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第40回通常総会のご報告

Posted By araihiro On 2015年6月30日 @ 10:19 PM In 会長メッセージ,協会の活動等 | No Comments

 日本慢性期医療協会では、6月29日に第40回通常総会を開催しました。武久洋三会長は冒頭の挨拶で、日慢協会員を対象に行った「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」の集計結果に言及しながら、協会としては、今後も引き続き行政に協力し、より良い医療提供体制の構築に貢献していきたいとの姿勢を示しました。

◇武久会長のご挨拶
 皆さんもご存知の通り、平成30年に向け、高度急性期病床を13万床、一般急性期を40万床、回復期を37万床、慢性期を27万床程度に減床させ、機能を再編しなおす方向で進んでいる。一般病床7対1は、大幅にベッド数を減らされることになる。この方向で進むと、回復期と慢性期のウエイトが大きくなり、急性期の概念よりも慢性期の概念の病床が増えていくことになる。
 一方、療養病床においても、老健や特養といった、施設でも対応できる患者は施設に移す、在宅で診られる患者は在宅に帰すという厚生労働省からの強い要請があるのも事実である。結局のところ、急性期も慢性期もどちらも絞っていこうという流れなのである。
 日慢協としても、東京や大阪の大都市は別として、人口がどんどん減少している地方でもベッド数を変えないまま残すというのは理屈に合わないと承知している。しかし高齢者が増えているのも事実なので、ある程度の数は残しておかないと、機能面で困ったことになるという点は把握しておいていただきたい。
 
 こうした状況の中で、我々はどういった慢性期医療を提供していけばよいのか。調査をしたところ、約1100ある日慢協の会員病院のうち、療養病床20対1を算定する医療機関が約88%で、療養病床25対1は約12%という、圧倒的に20対1が多い結果となった。
 当協会に入会していない慢性期病院の数は2700~2800程度である。約4000近くある全国の慢性期病院の数から我々協会の統計を差し引くと、25対1がじつに6割に達しており、全く異なる様相を呈してくるのである。
 当協会も、3年ほど前は25対1が3割ほどを占めていたが、ここしばらくの間で減少し、20対1や地域包括ケア病棟を算定する流れに変わってきている。わざわざ日慢協に入会して勉強しようという病院が会員なのだから、慢性期医療に熱心なところが多いのだろう。
今回、緊急調査として「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」を行ったわけだが、スケジュール的にかなり無理のある日程で行ったので、協力してくれた会員病院には大変なご負担を強いることになった。しかしその分、協力してくれた病院は、会員病院の中でも慢性期医療に対する意識が高いと考えられる。したがって、この調査結果はポジティブデータになると思うが、慢性期医療をこれだけ真剣に取り組んでいる病院が多いということのよい証左になるだろう。

 参照できるデータとして最も強力なのは、やはり昨年10月と今年2月に提出されているデータ提出加算のDPCデータだろう。地域包括ケア病棟はデータ提出加算の算定が必須であるため、そのデータもすでに蓄積されているはずである。また、療養病床の医療機関も100程度がこの加算を算定しているので、地域包括ケア病棟のデータを公表する際は、ぜひ、療養病床のデータもあわせて公表してほしい。このデータが公表されれば、慢性期病床においてかなり高度な医療提供のあることが明確になるだろう。そして一部で言われているような、療養病床の医療提供なら在宅医療でも対応可能だという議論に対し、こんなにもしっかりとした医療を行っているのだという反論の材料になると思われる。

 厚生労働省は、医療区分1の患者の70%は在宅へ移行できるのではないかという考え方だが、医療区分1というのは医療区分2、3以外の病態というだけで、意識が全くない状態でも、がんの末期でも、医療区分1とされてしまう。医療の知識のない人が作ったといわれても仕方のない区分である。おそらく、平成30年を目途に、見直しを進めざるを得ないだろう。
 医療区分を変えていくにあたっては、急性期、回復期、慢性期とあらゆる病床区分において同様のDPCや看護必要度を用いる等、急性期から慢性期まで、すべて同一の基準を用いて患者の状態を把握できるようにしていただければ、一人の患者さんがどう流れていくのか、非常に分かりやすくなる。

 2025年を待つまでもなく、人口が減ればベッド数は減る。平均在院日数が短くなれば、当然ベッド数は減る。当協会としては、ベッド数の減少もある程度は受け入れていくつもりだ。療養病床にいる患者が、施設や在宅に移った方がいいということなら、患者のQOLを上げて自宅に帰れるよう努力するのは当然である。よりよい医療提供体制の構築のため、妥当性があるならば、日慢協はあらゆる施策への協力を惜しまない所存である。
 

 会長挨拶の後、平成26年度事業報告書、決算報告書が承認されました。総会記念講演には、厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長 佐々木昌弘先生をお招きし、「地域医療構想を踏まえた今後の医療の方向性」と題してご講演いただきました。
 



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