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第3回「入院医療等の調査・評価分科会」(3月21日)のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2013年3月24日 @ 12:39 PM In 審議会 | No Comments

 厚生労働省は3月21日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(座長=武藤正樹・国際医療福祉総合研究所所長)の第3回会合を開き、当会からは武久洋三会長が委員として出席しました。同分科会は昨年9月5日以来の開催で、次期診療報酬改定に向け入院医療の具体的な検討をスタートしました。

 第3回の議題は、(1)入院医療等の調査・評価分科会における平成25年度の調査項目(案)、(2)今後の議論の進め方、(3)今後のスケジュール──などです(資料は厚労省ホームページ)。今後、調査結果を踏まえながら月2回程度のペースで検討を進め、分科会としての評価を「11月ごろまでには中医協総会に報告したい」(厚労省担当者)としています。
 
 同分科会では、2012年度診療報酬改定の答申書の附帯意見で示された18項目のうち6項目に関わる分野を検討します。今改定前は、「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」として、医療療養病棟の入院料を中心に検討していましたが、今改定後は入院医療全般について検討する分科会に改組する形で昨年8月に設置されました。7対1入院基本料の要件見直しや長期入院の是正などに関するデータを取りまとめ、中医協の総会や基本問題小委員会に提示することが主な目的です。平成24年度調査はすでに実施済みで、25年度調査は6~8月にかけて実施する予定です。
 

(1) 平成25年度の調査項目(案)について
 

 平成25年度の調査項目(案)を大筋で了承しました。厚労省が示した調査項目は主に次の4点で、①一般病棟入院基本料(13対1、15対1)算定病棟における特定除外制度廃止の影響、②一般病棟入院基本料(7対1)に関する経過措置、③土曜日・日曜日の入院基本料や、退院日の入院基本料の見直しに関する影響、④外来の機能分化──です。

 ①については、一般病棟入院基本料(13対1、15対1)を届け出ている医療機関に対し、入院期間が90日を超える患者(特定除外に該当していた患者を含む)の患者像、患者の割合や退院支援の実施状況などの動向を調査します。厚労省の担当者は、「90日超えの患者がどこに行ったのか、退院の動向を調べたい」と説明しました。これに対し委員から「入院前の状況も調べる必要がある」との意見がありました。

 ②については、平成24年3月31日まで一般病棟入院基本料(7対1)を届け出ていた医療機関のうち、現時点で経過措置により7対1を届け出ている医療機関を対象に、経過措置の算定状況や理由などを調査します。厚労省の担当者は、「経過措置が切れるまで、いよいよあと1年になった。7対1を取りに行くか10対1に降りるのか、その意向を調べたい」と説明しました。これに対し委員から「今年の6月時点では、まだ明確な意向は分からないのではないか」との指摘もありました。

 ③については、一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料および専門病院入院基本料を届け出ている医療機関を対象に、「曜日別の入退院する者の割合」、「正午までに退院する患者の割合」、「土曜・日曜日や退院日などに行っている医療処置」などを調査します。厚労省の担当者は、「金曜日入院、月曜日退院の割合の合計が高い医療機関」などについて、今改定で8%の減額を行ったことを説明、「正午までの患者の退院による減算の有無」や「入院日と退院日が特定の日に集中したことによる減算の有無」などを調査するとしています。

 以上の①~③が「入院医療」に関する論点で、④は「外来医療」(外来の機能分化)に関する論点ですが、同分科会で調査します。具体的には、特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院などを対象に、算定状況や紹介率・逆紹介率の変化などを調べます。

 平成25年度調査について委員からは、回収率の低さを懸念する意見が相次ぎました。平成24年度調査の回収率について厚労省はまだ公表していませんが、「平成24年度調査結果において不足しているものを補足的に調査を行うこともあり得る」としています。そこで、武久会長は「(平成24年度調査で)なぜ回収率が悪かったのか、その原因をはっきりしないと追加調査をしにくいのではないか。回収率が悪かった原因を示していただいた上で、われわれも回収率を上げるよう努力したい」と指摘しました。
 
 
(2) 今後の議論の進め方について
 
 
 3月13日開催の中医協総会で示した「入院医療(その1)」を改めて提示し、同分科会の検討範囲を確認しました。厚労省の資料説明の後、フリーディスカッションの形で進められ、委員らの意見は主に、「平均在院日数」と「重症度・看護必要度」に集中しました。

 厚労省が示した「平均在院日数」に関する資料について、武久会長は「特定除外患者を含めて計算した平均在院日数か」と質問しました。厚労省の担当者が「特定除外患者を入れた数字として書いてある」と回答したところ、武久会長は「13対1と15対1の特定除外患者を療養病棟入院基本料1にする制度がなかった時の数字も混ざっている。いろいろな平均在院日数が出ているが、ベースが同じでなければ比較できない」と指摘、厚労省の担当者は「精査したい」と回答しました。武久会長は「7対1から15対1の病棟で、特定除外も含めた平均在院日数を提示してほしい」と要望しました。

 また、「重症度・看護必要度」について武久会長は、「一般病床の看護必要度は明らかに低いというデータがすでに中医協に示されている。亜急性期はさらに低い。いったい、どんな患者さんが入院しているのかを明確にする必要がある。入院しなければいけない患者さんが入院しているのかが世間から問われている」と指摘しました。

 「7対1入院基本料」は2006年度の診療報酬改定で創設されましたが、続く08年度改定で、一般病棟用の「重症度・看護必要度基準」が導入され、「A得点2点以上、B得点3点以上の患者が10%以上」が要件になりました。今回の12年度改定では、「7対1入院基本料」の基準が再び見直されました。具体的には、①一般病棟用の重症度・看護必要度基準の見直し(A得点2点以上、B得点3点以上の患者が10%から15%以上へ)、②平均在院日数要件の見直し(19日から18日以下へ)──の2点です。

 「7対1入院基本料」の見直しについて厚労省の担当者は、「現在の診療報酬はストラクチャー評価に重点が置かれている」と指摘。次期改定で、「回復期リハビリ病棟入院料1」や「亜急性期入院医療管理料」のようなアウトカム評価を「一般病棟入院基本料」に導入する可能性も示唆しています。
 
 
(3) 今後のスケジュールについて
 
 
 当初の予定では、平成24年度調査の結果(速報)が示され、それを踏まえた議論に入るはずでしたが、厚労省の担当者は「まだ外部に出せる状態ではない」、「データを精査する必要がある」などと説明。平成24年度調査に関する議論は次回に持ち越されました。 
 
今後のスケジュール
  



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