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第3回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会 出席のご報告

Posted By araihiro On 2014年11月1日 @ 9:34 AM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成26年10月31日、「第3回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席いたしました。本検討会は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、平成27年度以降、各都道府県が医療計画に「地域医療構想」を定めることとなっているのにあたり、国が示す「ガイドライン」を策定することを目的としています。
 
 今回の検討会では、「ガイドライン」に盛り込む事項の一つである「2025年の医療需要の推計方法」(医療を必要とする人はどのくらいいるか)が議題として検討され、DPCデータやNDBのレセプトデータに基づいて患者の状態や診療の実態を勘案して算出するという厚生労働省の基本的な方向性について合意されました。医療需要に基づく必要量(病床数)の推計方法は、次回以降検討されることになります。

ガイドラインに盛り込む事項 

 「2025年の医療需要の推計の考え方」に含まれる論点は、①推計に当たっての基本的な考え方、②入院の医療需要について、③各医療機能(高度急性期機能・急性期機能・回復期機能・慢性期機能)の医療需要について──の3点。
 
 武久洋三会長は、医療需要の推計方法について、「現時点の退院患者数や平均在院日数を根拠に医療需要を算出するのでは、現状を追認するだけに留まる。患者がその状態に適したふさわしい病棟に入院しているかどうかが重要なのだから、2025年に向けた意味のある医療需要を推計するためには、病床機能報告制度によって得たデータ等を分析することにより、各医療機能のクライテリアを明確にすることが先決である」との意見を述べました。
 
 武久洋三会長はさらに、医療資源投入量の傾向を踏まえて厚生労働省が提案している仮定の医療機能区分について、「あまりに厳密な区分では病棟の運営が硬直化してしまう」と指摘し、「回復期機能」と「慢性期機能」の定義について、以下の意見を述べています。
 

*「回復期機能」を「リハビリテーションを集中的に提供する機能」と定義しているが、回復期リハビリテーション病棟にはリハビリテーションだけでなく継続的な合併症の治療を必要とする患者も多く入院しており、このような患者はどのように位置付けられるのか。同様のことは1日平均2単位以上のリハビリテーションを提供することとされている地域包括ケア病棟についても言え、はたして「急性期機能」と「回復期機能」のどちらに該当することになるのか。

*「慢性期機能」を「長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能」と定義しているが、当協会が本年2月に実施した調査では、医療療養20対1 における在宅復帰患者の入院日数は1か月以内が約53.0%で、また、2週間以内が約32.0%であった。この結果から、慢性期病棟では、地域において急性期的な機能が果たされているということができる。つまり、慢性期病棟には、長期の療養が必要な患者だけでなく、肺炎や心不全など急性期の医療が必要な患者が一定程度入院しているのである。反面、急性期病棟であっても、手術直後の急性期の患者から、その予後が安定するまでの慢性期的な患者が入院しているというのが現場の実状である。
 
 検討会の後半では、在宅医療について、新田國夫参考人(全国在宅療養支援診療所連絡会会長)へのヒアリングが行われました。新田國夫先生はかねてより慢性期病棟の後方支援機能に理解を示されており、質疑応答の中で武久洋三会長が無床診療所と病院の有機的な連携のコツを尋ねたところ、「医師会活動をとおして地域に密着していくことが一番」と回答されました。「地域医療構想」では、在宅医療についても2025年の患者数を推計することになっています。
 
 次回の検討会は11月下旬に開催され、2025年の医療需要の推計方法について具体的なたたき台となる計算方法や推計例が示される予定です。
 

○第3回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000063556.html
 



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