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平成27年度「第2回入院医療等の調査・評価分科会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2015年5月30日 @ 11:53 PM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成27年5月29日、「平成27年度第2回診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。
 本日の分科会では、入院医療の機能分化・連携の推進について、平成26年度調査結果(速報)の概要が提示されました。平成26年度調査の項目は、下記の通りです。

【平成26年度調査項目】

(1)入院医療の機能分化・連携の推進について(①一般病棟入院基本料等の見直し(その1))
(2)入院医療の機能分化・連携の推進について(②総合入院体制加算の見直し)
(3)入院医療の機能分化・連携の推進について(③有床診療所入院基本料の見直し)
(4)入院医療の機能分化・連携の推進について(④地域包括ケア病棟入院料の創設)
(5)医療資源の少ない地域に配慮した評価の影響とそのあり方について
(6)療養病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟等における長期入院も含めた慢性期入院医療のあり方について
 

◇池端幸彦副会長の発言
 
池端副会長0529*本調査の調査票を確認した際、すべての病棟の調査について、医師による指示の見直しの頻度、および看護師による直接の看護提供の頻度を問う項目が入っていたと思うが、調査結果を見ると、一般病棟の調査結果には反映されておらず、慢性期医療の調査においてのみ結果が提示されている。
 事務局の説明では、急性期医療の評価になじみにくいため項目から外して行ったということだが、病床というのは急性期、慢性期で断絶したものではなく、一般病床の7対1、10対1、13対1、そして慢性期20対1と、連続するものである。同じ指標を用いた調査を行ってこそ、はじめて横断的な調査となりうるのではないか。次回以降の調査では、この点を是非考え直してほしい。

*「(6)療養病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟等における長期入院も含めた慢性期入院医療のあり方について」のところで、医師による指示の見直しの頻度についての評価、分析がされており、その中の記述に「医療区分が軽くなるにつれ、医療提供頻度は少なくなる傾向がみられるが、医療区分2で約50%、医療区分3でも約30%の患者が、医師による指示の見直しをほとんど必要としない状態にある」とある。
 確かに、慢性期病床に入院している患者に対する医師の指示の見直しが、毎日刻々と変わるということはないかもしれないが、それが指示を出さずにほったらかしている状態を意味する訳ではない。慢性期病床の医師も指示を出し、患者の病態等管理を行い、回診をする。
 かつて、医師の指示の見直しの頻度と、医療の提供の有無という二点がうまくすりかえられ、介護療養病床廃止の流れが生まれた。それと同様の構図になりかねない。誤解を生まない評価の仕方や書き方をしてほしい。
 また、この調査結果では、一見他の医療提供がまったくないように見えるが、実際は速報にもあるように、看護師による直接の看護提供の頻度も調べている。こちらのデータも含めた上での検討が行われるべきである。加えて、一般病床も同様の指標で評価、分析を行わねばならない。そのような調査結果において療養病床の医療提供が不十分といわれるなら、納得がいくだろう。

療養病棟に入院している患者の状態④

*在宅復帰機能強化加算をとっている療養病床では、患者を自宅から受け、自宅へ帰している割合が多いというデータが出た。また、在宅復帰機能強化加算の算定病棟の退院患者の入院期間は、1日~15日、そして31日~60日が多くなっているという調査結果が出た。
 平成24年度診療報酬改定では、療養病床でも在宅復帰機能や、急性期からの受け皿機能を担ってほしいということで、14日を限度に救急・在宅等支援療養病床初期加算が新設されるなど、頑張って急性期から患者を受け入れようということになった。そこで、2週間のあいだで軽症の肺炎や脱水症状の患者を受け入れ、自宅に帰していく流れを作ってきた。
 療養病床の在宅復帰機能加算は、1ヶ月以上の入院が対象となっている。算定病棟の退院患者の入院期間が30日を切っているのは、療養病床が受け皿としての機敏な機能を求められており、それに応えているからだという面もご理解いただきたい。

*「慢性期入院医療に関する調査のまとめ」のうち4つ目の項目に「医療区分2に該当する患者のうち約50%、医療区分3のうち約30%は「医師による指示の見直しはほとんど必要としない」状態にあり、特に「喀痰吸引」や「酸素療法」、「中心静脈栄養」に該当する患者が多かった」とある。
 これはおそらく、調査結果のうち、医療区分3において「医師による指示の見直しがほとんど必要のない患者のうち、医療区分の「酸素療法」「中心静脈栄養」に該当する患者が特に多く見られた」、加えて医療区分2において「医師による指示の見直しがほとんど必要のない患者のうち、医療区分の「喀痰吸引」に該当する患者が特に多く見られた」とあるのを根拠にしているのだろう。
だが、この3つの処置は、もともと医療区分2、3に多い病態なので、わざわざ「医師の指示の見直しの頻度」との関連付けた「傾向」を言及する必要はないように思われる。ご検討いただきたい。

慢性期入院医療に関する調査のまとめ

*酸素療法のみで医療区分3となるのはいかがなものかと、皆さんが思う気持ちは確かにあると思う。平成18年に医療区分が導入されたわけだが、そろそろこの医療区分は抜本的に見直す時期に来ているのではないか。平成28年度診療報酬改定には間に合わないだろうが、平成30年の同時改定に向け、慢性期特有の病態に即応した新たな医療区分を策定していくべきであると考える。
 また現在、日本慢性期医療協会では会員病院を対象に、医療施設・介護施設の横断調査を行っている。こちらの調査結果を次回の分科会に提出し、慢性期医療について議論の材料としていただきたい。

○平成27年第2回診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000087173.html

 



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