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「第126回社会保障審議会介護給付費分科会」出席のご報告

Posted By araihiro On 2015年12月15日 @ 11:45 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 平成27年12月14日、「第126回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

 1.介護事業経営実態調査等の見直しについて
 2.介護サービスに関する消費税の取扱い等について
 3.その他
 

◇武久洋三会長の発言
 これまで介護事業経営実態調査の見直しについて議論してきたが、そもそも、この「実態」とは一体何を指しているのか。ここで「実態」とされるのは、いわゆる粗利の部分なのか、それとも経費等差し引いた金額のことか。「実態」とは、法人の裁量である程度自由に使えるお金が残っている状態とするべきではないだろうか。
 
 前回もお話しした通り、介護保険の分野では、民間事業者、社会福祉法人、地方公共団体といった多種多様な事業者が事業を行っている。そのため、法人税、事業税、固定資産税といった税についても、納める義務のある事業所と、納める必要のない事業所がある。事業形態によって、支払いのパーセンテージが異なってくることもある。減価償却についても、建物の減価償却であれば免除される形態の事業所もある。
 今までの介護報酬は、税引前利益の数字をもとに決定していたのか。それとも、税金、経費等すべて支払った後の金額を参考に決めてきたのか、また今後はどういうふうにしていくのか。どの数字を基準として介護報酬を決めていくのかをはっきりさせておかなくては、せっかく実態調査を行っても意味がないように思われる。

 厚労省事務局は上記の質問の回答として、資料1の2ページ「現行の介護事業経営実態調査では、税引き前の収支差率のほか、各介護サービスごとの法人税等の額を調査し、税引き後の収支差率も把握しているが、その時々の税制の在り方を前提としつつ、介護報酬改定の検討の際の参考として、調査結果を公表する際には、税引き前の収支差率に併せて、税引後の収支差率も記載する」という箇所を示された。これは、事業主体の形態ごとに支払うべき税金の額や収支差率も計算されているということで理解している。
 また、課税法人であれば税引き前の収支差を見るし、社会福祉法人であれば納税がないのでそのままの額を見る。補助を受けている場合であれば、国庫補助金積立金取崩額を引いた額で考えていくとのお話しであった。それならば、社会福祉法人は、民間の事業所に比べ、多額の内部留保金が蓄積していくことになるのは必然であったという理解でよろしいのだろうか。これまで、社会福祉法人は内部留保の蓄積についてだいぶ叩かれてきた経緯があるが、内部留保とは適切な運営を行っていれば自然と積み上がっていくものなのか、この点が曖昧なままであるように思う。

 介護保険は医療保険と異なり、大きな医療機器や高価な道具等の購入が少ないので、消費税増税については医療分野よりも比較的対応しやすいだろう。ただ、建物の新築や増築、修繕にあたって、例えば20億円かかった場合、2億円の消費税を一度に支払わなければならなくなる。資産計上した消費税は大体どのくらいの年数で償却されるのか、参考までに、今後の分科会で教えていただければと思う。

○第126回社会保障審議会介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000107015.html
 



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