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「慢性期の研究をやっていきたい」  川渕教授

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2011年11月28日 @ 6:54 AM In 協会の活動等 | No Comments

 「東京医科歯科大学の川渕でございます。ここにいるのが何か場違いのような感じもしますが」─。

 急性期病院の入院医療費の研究などで知られる川渕孝一・東京医科歯科大大学院教授が日本慢性期医療協会(日慢協)の委員会でこう挨拶すると、会場から笑い声があふれました。

 団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向け、日慢協が設置した「2025年に向けての良質な慢性期医療の確立」推進3事業委員会が11月10日に開かれました。

 現在、我が国の入院医療費は包括払いと出来高払いが混在しており、限られた医療財源は急性期の入院医療費に多く振り向けられています。しかし、今後の超高齢社会を考えるとき、急性期病院の後方支援はもちろん、在宅医療を支援する上で地域の中小病院の役割、特に慢性期医療が重要となります。

 現在、全国に約8600ある病院のうち、急性期病院の代名詞である「DPC制度」を導入しているのは1500弱にすぎません。しかも、DPCを導入している病院でも療養病床を併設している中小規模の施設が多く、500以上のベッドを持つ巨大な高度急性期病院はごくわずかです。

 ところが、国の医療政策は「選択と集中」という考え方に基づき、大学病院など特定機能病院を中心とする高度急性期に財源を集中投入する方針です。しかし、急性期の治療を終えた後の「出口」をいかに整備するかが大きな課題です。

 こうした中、日慢協は新しい診療報酬体系を提唱しています。療養病床には重度の患者さんが入院しており、急性期機能を持つ療養病床が存在するからです。

 そのため、日慢協は患者さんの病態を考慮した診療報酬体系を検討する「慢性期病態別診療報酬体系策定推進事業」を主な3事業のうちの1つの柱として進めています。日慢協は、「慢性期医療の質の評価・公表等推進事業」「慢性期医療を主軸とした地域連携推進事業」と併せて、これらを「推進3事業」としています。

 このうち、「慢性期病態別診療報酬体系策定推進事業」の外部委員に就任した川渕教授は、「ここにいるのが何か場違いのような感じもしますが」と冗談交じりに挨拶、次のように述べました。

川渕孝一・東京医科歯科大大学院教授_11月10日01

 「私自身はいろんな研究をやっているんですけれども、先日はちょっと富山の実家に帰りました。実は、77歳の父親が脳卒中になりました。田植えにはいつも手伝いに行っていたんですけれども、『もう田んぼに行くのも嫌だ』と言って家に閉じこもっているんです。

 それで、私が『リハビリに行け』と言ったのですが……、ここに富山の方はいませんですよね? (委員ら、笑い) 富山には頑張っているリハビリがあまりないような県でございまして、どうすんのかな……と思っておりました。

 私は今まで、DRGとか急性期のことばかり研究していましたから、いよいよ家族問題と言いますか……。(委員ら、笑い) いよいよ追い込まれましてですね、これを機に慢性期の研究をやっていきたいと思いますので、微力ながらよろしくお願いいたします」

川渕孝一・東京医科歯科大大学院教授11月10日02

 急性期から慢性期へ─。今後の地域医療をコーディネートする上で、慢性期医療が重要なポジションを占めるのは当然の流れと言えるでしょう。慢性期を中心とする医療界が既に動き始めています。【新井裕充】
 



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