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「第9回入院医療等の調査・評価分科会」出席のご報告

Posted By araihiro On 2015年10月2日 @ 5:46 PM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成27年10月1日、「第9回入院医療等の調査・評価分科会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

 1.特定除外制度の見直しについて
 2.特定集中治療室管理料の見直しについて
 3.その他
 

◇池端幸彦副会長の発言

*資料12ページ「特定除外項目に該当する90日超え入院患者の状況」では、やはり「リハビリテーションをしている状態」の項目が7対1急性期病棟においては50人当たり0.76人、10対1急性期病棟では1.00人となっており、他の特定除外項目と比較して明らかに多い。

01_特定除外項目に該当する90日超え入院患者の状況

 7対1、10対1に90日を超えて入院している患者というのは、退院しようにも何らかの事情でできないため、やむを得ず留まっているというケースがほとんどだと思う。そうしたジレンマは、資料16ページ「90日を超えて入院している患者の見通し(7対1入院基本料)」、17ページ「90日を超えて入院している患者の見通し(10対1入院基本料)」、18ページ「90日を超えて入院している患者の退院先」にはっきり出ている。

第9回入院医療等の調査・評価分科会資料_ページ_16

第9回入院医療等の調査・評価分科会資料_ページ_17

第9回入院医療等の調査・評価分科会資料_ページ_18

 医学的には外来等で対応できる患者が退院できない理由の中に、「入院先の医療機関の確保ができていないため」というのがある。ここで言う「入院先」とは、受け入れ先となるような医療機関、とくに慢性期病院が確保されていれば転院させられるというニュアンスがこめられているのだと受け止めている。本来なら受け皿となるべき療養病床で、なぜ急性期からの患者を受け入れられないのかという点を、もう少し踏みこんで分析していただきたい。

池端幸彦副会長20151001 医療の現場から感じるのは、高度急性期、急性期から転院してくる患者というのは、医療区分に当てはまらず、受け入れるのが難しいケースという点である。特に高度急性期、急性期で、リハビリテーションをもう少し継続したいという理由で特定除外患者となっているケースなどは、現状では原因疾患発症後1ヶ月しか医療区分2の評価をされない等の矛盾点を改善するなど、急性期病院と慢性期病院の連携を考えた際、今よりも良い方法があるのではないかということを日々感じている。慢性期医療の立場からは、急性期と慢性期とである程度(それぞれの病態の)コンセンサスを得た上で、患者をもっと受けやすくなる仕組みを整えていただけるようお願いしたい。単純に、退院支援を評価すれば済むという話ではない。

*ICU、NICUにおいて薬剤師の配置が大きな効果を上げるということは充分理解しているし、ICU、NICUにおける薬剤師の配置を施設基準の要件に入れるという議論が出てくるのは当然だろう。だが一方で、慢性期医療においても実に多種にわたる薬剤が使用されており、薬剤師が調整して病棟で飲み方を指導するなどしている。将来的には慢性期病院においても、薬剤師の配置加算をもう少し実態にあった形で正当に評価してほしい。
 療養病床の在り方検討会でもデータが出たように、20対1の療養病床では医療区分2・3の患者の割合が9割で、25対1だと6割となっており、イメージとしてはかつての亜急性期に近い状態である。そこに病棟に薬剤師が配置されれば、確かに効果はあるのだろう。その効率性を何らかのデータで示せればと考えている。

*ICUの算定要件がA項目3点以上、かつB項目が3点以上の患者8割以上となっているが、これは相当厳しい算定要件であると思う。20対1の療養病床でも、医療区分2・3の患者が8割以上入院していることが算定要件となっており、大変な思いをしているので、よく分かる。A項目で4点以上等の更なる適正化を行うなら、重症度割合を7割に緩和する等、何らかの救済を行う必要があるのではないか。

*資料80ページ「療養病床中心の医療機関における褥瘡の状況」を見ると、確かに、全国の療養病床をトータルで見れば、ある程度(ケアの)質の差が出てしまうことは認めざるを得ないかと思う。だが褥瘡ではなく、院内で急性肺炎にかかってしまった場合ならどうなのか。単純に病院側(のケア)が悪いということになってしまうのか。
褥瘡については、患者の病態や栄養状態等でやむを得ず発生してしまうものと、きちんとケアすれば防げたにも関わらず発生させてしまったケースとで、ある程度の選別を考えてほしい。どう選別していくかは今後の課題であるが、こうした選別の必要性を共有しておいていただきたい。

*9月に開催された第2回療養病床の在り方等に関する検討会では20対1の療養病床と25対1の療養病床の患者像の違いが、データではっきり出されていた。療養病床でもデータ提出加算を算定する医療機関は確実に増えてきており、次の改定では、この点をもう少し評価していただければと思う。そうすれば、データによって療養病床の実態が明らかになることにもつながっていくだろう。

○第9回入院医療等の調査・評価分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000099054.html
 



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