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平成25年度第4回入院医療等の調査・評価分科会 報告

Posted By araihiro On 2013年6月21日 @ 3:27 PM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成25年6月20日に今年度第4回の入院医療等の調査・評価分科会が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。
 今回の分科会では、診療報酬を簡素化するために、加算をどう考えるかについての検討が行われました。
 
 入院基本料の加算には、看護配置、特殊病室、療養環境などの医療機関の評価によるもの、紹介・受入れ、退院調整などの医療連携の評価によるもの、特定の疾患や病態に対する特殊診療の評価によるものがあります。
 先の平成24年診療報酬改定では、栄養管理実施加算と、じょく瘡患者管理加算が入院基本料に包括化されました。この時の改定では、栄養、じょく瘡とも、加算の算定率が約9割に及んでいたことから入院基本料の中に組み込まれることになりなした。
 しかし、栄養管理実施加算は、一般病棟、療養病棟では約9割が加算の算定をしていましたが、有床診療所では逆に9割近くが算定をしておりませんでした。有床診療所が算定をしていない理由は、特に耳鼻咽喉科、小児科、産婦人科、眼科などで、対象患者が少ないことと、管理栄養士が確保できないことなどが考えられます。
 また、じょく瘡患者管理加算は、一般病棟で約8割、療養病棟で約7割が加算の算定をしていましたが、有床診療所では約3割に留まっています。有床診療所では、専任の看護師の確保が難しいことがネックになっているようです。
 加算の算定率が低い項目(HIV感染者療養環境特別加算、放射線治療病室管理加算など)についてみたところ、算定率は0.0%となっていても、実際の算定状況を見れば、その必要性に応じて加算が算定されており、算定件数は年々増加していることも示されました。

 委員からは、入院基本料に加算を含めるかどうかの前提として、入院基本料の定義自体を検討する必要があるのではないか。平成24年改定では、病院だけでなく有床診療所まで、入院基本料の中に栄養とじょく瘡が包括化されたが、有床診療所ではスタッフの確保が難しく、栄養管理の必要な入院患者がそれほどいないこともデータから読み取れるため、もう一度もとの入院基本料に戻すのがよいのではないか。加算の種類が非常に多く、どのような医療機関がどのような加算を算定しているのかというパターンを把握し、加算を整理していくことも必要ではないか、という意見がだされました。

 武久会長は、医師のいる有床診療所よりも、医師が時々往診するに過ぎないグループホームの方が評価が高くなっている。有床診療所をもっと高く評価するべきではないか。
 有床診療所に管理栄養士を配置することは現実的に難しいだろう。有床診療所に、非常勤の管理栄養士がいればそれで栄養管理ができるということではなく、病院に管理栄養士がいるのであるから、地域医療全体として、患者に対応していくのが、診療所にとっても患者にとってもよいのではないか。診療所で患者を診ていても、一般的に患者の状態が悪くなれば病院に転院させる。診療所と病院の連携加算を新設し、患者の状態に応じて連携を図れば診療所の負担も少なくなるのではないか。
 そして、じょく瘡と栄養には大きな関連がある。高度急性期病院でじょく瘡がつくられることが多いことから、NSTのチームは、まず急性期病院で評価されることになった。しかし、低栄養の評価基準は、各病院によって異なる。私の病院では、アルブミン値が3.5に下がった段階で、低栄養の管理を始めるが、急性期病院では、アルブミン値を2.5で考える病院、2.8で考える病院、3.0で考える病院とさまざまである。低栄養のレベルが下がってから、つまり、火事が起きてから水を汲みにいくのでは遅い。専任の看護師だけで対応できることではなく、栄養、じょく瘡の管理はトータルにチームで行わなければ無理である。
 また、救急搬送患者地域連携受入加算の算定率が0.1%と、とても低い。この加算は、紹介元の医療機関と、受入医療機関が連携を取り、高次の救急医療機関に緊急入院した患者を、入院から5日以内に受け入れた場合に算定できる加算である。連携がとられた場合は、紹介元が1万円、受入側が2万円の加算となっている。5日以内というのは、なかなか厳しい要件ではあるが、急性期病院の病床を有効に回転させていくためには、是非とも、この連携受入加算が活用されるようにすすめていただきたい、と発言されました。

 本分科会は、7月まで、長期入院患者の調査結果の項目について議論を進め、その後、入院医療全体の総括的な方向性についての議論を進めることになっています。
 
 



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