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第2回「入院医療等の調査・評価分科会」(9月5日)のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年9月6日 @ 4:17 PM In 審議会 | No Comments

 厚生労働省は9月5日、診療報酬などを審議する中央社会保険医療協議会(中医協)の調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」の第2回会合で、今年度に実施する調査項目案を示し、大筋で了承されました。近く開催される中医協総会で承認を得た後、10月から調査を開始する予定です。

 第2回会合に先立ち厚労省は、前回8月1日の初会合で承認された「調査内容の検討案」などを22日の中医協総会に報告しました。総会では、診療側委員から「調査項目に褥瘡が入っているのはおかしい」との意見や、支払側委員から「最終結果の報告を前倒しにしてほしい」、両側の委員から「回収率が低くならないよう現場に負荷が掛からない工夫をしてほしい」などの要望がありました。

 こうした意見を踏まえ、第2回会合の冒頭で厚労省の担当者は、「いろいろな議論があるが、(今年度改定答申の)附帯意見の範囲で議論していただきたい」と前置きした上で、今年度調査の概要や個別項目などについて説明しました(資料は厚労省ホームページ)。「医療機関における褥瘡の発生等の状況の検討」という調査項目に変更はありません。

 質疑では、回収率の向上を図るような工夫を求める声が相次ぎ、インターネットを活用した回答方法などを検討するよう求める意見もありました。また、1施設当たり40人を予定している患者調査について、「1000床の大学病院での40人と、100床の中小病院での40人とは意味が違う」との指摘があったほか、クロス集計など調査結果の分析に関する意見なども出ました。

 厚労省の担当者は、「過去に実施した平成21年、22年度調査の手法を踏襲する」と回答。「紙ベースで実施する」など、これまでの調査と同様の方法で行う方針であることを説明し、委員らの了解を得ました。閉会後の記者説明会では、「項目の削除を求めるような意見はなかったように思う。委員のご意見をなるべく反映できるように調査票を作りたい」と述べました。
 

「回収率を高める工夫を」─武藤分科会長

 この日の会合では、前回議論があった看護必要度に関連して、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)から「医科点数表上の状態評価法及び日常生活活動評価」と題する資料が提出されました(資料はこちら)。

 武久委員は、「A項目については、『高度急性期』『慢性期』など医療機関の機能によって患者さんの病態像が変わることは当然だが、B項目のADLはほとんど変わらないのではないか。従って、ケアミックスの病院では、病棟ごとに大変であるので、こうした状況になっていることを資料として提供したい」と説明。病棟ごとに患者の病態像を評価する基準が異なっている現状を指摘しました。

 一方、神野正博委員(全日本病院協会副会長)は、「急性期と亜急性期、回復期リハ、慢性期との違いは病態変化の大きさではないか。療養病床と亜急性期病床、回復期リハ病床などをきちんと区別するために、『患者の病態の変化度』という要素を入れてはどうか。急性期は非常に変化が激しいから医療資源がたくさん必要なのではないか」と指摘しました。安藤文英委員(日本病院会常任理事)は、「静態調査よりも動態調査のほうが主ではないか」として神野委員に同調しながらも、「患者がどのように変化しているかを調査するのはなかなか難しい」と述べました。

 こうした意見に対し武久委員は、「慢性期は変化度が少ないかと言えばそうではない。悪くなって死亡するなどの変化度も多くある。急性期病院では、良くなっても入院しているということはあり得ないので、良くなれば退院する。従って、変化度をどのようなパラメーターにして調査項目に入れるかということは結構難しい」と指摘しました。厚労省の担当者は、「回収率や現場への負荷との関係で、どこまで細かく調査するかは検討したい」と回答するにとどまりました。

 意見交換を終えて、武藤正樹分科会長(国際医療福祉総合研究所所長)は、「かなり多項目にわたる調査なので現場への負荷が大変掛かると思う。分かりやすいマニュアルを用意したり、選択式の回答方法にしたり、回答に関するマニュアルを用意したりするなど、回収率を高める工夫をしてほしい」と要望しました。

 次回会合について厚労省の担当者は、「来年3月中に開催したい」としています。
 



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