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「第7回介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年12月28日 @ 11:02 AM In 審議会,役員メッセージ | No Comments

 厚生労働省は12月27日、「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」(座長=田中滋・慶大大学院教授)の第7回会合を開催し、当協会からは池端幸彦副会長が出席しました。これまでの議論を踏まえた中間報告書案を了承し、同検討会はいったん終了となりました。今後は、社会保障審議会の介護保険部会などでさらに検討を重ね、「地域ケア会議」や「居宅介護支援事業所の指定権限」などについて早ければ平成26年の法改正を目指すとしています。

 同日の会合で厚労省が示した中間報告書案の冒頭では、2025年に向けて要介護発生率の高い75歳以上の高齢者が急増することを指摘し、要介護者等となっても「住み慣れた地域で生活を継続できるよう、地域包括ケアシステムを日常生活圏域で実現していくことが重要な政策課題」としています(資料は厚労省ホームページ)。

 その上で、「介護支援専門員の資質やケアマネジメントの質の向上に対する期待も大きくなっている」と指摘し、主な検討課題として「介護支援専門員の養成、研修について、実務研修受講試験の資格要件、法定研修の在り方、研修水準の平準化などに課題がある」など10項目を挙げ、今後の対応策を示しました。具体的には、「介護支援専門員自身の質の向上に関するもの」と、自立支援に資するケアマネジメントを介護支援専門員が実践できるようにするための「環境整備に関するもの」の2つに分けています。

 「介護支援専門員自身の質の向上に関するもの」としては、「ケアプラン様式とは別に、課題抽出のための新たな様式の活用を進めるべき」としたほか、「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験要件について、「保健・医療・福祉に関する法定資格保有者」などに限定することや研修制度の見直し等を挙げています。更に「主任介護支援専門員」については、更新制や小規模居宅介護支援事業所の指導・支援等の役割導入の検討などを検討すべきとしています。
 また、「環境整備に関するもの」(保険者機能の強化等による介護支援専門員の支援)としては、「地域ケア会議の機能強化」「居宅介護支援事業所の指定等の在り方」「介護予防支援の在り方」「ケアマネジメントの評価の見直し」などを挙げています。
 

■ ケアマネジャーの方々への応援
 
 意見交換では、「介護保険施設における介護支援専門員」の箇所で、「介護支援専門員等の資格取得を進めていくべき」との記述をめぐり、「社会福祉士を入れるべき」「むしろ『等』を削除すべき」など若干の議論がありましたが、全体の内容については大筋で合意しました。

 田中座長は最後に、「ケアマネジャーの方々への応援であり、ケアマネジメントというプロセスに対する応援の気持ちでご議論いただきました。ありがとうございました」と謝意を示した上で、「制度にしなくてはならないものはこれからの議論ですが、制度にしなくても、ケアマネの方々や事業所の方々が実行していいことはたくさんあります。先に進んではいけないということはないので、『検討すべきである』と書かれていても、どんどん実行していただきたい」と述べました。

 会議終了後、厚労省老健局振興課の朝川知昭課長は記者団に対し、次のように話しました。
 「(中間報告書の中で)法律に直接関わるのは、『地域ケア会議』と『指定権限』です。あとは省令レベルのものや運用レベルのものです。ただ、『地域ケア会議』は法律改正事項ではありますが、既に運用面で進んでいますので、現場でどんどんやってほしい。法制度的に担保するのは2~3年後ですが、(中間報告書を)見ていただいて取組みを進めていただきたい。そのほか、在宅医療連携拠点もそうです。また、保険者が研修などでケアマネジャーを支援していくこともどんどん進めてほしい。主任ケアマネジャーがネットワーク化して、ケアマネジャー同士をつなげていくこともすぐにやってほしいと思っています」
 

■ 介護療養型医療施設でもケアマネジメントが必要
 

 一方、池端副会長は会議終了後、「今後は中間報告書の内容をどのように実行していくかが課題になる」と指摘した上で、次のように話しました。
 「2年後に介護報酬改定で評価されてしまうので、現場の方々はこの中間報告をしっかり読み込んで、今できることからスタートする必要があります。そういうメッセージをケアマネジャーに投げていかなければなりません。制度ができるのを待っているのではなく、研修など自分たちでできることがありますから、どんどん先を行ってアピールし、できることを先取りしてやっていく段階に入ったと言えます。そういう意味でも、当協会では来年1月から『ケアマネジャー講座』をスタートしますので、ぜひ多くのケアマネジャーにご参加いただくことを期待しています」

 なお、今回の中間報告書では、介護保険施設のケアマネジャーについて、介護老人福祉施設や介護老人保健施設のほか、「介護療養型医療施設についても、施設の特性にかんがみながら、介護支援専門員が他職種協働の下で質の高いケアマネジメントを進めていくことが必要である」との記載があります。
 この点について池端副会長は、「先週の事前レクの段階での『中間的な整理(案)』の介護保険施設についての項には、『介護療養型医療施設』について一言も触れていなかったため、加筆を強く要望し、『介護療養型医療施設についても、施設の特性にかんがみながら、介護支援専門員が多職種協働の下で質の高いケアマネジメントを進めていくことが必要である。』との一文を入れていただけたことは良かった」と一定の評価をしました。
 



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