- 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト - http://manseiki.net -

「慢性期医療のClinical Indicator(VerⅡ)」を読んで ── 岡田玲一郎

Posted By araihiro On 2014年5月13日 @ 4:09 PM In 役員メッセージ | No Comments

 日本慢性期医療協会誌92号で「慢性期医療のClinical Indicator(Ver.Ⅱ)」を読み、快哉を感じた。「診療の質委員会」の矢野論委員長や委員の皆様のご苦労があっての指標だと感じている。認定審査の認定病院が36で認知度はまだ高いとは言えないがと記してあるが、わたしは、前回のVer.Ⅰを拝見したときから、やがてこの病院臨床指標は常識になってくると思っていた。
 
 自称、「優秀な慢性期医療」ではなく、客観的な指標が医療なればこそ必要不可欠なものだと信じてきたからだ。わたしの持論の「医療とは正義である」は、2013年5月から申し上げさせていただいているものだ。なにも、不正をするなといっているのではなく、正義の定義にもあるように「社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること」は、死ぬまでかえることのない信念である。その正義を証明するものが、「臨床指標」なのではなかろうか。自称の正義と客観性のある正義であろう。
 
 もちろん、認定病院になったからといって金銭的な利益があるわけではない。また、認定病院になられた病院もそれを求めているわけでもあるまい。しかし、病院のステータスとしてのメリットはやがて現われてくるものと思う。
 
 アメリカのJC(Joint Commission)やCARF( Commission on Accreditation of Rehabilitation Facility)のような権威のあるものに必ずや成長していくであろうから、なにも日慢協の会員ならずとも関心を寄せるべきだろう、と思う。日慢協と書いて忸怩たる想いがするのは、わたしは日慢協の参与という肩書をいただきながら、ろくに仕事をしていないからだ。責任として、病院臨床指標をこれからも啓蒙していかねばなるまい。また、微力ながら実践していく。
 
 というのは、昨年、済生会熊本病院がJCIの認定を受けられた。認定か認可か定かでないが、意味はお分かりだろう。先のアメリカのJCのインターナショナル版である。このJCIだって、金銭的、時間的消耗は多いけれど、診療報酬で評価されるわけではない。と言いながら、JCI認定の祝賀会のスピーチでは「日本の機能評価の認定も診療報酬でなんらかの評価があって然るべきだと」言ってしまった。わたしは、アメリカのJCやCARFのように認定を受けなければメディケアやメディケイドの対象になりにくくなることと同じようにしたらよいと思う。JCもCARFも2年に一回の審査である。
 
 いずれにしても、自称臨床指標高水準病院ではなく、認定を受けるシステムを確立する必要があろう。というのは、これまた持論であるが「病院は急性期から始まって、どこへ行くの?」があるからだ。病気は急性期から始まる。いきなり慢性期にはならない。もちろん、医療機関を受診せずに慢性期の病気になってしまう人はいるが、病気は急性期に始まって、治るし、死ぬが、圧倒的に多いのは慢性期へと移行する人だ。だから、当会の主張というか理念にあるとおり、「良質な慢性期医療がなければ、日本の医療は成り立たない!」のである。その質を保持するものが、病院臨床指標だと思うのだが、ちがうだろうか。
 
日本慢性期医療協会参与
社会医療研究所所長  
岡田玲一郎
 



Article printed from 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト: http://manseiki.net

URL to article: http://manseiki.net/?p=2758

Copyright © 2011 Japan association of medical and care facilities. All rights reserved.