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社会保障審議会・介護給付費分科会(第109回) 出席のご報告

Posted By araihiro On 2014年9月30日 @ 5:32 PM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成26年9月29日、「第109回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。今回の分科会では、前回に続き、事業者団体からのヒアリングが実施されました。
 
 ヒアリングの対象は、日本福祉用具・生活支援用具協会、日本福祉用具供給協会、日本リハビリテーション病院・施設協会、全国小規模多機能型居宅介護事業者協会、全国個室ユニット型施設推進協議会、全国有料老人ホーム協会、日本認知症グループホーム協会の7団体。各10分程度のプレゼンテーションの後、委員による意見交換の中で、武久洋三会長は以下の意見を述べています。
 

◇武久洋三会長の発言
 
*小規模多機能型居宅介護のケアマネジャーは居宅のケアマネジャーよりも優れているという発言があったが、それぞれのタイプも様々なので、一概にそうとは言い切れないのではないか。私はかねてより、医師における「主治医」のように、ケアマネジャーについても「主事ケアマネジャー」という考え方を導入するべきだと提案してきている。なぜなら、たとえ利用者が特別養護老人ホームやショートステイ、小規模多機能型居宅介護を利用するようになったとしても、在宅からかかわるケアマネジャーが継続してかかわっていくのがよいと考えるからだ。現状では兼務不可のため、利用者が小規模多機能型居宅介護等を利用するようになった途端、在宅からかかわるケアマネジャーはその利用者の支援から外れなければならないことになっている。このような制度のマインドは私にはまるで理解できない。すでに信頼関係のあるケアマネジャーを指名できるようにした方が、利用者やその家族にとってずっとメリットがあるのではないか。また、小規模多機能型居宅介護に外部からケアマネジャーが参入できるようになれば、「第三者評価(外部評価)」の役割も兼ねることができるので、評価のためだけの財源をかける必要もなくなる。

*居宅サービスがあまりに分岐・分類されすぎている。ヒアリングを実施するにも団体の数が多すぎて、まとまりに欠ける。機能の違いは少しずつしかないので、団体の統合を考えてもよいのではないか。居宅サービスのアイテムは「訪問介護」「通所介護」「ショートステイ」「入所」「訪問看護」の5つの組み合わせなのだから、総合的に検討した方がはるかに効率的だと考えるのは私だけではないであろう。5つのアイテムがひととおり完結するような、例えば、「総合居宅介護サービス支援センター」を設置して居宅サービスを一箇所で提供できるようにすれば、利用者にとっても格段に便利である。それぞれの団体が個別にサービスを提供している現状では「共用デイ」の有効活用は進まず、「ショートステイ」についても定員の枠内だけで受け入れているのでほとんど意味を成していない。

*日本リハビリテーション病院・施設協会会長・栗原正紀先生のプレゼンテーションで話題が訪問リハに及んだ際、どうも先生の口が重くなったような印象を受けた。訪問リハに関する団体が別にあるので気を遣われたのかもしれないが、訪問リハは病院・施設プロパーの問題なので、是非、真っ向から主張していただきたい。先生の言われる「障害リハビリテーション」は我々が主張する「慢性期リハビリテーション」の考えと軌を一にしており、そのステーションとなる病院・施設で総合的に取り組むべき課題である。

*以前の分科会資料で、介護老人福祉施設の退所者の60%以上が死亡を理由として退所している、とのデータが示された。しかし、この結果は、容態が急変して病院に移ってもしばらくは特別護老人ホームに籍が置かれていることによる形式的な結果であって、実質的には病院で看取りが行われている比率がかなり高いはずである。また、全国個室ユニット型施設推進協議会から提出された資料によると、施設で亡くなった件数が全体の14%、そのうち、容態が急変して突然亡くなった件数が53%となっており、これでは看取りを担っているはとても言えない。「看取り介護加算が算定できない理由」として挙げられている事項を見ても、将来的に解決できる見込みがある内容とは思えず、個室ユニットにおける看取りに過大な期待を抱くのは非常に厳しい。
 

 武久洋三会長が言及した「共用デイ」および「ショートステイ」については、日本認知症グループホーム協会・河﨑茂子会長から、1事業所3人以下となっている定員を1ユニット3人以下とすれば共用デイ利用者の拡充につながること、「定員+1名」のショートステイが認められれば既存利用者の安全・安心に配慮した受け入れが可能となること、などの要望が出されました。
 
 最後に、大島伸一分科会長代理(国立長寿医療研究センター名誉総長)は、「医療・介護サービスは究極的な個別サービスではあるが、有効で質の高いサービスを効率的に提供することができなければ制度に落とし込むことはできないので、集約化も含めて根本から見直さなければならない時期に来ているのかもしれない」と、議論のまとめを述べています。

 次回の介護給付費分科会は10月中旬に開催され、平成26年介護事業経営実態調査の結果について議論される予定です。

○第109回社会保障審議会・介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
  ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000059308.html
 



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