- 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト - http://manseiki.net -

平成25年度第2回入院医療等の調査・評価分科会 報告

Posted By araihiro On 2013年5月31日 @ 1:15 PM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 平成25年5月30日に今年度第2回の入院医療等の調査・評価分科会が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。
 今回の審議は、亜急性期病床のあり方に議論が絞られました。
 亜急性期病床は、平成16年の診療報酬改定で生まれた病床ですが、現在、約1,300病院、17,750床が算定しているに留まっています。病室・病床単位で評価されるため、1病院あたり平均の算定病床数は、約13床です。

 平成24年の診療報酬改定において、回復期リハ病棟に入院料1が新設され、亜急性期の2(リハの算定あり)と同じ点数1,911点が設定されました。亜急性期の病床数は伸びていないのにくらべ、回復期リハを算定しているのは、約1,100病院、62,000床に上っています。しかし、亜急性期の9割近くは、リハの算定をしていることから、両者の違いはどこにあるのか、亜急性期の病床が増えない理由はなんなのか、など、疑問がもたれる箇所です。
 
 武久会長は、そもそも亜急性期ができた時の理念を振り返る必要があるのではないか。亜急性期の病床が増加しないのは、ニーズがないとも考えられる。亜急性期に入院している患者の状態をデータで見る限り、リスクが少なく、看護必要度も低く、いわば安定しているように見受けられる。亜急性期の基準である在宅復帰6割、算定は2カ月まで、という要件を満たすために、今の亜急性期は、治癒が前提ではなく、特養、居住系施設まで含めた在宅に帰れる程度の患者を受け入れているのではないか。
 また、リハを算定していない亜急性期が約1割あるが、患者にはリハが必要であっても、リハスタッフがいないからリハをしていないのか、という理由があるのかどうかも不明瞭。DPC病院での亜急性期への転床時期のグラフを見ると、DPCより亜急性期の方が点数が高くなる11日目、20日目に転床が多い。これから察すると、点数の損得で患者が移されているとしか思えない。つまり、亜急性期の機能が、実際の患者のニーズにマッチしているのかどうか。
 亜急性期ができた時の状況と、現在の状況は違っている。10年後には年間の死亡者が160万人に上ると予想され、入退院の回数も劇的に増加してくるはず。現在のままの亜急性期を拡大していくのは意味がなく、必要とされているのは、本当のPost Acute で、リハを適切に行い在宅に結びつけていけるような病床ではないか、と発言されました。

 どの委員も亜急性期の見直しが必要であることには異論のないところです。今の病床数は、7:1が約33万床を数え、逆ピラミッドのようなアンバランスになっています。これをどのようにニーズに即した形に持っていくのか、そのためには、各病床種別の役割を明確にし、目的に応じた機能を持たせるように変えていかなければなりません。例えば、療養病床(20:1)においても、特定除外に該当する患者の受け入れ、緊急入院への対応、高い在宅復帰率、リハスタッフの充実など、一般病床、亜急性期病床と同じような機能を持ち、急性期との連携を図り地域医療を担っている病院も多くあります。高度急性期の後を受ける病床を充実させることはとても重要であり、その対象者の患者像にあわせた機能を明確化していくことが求められています。Post Acuteは慢性期医療の範囲として考えるべきことであり、今後の議論の中でさらに深めていきたいと考えます。
 



Article printed from 日慢協BLOG —- 日本慢性期医療協会(JMC)の公式ブログサイト: http://manseiki.net

URL to article: http://manseiki.net/?p=2253

Copyright © 2011 Japan association of medical and care facilities. All rights reserved.