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社会保障審議会・介護給付費分科会(第106回) 出席のご報告

Posted By araihiro On 2014年8月28日 @ 11:10 AM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成26年8月27日、「第106回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。

 分科会では、平成27年度介護報酬改定に向けた議論が進められており、今回は、「通所系サービス」と「訪問系サービス」について検討されました。
 
 通所系サービスについては追井正深・老人保健課長から、訪問系サービスについては高橋謙司・振興課長からそれぞれの論点について説明された後、委員による意見交換の中で、武久洋三会長は以下の意見を述べています。

◇武久洋三会長の発言
 介護保険創設以来、居宅サービスは「医療系サービス」と「福祉系サービス」とに分類され、老人保健課と振興課とに分かれて管掌されてきている。果たしてこの分類は一体どこに向かっていくのだろうか。「福祉系サービス」に重度者の割合が増えているということであるが、その要因は、「福祉系サービス」の利用者が当初の予想を上回っているということにあるように思う。訪問介護は、訪問看護や訪問リハビリ、通所リハビリと比較して基本利用料がかからないこと、通所介護についても通所リハビリより基本利用料がかからないためリハビリを受けやすいこと、などが主な理由であろう。つまり、「福祉系サービス」における重度者の増加は、医療的ニーズの高い重度者については「医療系サービス」で対応するという根本的な原則が見失われ、コスト面だけの理由で「福祉系サービス」が選択された結果であるということができる。
 厚生労働省の資料でも示されているように、通所介護と通所リハビリの定義の違いは基準省令上も明らかである。にもかかわらず「福祉系サービス」に重度者が増えているという現状をそのまま是認し、本末転倒のまま、通所介護に専門職配置加算を新設していくという方向に向かって行くのはいかがなものか。私はやはり、居宅サービス設立当初の理念に立ち返って、医師の指示による管理の下、「医療系サービス」と「福祉系サービス」とがサポート体制を築いて行くという方向に向かって行くのが本来あるべき姿であると考える。リハビリ特化型デイサービスやお泊りデイサービスなどあまりに多様化した通所介護に、広範囲にわたって医療職を配置していくことが効率的な施策とも考えられない。 
 介護の前に医療があり、介護の後に医療ある。人は、病気に罹ることによって介護が必要となり、介護状態にあることから病状も重度化していくのであるから、「医療の支え」という視点をきちんと踏まえた議論が求められる。

 次回の介護給付費分科会では、「介護人材確保対策」と「地域区分」について議論される予定です。

○第106回社会保障審議会介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000055590.html
 



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