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社会保障審議会・介護給付費分科会(3月8日) 出席のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2013年3月9日 @ 10:56 AM In 会長メッセージ,審議会 | No Comments

 厚生労働省は3月8日、社会保障審議会の介護給付費分科会を開催し、当会から武久洋三会長が委員として出席しました。大森彌・前分科会長(東大名誉教授)の任期終了に伴い、慶大大学院教授の田中滋氏が新分科会長に選出されたほか、分科会長代理に、国立長寿医療研究センター総長の大島伸一氏が選ばれました。委員では、「高齢社会をよくする女性の会」理事の木間昭子氏に代わり、同会理事の井上由美子氏(城西国際大教授)が就任しました。

 この日の議題は、▽東日本大震災における特例措置について、▽平成25年度介護事業経営概況調査の実施について──などです(資料は厚労省ホームページ)。
 
 厚労省はまず、「東日本大震災に対処するための要介護認定有効期間及び要支援認定有効期間特例に関する省令の改正」を提示。その基本的な考え方として、「東日本大震災により市町村が要介護認定等の更新に係る事務を行うことが困難となっている状況が継続していることから、被災市町村からの要望も踏まえ、要介護認定等に係る有効期間を延長し、市町村の事務負担を軽減する」としました。

 具体的な内容は、「平成25年3月31日までの措置となっている要介護認定等の有効期間を12月間までの範囲内で市町村が定める期間延長可能とする特例省令について、平成25年9月30日まで適用期間を延長する」となっています。

 対象となるのは、被災市町村である岩手県の大槌町、福島県の南相馬市、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村が行う介護保険の被保険者で、平成25年9月30日までに要介護認定等の有効期間が満了する被保険者です。
 

■ 訪問看護サービスの特例延長等について
 

 訪問看護サービスの特例を適用する地区を宮城県石巻市と福島県南相馬市の一部に限定し、9月末までの延長を認める省令改正を了承しました。

 訪問看護サービスの人員基準をめぐっては、内閣府の「行政刷新会議規制・制度改革委員会」報告書(平成24年6月29日)で、「特例措置の実施状況を踏まえ、安全なサービスの安定的な提供に配慮しつつ、必要な人員配置基準について検討を行い結論を得る」とされています。

 東日本大震災への対応として特例的な取扱いとして創設された訪問看護サービスについて厚労省は、「2度の期間延長により、現行の期限は平成25年3月31日となっている。現在3市でサービス提供中だが、サービス提供実績はこれまでの約2年間で延べ13人であり、現在の利用者は10人」と指摘しました。

 今回、特例看護サービスの創設から約2年間が経過し、具体的な実施状況が把握されているため、厚労省は「東日本大震災への対応」と「制度としての訪問看護サービスの人員基準」のそれぞれについて議論を求めました。その結果、特例措置の適用地区を限定した上で、9月末までの延長を認める改正を了承しました。

 3月1日現在、特例措置を利用している宮城県石巻市、福島県南相馬市は継続を希望していますが、岩手県一関市は、「管内の当該基準該当訪問看護事業所では、仮設住宅入居者や被災者の利用はなく、以前から管内に住んでいる方だけの利用である。特例で認める理由はなく、既存の指定訪問看護事業所の対応で十分可能であることから、この特例の基準該当訪問看護の継続は必要ないものと認められる」との意向を示しています。

 議論の中で武久会長は、「介護保険は利用者本位の制度である」とした上で、今回の特例は「要件に該当する場合に許可する『基準該当サービス』なので、市町村の意向を無視するわけにはいかない。従って、市町村が特例延長を希望しているならば、基準該当サービスにおいては認めざるを得ない。できるだけ基準を充たすように努力することを条件に加えれば、市町村の裁量に任されている」との考えを示しました。ただし、これを全国的に広げることには慎重な姿勢で、大規模な訪問看護サービスと小規模サービスとが連携できるようなシステムの構築を要望しました。

 続く訪問看護サービスの人員基準に関する議論でも、1人訪問看護事業所の安全性などを理由として人員基準の緩和に否定的な意見が相次いだため、「現行の人員基準を維持すべき」との意見で合意。特例措置の延長と併せ、田村憲久・厚生労働相への答申書をまとめました。
 



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