平成26年９月８日、「第３回医療介護総合確保促進会議」が開催され、武久洋三会長が構成員として出席しました。本会議は、医療介護総合確保促進法に定める「総合確保方針」を作成し、新たな財政支援制度である「基金」の使途・配分等を検証することを目的としています。

　今回の会議では、前回の会議で検討された「素案」にさらに構成員の意見を取り入れた「総合確保方針（案）」が示されました。武久洋三会長が「二次医療圏を再編し、各都道府県でプライオリティのある医療介護総合確保区域を設定すべき」と提案をしていたところ、関連箇所について文言が次のように修正されています。

（修正前）都道府県における医療介護総合確保区域は、二次医療圏及び老人福祉区域を念頭に置いて設定するものとする。

（修正後）都道府県における医療介護総合確保区域は、二次医療圏及び老人福祉区域を念頭に置きつつ、地域の実情を踏まえて設定するものとする。

　渡辺由美子・医療介護連携政策課長より、「総合確保方針（案）」全体の修正箇所について説明された後、構成員による意見交換の中で、武久洋三会長は新たに以下の意見を述べています。

◇武久洋三会長の発言
　資本主義社会では、ニーズあるところに供給があり、供給あるところにニーズがある。公正な取引社会では、効率のよい地域で事業が展開されるのは当然であり、医療・介護も事業である以上、サービスが都会に集中するのを制限することはできない。しかし、この自由競争の原理を放置したままでは、ニーズはあるが供給はないという状況に追い討ちをかけ、過疎地域の医療と介護の提供体制はますます脆弱なものになってしまう。このような過疎地域の状況を打破するためには、医療と介護が必要な地域であれば効率にとらわれず絶対に提供する、という国の政策的なサポートが必要であろう。「総合確保方針（案）」の記述からは、地域差の問題に対する国の主体的なかかわりが今一つ伝わってこない。医療と介護の総合的な確保ということからすれば、より積極的な姿勢を打ち出すべきである。
　

　この武久洋三会長の意見については、河村文夫構成員（奥多摩町長）から、「医療の提供は画一的では意味が無いので、総合確保方針の実行にあたっては是非とも武久構成員の意見を考慮してほしい」という賛意の声が上がりました。
　
　「総合確保方針（案）」については、その取り扱いが田中滋座長（慶応義塾大学名誉教授）と森田朗座長代理（国立社会保障・人口問題研究所所長）に一任され、大きな変更はないまま「総合確保方針」として確定される見込みとなっています。
　
◇ 今回の会議では、「医療介護総合確保法」における「方針」や「計画」あるいは「区域」という用語が、国民にとってわかりづらいものになっているのではないかということから、その概念と関係性についてあらためて確認されました。論点の理解に役立つと思いますので、箇条書きで整理します。

・医療の基盤整備については「医療計画」があり、この「医療計画」には、医療法によって「基本方針」が定められている。

・「医療計画」には、平成27年度以降、「地域医療構想」が盛り込まれる予定である。

・介護の基盤整備については、都道府県では「介護保険事業支援計画」、市町村では「介護保険事業計画」があり、これらの計画には介護保険法によって「基本指針」が定められている。

・医療介護総合確保促進法に定める「総合確保方針」は、医療および介護のそれぞれの基盤整備を貫く基本的な方針である。

・「総合確保方針」は、新たに創設される「基金」の基本的な考え方や、その「基金」を活用するにあたっての「都道府県計画」「市町村計画」の基本事項を定めている。

・「医療計画」に定める区域は、「３次医療圏」52ヶ所、「二次医療圏」344ヶ所である。

・都道府県の「介護保険支援事業計画」で定める「老人福祉圏域」は343ヶ所である。

・41の都道府県では「二次医療圏」と「老人福祉圏域」が完全に一致しており、それ以外の都道府県においても、1つの二次医療圏の中に2つの老人福祉圏域があるなど包含関係にある。そのため、「医療介護総合確保区域」については、ほぼイコールの関係にある「二次医療圏」と「老人福祉圏域」を念頭に置きつつ設定することとした。

・市町村における「医療介護総合確保区域」については、「介護保険事業計画」における「日常生活圏域」に基づいて検討する。
　

　次回の会議は12月以降に予定されており、「基金」の交付状況について報告されることになっています。

○第３回医療介護総合確保促進会議の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000056795.html