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「医療制度が激変しても慢性期医療の意義は変わらない」 高木教授が講演

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年10月12日 @ 10:57 AM In 協会の活動等 | No Comments

 「病院が生死に関わる場所であることは確かで、慢性期医療に関わる皆さんの力は決して変わらない」─。慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科の高木安雄教授は10月11日、日本慢性期医療協会(日慢協)の役員らを対象に、「慢性期医療の課題と今後の展望:日本慢性期医療協会20周年をふまえて」と題して講演、「医療制度が激変しても、皆さんが果たす役割は非常に大きく、社会的な意義が大きいことは変わらない」と述べました。

 高木教授は冒頭、日慢協20周年に対する祝辞を述べ、「研究者としての私のかなりの部分は慢性期医療の現場の皆様方からいろいろなお知恵を頂き、それを整理して世に問うてきた。厚く御礼を申し上げたい」と挨拶しました。

 高木教授は昨年まで、中央社会保険医療協議会の診療報酬調査専門組織「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」で分科会長代理を務めていました。同分科会は今年8月から「入院医療等の調査・評価分科会」に改組し、武久洋三会長が引き続き委員として参加しています。高木教授は、「委員を退いたが、『新しい慢性期医療の議論が始まった』という思いで見守っている」と、今後の展開に期待を込めました。

高木安雄教授講演 講演で高木教授は、慢性期医療を考える際の視点として、「チームケアの追求」を挙げました。

 高木教授は、「慢性期医療や長期ケアを考える際には生活や居住など医療以外の視点が必要となる」として慢性期医療の多様性を指摘。高齢者ケア政策や介護保険サービスの経緯などに触れながら、地域格差の問題や2025年の医療・介護体制などを説明した上で、今後の慢性期医療の課題を示しました。

 高木教授は、今後の課題として「慢性期医療とは何を意味するのか、ポストアキュートか、『亜急性期』との違いは何か」と問題提起。「地域や生活に近い所で提供する医療を明確化して社会に示していくことが必要ではないか」と述べました。その上で、「従来の急性期・慢性期のケアミックスと、『地域一般病床』の議論をどうつなげていくかが重要だ」と指摘しました。

 また、人材確保の問題に関連して、「慢性期医療の魅力を医師に伝えていく努力が必要だ」、「外国人労働者の受け入れは慢性期医療と高齢者介護よりも急性期医療から始めるべきではないか」といった提言もありました。

 講演後の質疑応答では役員との活発な意見交換が行われ、「厚生労働省の推計によると2030年に死亡場所が不明の『その他』が約47万人もいるが、居住系施設と病院との関係などをどう考えるか」との質問がありました。
 高木教授は、「居住系の展開は簡単ではない」とした上で、「最期は病院ではないか。病院が生死に関わる場所であることは確かであり、慢性期医療に関わる皆さんの力は決して変わらない」と回答、「医療制度が激変しても、皆さんが果たす役割は非常に大きく、社会的な意義が大きいことは変わらない」と結びました。
 



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