる場合(精神病床・結核病床・有床診療所から他医療機関を透析のために受診する場合等)について、入院中の他医療機関受診の際の入院基本料の減額幅を縮小することをどう考えるか。
 

 このほか、同日の議題や資料など詳しくは厚労省のホームページをご覧ください。【新井裕充】
 



Article printed from 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト: http://manseiki.net

URL to article: http://manseiki.net/?p=375

Copyright © 2011 Japan association of medical and care facilities. All rights reserved.