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第4回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会 出席のご報告

Posted By araihiro On 2014年11月22日 @ 10:02 AM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成26年11月21日、「第4回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席いたしました。前回の検討会で継続審議とされた「2025年の医療需要の推計方法」については、引き続き担当課において具体案が検討されることとされ、今回は、「地域医療構想」を策定するプロセスと「協議の場」の設置・運営について議論されることになりました。
 
[議 題]
 ○ 都道府県において地域医療構想を策定するプロセスについて
 ○ 策定した地域医療構想の達成の推進のための「協議の場」の設置・運営に係る方針について
 
 医療法の改正を根拠とする「地域医療構想」は、医療計画の一環として位置付けられています。そのため、従来の医療法に規定されている医療計画変更手続きを踏まえつつ、今般の医療法改正および9月12日に告示された「総合確保方針」に基づいた策定プロセスを経る必要があります。

 また、各都道府県は、「地域医療構想」に医療機能ごとの病床数の「必要量」を規定し、各病院から報告される病床数が「必要量」を超えている場合には「協議の場」において調整することとされているため、「協議の場」の設置・運営の方針についても定められなければなりません。

 武久洋三会長は、それぞれの議題について、以下の意見を述べています。

◇地域医療構想を策定するプロセスについて

(武久洋三会長の発言①)
武久洋三会長20141121 地域医療構想作成プロセスは「全国的に共通する手順を参考として示すもの」とされているが、地域によっては法定の病床数を著しく超え、あるいは、「急性期機能」と「慢性期機能」とがアンバランスになるなど様々な状況が想定される。「病床機能報告制度」に基づく地域医療の現状分析によって「構想区域」を設定し、各医療機能の病床の必要量を推計することとされている中で、様々な地域の状況を前提とした「全国的に共通する手順」というものをどのように示していく考えなのか。

⇒(北波孝・医政局地域医療計画課長の回答)
 2025年の医療需要と現状とを比較して、当然、病床の必要量に上下が生じるということは考えられる。その場合は、地域医療構想に根拠となるデータをきちんと明示した上で、構想の実現に向けた施策を検討していただくことになる。したがって、地域医療構想策定・作成の手順については全国共通の参考を示し、構想の内容については各地域によるバリエーションがあり得るというのが基本的なスタンスとなる。
 

◇「協議の場」の設置・運営について

(武久洋三会長の発言②)
 病院経営者が病棟の病床種別を変更する際には、従来、地方厚生局に届け出ることになっているが、今後は、「協議の場」への届出が優先することになるのか。地方厚生局への届出と「協議の場」への届出との手続上の関係性が今一つ不明瞭である。同様のことは、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟などの特定入院料を申請する際にも問題となる。

(武久洋三会長の発言③)
 医政局からは、医療機能として「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の4区分が提示され、各病院は病棟ごとにいずれかの機能を選択して報告することになっている。しかし一方、保険局による入院基本料は、看護師の配置人数によって一般病床については4つ(7対1、10対1、13対1、15対1)、医療療養病床については2つ(20対1、25対1)に分類されているため、現場では病床機能の報告にあたって機能の選択に苦慮しているというのが現状である。また、前回も述べたように、慢性期病棟にも肺炎や心不全、感染症の患者が多く入院しており、急性期的な対応を行っているのが実際のところである。是非、病床種別の名称や機能について医政局と保険局の間で整合性を図り、現場である程度予想がつくような区分の設定をお願いしたい。

⇒(北波孝・医政局地域医療計画課長の回答)
 地方厚生局への届出は医療保険上の取り扱いに関する手続きであり、医療機関が「協議の場」で医療機能を変更するタイミングにおいて、混乱が生じないよう保険局と調整したい。

⇒(吉田学・医療介護連携担当審議官の回答)
 武久洋三先生のご指摘には、事務手続上の課題と「病床機能報告制度」と「診療報酬」の関係をどのように考えるかという課題の2つの要素が含まれている。前者については、考えられるケースを整理して混乱と誤解が生じないよう周知の仕方を工夫したい。後者については、各地域の事情を踏まえて医療機能の分化・強化を図りつつ、経済的評価としての医療内容をどのように考えていくかというより本質的な課題であるため、PDCAサイクルを回しながら検証を進めていきたい。

(武久洋三会長の発言④)
 「協議の場」で協議されるべき事項の1つとして、「過剰な医療機能」への転換が挙げられている。これは例えば、すでに「急性期機能」の必要量が充たされているところにさらに「急性期機能」として転換してくるようなケースが想定されているのであろう。しかし、地方においてはむしろ、自院を「急性期機能」として申請したところ「急性期機能」ではないとされたため、あらためて「慢性期機能」として申請しようとしたがすでに「慢性期病床」の病床数枠も上限となっていた、というケースが十分考えられる。このような場合には、形式的に「過剰な医療機能」への転換と判断するのではなく、当該病院の運営が行き詰まることのないよう柔軟な対応をお願いしたい。

 他の構成員からの主な発言としては、「協議の場」に参加する参加者の範囲について公平性への配慮を求める意見が多く出されました。医療法上、「協議の場」の参加者は、「診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者、医療保険者その他の関係者」とされていることから、看護師や薬剤師の明記を要望する意見があるのに対し、常時参加する参加者を固定した上で、協議の内容に応じてふさわしい関係者の意見を聴くことのできる体制の方がよい、という提案もありました(中川俊男構成員・日本医師会副会長)。

 また、今回の検討会では、「協議の場」の名称案として「地域医療構想調整会議」と「病床機能分化・連携協議会」の2つが担当課より示されていたところ、武久洋三会長は、前者の「地域医療構想調整会議」が適している、との意見を述べています。この点については、中川俊男構成員(日本医師会副会長)や山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)から賛意の声が上がり、他の構成員から異論もなく、全会一致で「地域医療構想調整会議」とすることに決まりました。
 

 ○第4回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000065974.html
 



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