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平成25年度第8回入院医療等の調査・評価分科会 報告

Posted By araihiro On 2013年8月8日 @ 10:07 AM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成25年8月7日に今年度第8回の入院医療等の調査・評価分科会が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。前回第7回の分科会で提示された「中間とりまとめ(案)」について、委員からの意見と、調査結果に基づいたデータ(数字)の加筆修正が行われたものが、資料として用意されました。
 平成26年度診療報酬改定に向けた方向性についての記述概要は、前回と変わるものではありません。
 
 石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長・日本医師会常任理事)からは、今後の亜急性期に求められる役割の一つである「在宅等にいる患者の緊急時の受け入れ」の要件として、二次救急病院の指定が挙げられていることに対して、二次救急指定を受ければ本来の亜急性期の対象ではない患者が搬送されてくることが予想され、この要件には納得できない、と見直しを強く求められました。厚生労働省の事務局から、亜急性期で診てほしいのは、高齢者等で比較的軽症の救急患者であり、三次救急でなくてもよい患者を対象として考えている。二次救急病院の指定を必須とするのではなく、機能分担の方向性と考えていただきたい、と答えられました。
 また、石川委員は、日本の医療の8割以上は医療法人などの民間が担っており、その努力にも配慮し、今後の中医協の議論では、さらにデータの検討をしてほしい、と発言されました。
 
 武久会長は、平成18年に医療療養病床に医療区分が導入されたときは、わずか3か月の猶予しかなかった。それまでとは全く違う複雑な評価方法に療養病床の職員は対応しなければならなかった。特定除外の経過措置を外すということは、平成22年に既に決められており、平成24年の改定で13:1、15:1がようやく外れた。7:1、10:1は未だにそのまま継続されており、この匙加減は一体どこでなされているのか。今回の調査結果では、7:1、10:1の特定除外を外しても、平均在院日数にも特段影響しないという明らかな結果が出ている。2025年の超高齢社会が目前に迫っている中で、特定除外をいつまでも続けるような経過措置の継続を求めるというのはあり得ないことではないか。日本の医療の流れについては、委員全員一致した考えであり、その方向にベクトルを動かすべきである。
 
 また、亜急性期、回復期リハ、療養病床は、1床当たり6.4㎡、1病室4人までという施設基準に基づいて運営されているが、一般病床は4.3㎡で、1病室の人数についてもたとえ8人でもよいという基準である。特定除外の患者は、このような一般病床に長期に入院しており、環境としてもよいとは言えない。長期療養に合う病床に早く移すべきではないか。

 委員の中には、7:1、10:1で現在診ている特定除外の患者を、療養病床で受けることができるのか、という不安を言われる方がいた。しかし、日本慢性期医療協会で7月に調査したところ、職員は平均約30%加配されている。基準とおりの職員数ではとても対応できず、収支も顧みず患者を診ている。療養病床の中にも亜急性期の機能を持つ病院も多く、同じような機能を持てば、同じ患者を診ることができるのは当たり前である。(調査集計結果にリンクします→ PDF19.74MB
 
 重症度・看護必要度の項目に、「計画に基づいた10分間以上の指導・意思決定支援」を追加するということについては、国民意識の変化に対応していくためには必要ではないか。今は権利意識が高まり、インフォームド・コンセントを患者、家族側から求められる。慢性期医療では、一人の患者が複数の疾患を持っていることが普通で、ターミナルの患者もいる。重症度・看護必要度という名称ではあっても、看護師だけではなく、医師や他の職種も含め、チーム医療での支援として追加する項目になるだろう。
 
 二次救急を今後の亜急性期で受けていくということについては、今の三次救急が過剰な負担になっていることを見れば、救急患者をシェアしていくことが必要。三次救急で診るような患者を受けるということではなく、軽度の救急には亜急性期も対応していくべき。三次救急に搬送されても、二次救急で診られると判断されれば、そういった患者を受けていくことも必要ではないか。地域には、いろいろなタイプの病院があるのだから、地域医療を担う病院の機能として救急の受け入れを考えていくべき。
 
 特殊疾患病棟、障害者施設等は、現在は、一般病床の中の病床種別となっている。しかし、その患者は、超慢性期ともいえる難病等の患者である。医師、看護師の配置数が、救急にも対応できるような一般病床と同じである必要はなく、療養環境の整った病床で、適正な職員配置を考えるべきではないか、と発言されました。
 
 事務局から提示された「中間とりまとめ(案)」については、全委員から概ね了承の意向が示されました。本分科会で、各委員から出された意見をもとに、最終の修正が行われ、中医協に答申されることになりました。 
 秋以降の「入院医療等の調査・評価分科会」では、今後の改定項目等についての検証調査の実施に関する審議が行われる予定です。

 



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