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平成26年度第1回「入院医療等の調査・評価分科会」 出席のご報告

Posted By araihiro On 2014年6月19日 @ 1:20 PM In 審議会,役員メッセージ | No Comments

 平成26年6月18日、「平成26年度第1回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」が開催されました。同分科会にはこれまで、武久洋三会長が委員として出席しておりましたが、任期の満了により、今年度からは、池端幸彦副会長が委員として出席いたします。
 
 池端幸彦副会長は、新委員としての挨拶の中で、「私は、福井県の越前市で療養病床を中心に在宅医療や在宅介護を運営しており、主に、慢性期医療や在宅支援、地方から見た地域ケアについて提言していきたい」と抱負を述べました。
 
 厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)には、診療報酬体系の見直しに係る技術的な課題について調査・検討を行う5つの分科会が置かれており、中医協の聴取に応じて意見を述べる役割を担っています。この分科会の役割については、一戸和成・医療課課長補佐により、診療報酬改定への道筋をつけるものではなく、あくまで技術的課題について検証を行うものであることが再確認されました。
 
中医協の関連組織
 
 5つある分科会のうち、入院医療に関する検証については、「入院医療等の調査・評価分科会」がその役割を担っており、4月23日に開催された中医協総会の決定によって、平成26年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見の下記の事項について調査を実施し、検討していくこととなっています。
 
平成26年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見(抜粋)
 
 答申書附帯意見に関する調査は、平成26年度と平成27年度の2年にわたる予定で厚生労働省から提案されています。一戸和成・医療課課長補佐より、その項目の内容、調査スケジュールについて説明された後、委員による意見交換の中で、池端幸彦副会長は以下の意見を述べています。
 

◇池端幸彦副会長の発言
 
池端幸彦委員*障害者や特殊疾患の患者の状態像については、医療区分や重症度、医療・看護必要度によって一概に判断するべきではない。とくに平成26年度診療報酬改定で在宅復帰率が強く求められるようになった療養病床は、在宅復帰の見込みが困難な神経難病や脊椎損傷など特殊な病態の患者にとってふさわしいとは必ずしも言えないため、長期間にわたって医療を提供するようなジャンルの病棟は絶対に必要である。

*厚生労働省から提案されている調査は、一般病床7対1から療養病床までの横断的な調査になると思うが、一般病床13対1、15対1については調査の対象となっていない。平成26年度の診療報酬改定では直接触れられなかったため、調査の実施が答申書附帯意見の範囲に限られるということなのであろうが、次期診療報酬改定における重要な検討課題になるであろうことからすれば、一般病床13対1、15対1についてのデータも得ておくべきでないか。

⇒(一戸和成・医療課課長補佐の回答)
調査設計の段階で、できるだけ幅広くデータを集めることができるよう検討したい。

*調査に係る答申書附帯意見の中に、「病床機能報告制度等を踏まえ」との記述がある。病床機能報告制度では既存のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に基づく詳細なデータの提出が求められており、今回の調査とかなりの項目が重複すると思われる。病床機能報告制度の報告時期と調査の実施時期とがほぼ同時期となることからも、両者をどの程度リンクさせて考えていくのか。

⇒(一戸和成・医療課課長補佐の回答)
医政局による病床機能報告制度の調査票をよく検討し、できるだけ調査対象となる医療機関に負荷をかけないように配慮したい。たしかに今回の調査によらなくとも我々が保有できるデータはあるので、調査でなければ得ることができないデータに絞って調査設計するべきである。ただし、あまりに負担軽減ばかりを重視して、事後になってデータが不足となるようなことは避けなければならない。

*平成26年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟を検証していくにあたって、その患者像を把握するためには、施設基準として義務付けられているデータ提出加算を活用すればよいのではないか。出来高算定となり、診療内容を細かくレセプトに記載することになっているため、医療機関に調査の負担を増やさなくとも、かなり詳細に現状を掴むことができるものと思う。

*医療区分が導入されて10年が経とうとしており、医療療養病床に入院する患者の重症化に伴って、現場の実態と医療区分が想定する患者の状態像との間にアンバランスが生じてきている。看護配置基準と合わせて見直しが必要であると考えるが、担当課としてその心づもりはあるのか。今回の調査に実施にあたっても、療養病棟入院基本料1および2、そして介護療養型医療施設の3つの療養病床のそれぞれの機能について結論を出せるような工夫が必要である。

⇒(一戸和成・医療課課長補佐の回答)
現時点ではまだ方向性は何も決まってはいない。しかし、平成30年3月31日に介護療養型医療施設の廃止期限および療養病床に係る看護配置基準の経過措置期限を迎えるという客観的事実は十分承知している。いずれにしても、医療区分のあり方について見直すかどうかについては、今回実施する調査の結果を踏まえて検討することになる。

各委員による意見交換の後、宇都宮啓・医療課長は、「短期滞在手術等基本料については、DPC制度による包括支払との整合性が課題となっており、DPC評価分科会における議論との連動も必要になってくる。また、複数の委員から指摘があったように、患者像についての指標には、重症度、医療・看護必要度や医療区分、ADL区分、障害者総合支援法による障害支援区分などすでに様々なものがある。しかし、それらの指標を転用すれば調査によらずとも必要なデータを集めることができると果たして言えるのか。回収率アップとの兼ね合いもあるので、医療機関側がとりまとめやすく、かつ、今後の検討に資するのに適した調査となるようご意見をいただきたい」と述べ、委員に協力を求めました。
 
 最後に、一戸和成・医療課課長補佐が、調査項目・内容(案)を中医協・基本問題小委員会に報告することについて委員の了承を確認し、分科会は閉会となりました。11~12月の調査実施に向けて、次回から10月までの分科会では、調査票原案の作成について議論される予定です。
 
 ○平成26年度第1回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000048579.html
 



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