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「第11回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」出席のご報告

Posted By araihiro On 2015年8月28日 @ 4:22 PM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 平成27年8月27日、「第11回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席いたしました。主な議題は、「平成27年度の病床機能報告の実施について」です。
 

◇武久洋三会長の発言

武久会長20150827○参考資料1「平成27年度病床機能報告報告マニュアル(案)」8ページの、「4つの医療機能」において、急性期機能の定義が「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能」とされている。
 療養病床で調査したところ、入院患者の3分の1が2週間以内に退院している。肺炎、下痢、転倒、骨折といった疾患である。さらに53%が1ヶ月以内に退院している。もちろん、長期入院の患者もいる。
 病床機能報告制度では、4つの医療機能のうちから自院の主な機能を選ぶことになっているが、患者の半分以上を占めている機能で分けるのか、例えば急性期、回復期、慢性期の患者の割合が3:3:4だったら慢性期ということで報告することになるのか。これは、地域包括ケア病棟を算定している場合、非常に悩ましい問題となる。地域包括ケア病棟はサブアキュートの機能があるので、急変患者が当然入ってくる。その一方で、1ヶ月以上入院している慢性期の患者がいる。そうしたとき、患者の数の多い方の機能で報告するのか、それとも自分たちが考えている機能で報告するのか。三つの機能を等分に持っているという場合、一体どのようにして出したらいいのか。病院長がこの機能だと言ったからその機能になるというようなことでは、全国の病床機能の統計が狂ってしまう。

 第8回入院医療等の調査・評価分科会(8月26日開催)の資料で出ていたように、平成26年度の診療報酬改定で特定除外制度の見直しを行ったものの、ほとんどの7対1算定病院では特定除外が温存されている。7対1の急性期病院であっても慢性期の患者が多少入院しているのは一向に構わないが、たとえば高度な医療提供が必要だが慢性期であるという疾患の患者をどう扱うかという問題もある。大学病院であれば病棟がいくつもあるから、その中の1病棟を慢性期でということで済むかもしれない。
 しかしそもそも高度慢性期という項目はどこに入ることになるのか。あらかじめ決めておく必要があるだろう。逆に、地域包括ケア病棟、回復期病棟、慢性期病棟では、診療密度がとりわけ高いというわけではないが、状態の安定化のためにしっかり医療提供を行っているということで急性期だとみなされるケースも出てくるはずである。現状ではそれぞれの病床機能についてまだ充分な議論がなされていないため、このあたりの議論は次回以降でつめていくものと期待する。
 

○資料3「(6)項目の追加」について「医師数等の項目の追加については、他制度と整理を行いつつ、今後検討する。なお、医師の需給見直しや地域定着対策の推進とそれに関連する把握方法は、別途、検討を行うことにする」と書かれている。加えて、参考資料1「平成27年度病床機能報告報告マニュアル(案)」10ページ「Ⅱその他の具体的な項目」の「①構造設備・人員配置等に関する項目」について」を見ると、許可病床数、稼動病床数、看護師、准看護師の人員配置、入院患者数など、7月1日付で報告することになっている。看護師については病棟ごとの報告がしやすいだろうが、医師をはじめ薬剤師やリハビリ療法士等、いくつかの病棟をかけもつことが多い職種については、この病棟に何名いるといった報告は難しいと思う。医師数は、2年ごとの「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」による把握でよいのではないか。
 

○資料5「適切な病床機能報告に向けた今後の検討について」の中に、(注)として「※平成26年度病床機能報告では、具体的な医療の内容に関する項目は、病院単位でしか把握できていないので、上記の分析を行う際には、この点に留意する必要がある」と記載がある。「具体的な医療の内容に関する項目」と書いてあるが、医療の内容ということで言えば、DPCデータは結局、どのような検査をし、どのような画像診断を行ってどのような処置をしたかということのつまびらかな報告である。保険局の管轄の話となってしまうが、DPCデータの報告こそ、この「医療内容」に該当するだろう。さて、病床機能報告制度とDPCデータとの関連はどうなっているのだろうか。いずれ、DPCデータを機械処理することで病床機能が自然に分けられるようになるだろう。将来的にDPCデータが全病棟に義務化されるとなれば、これはいっそう現実的な話になるのではないか。
 さらに言うと、DPCデータは普通は病棟ごとに出される。病棟ごとに出たDPCの診療内容を集計すると、この患者はこの治療内容からみると急性期の患者の概念に入る、あるいは慢性期に入るというふうに、最終的には自動でファイリングされていく可能性があるのかなとも考える。
 事務局の回答は、地域医療構想の観点と医療保険の観点の違いから両者は直接的にはつながらないが、問題意識としては裾野を広く保ちたいというご意見と理解している。
 

○第11回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000095665.html
 



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