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第56回社会保障審議会・医療保険部会(7月30日)のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年7月31日 @ 10:29 AM In 審議会 | No Comments

 厚生労働省は7月30日、第56回社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)を開催しました。主な議題は、▽産科医療補償制度の運営状況、▽医療費適正化計画、▽協会けんぽの財政運営──です(資料は厚労省ホームページ)。

 まず、産科医療補償制度の運営状況について、同制度を運営する公益財団法人・日本医療機能評価機構の上田茂理事が説明。2009年1~12月までの保険料収入は315億2500万円、うち支払った補償金は51億6000万円、支払準備金は214億2900万円でした。10年1~12月は同323億8300万円、同37億8000万円、同250億600万円でした。また、11年1~12月までに掛かった同機構の事務経費は7億3500万円、保険会社の事務経費は30億2600万円でした。このため、同制度を運営する保険会社などに残る「剰余金」の取り扱いをめぐり議論になりました。

 小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、「剰余金」を保険者に返還することなどを要望。白川修二委員(健保連専務理事)も、「なぜ保険会社に利益が残るのか」などと厳しく追及し、掛け金3万円の引き下げを検討することなどを求めました。他の委員からも、同制度の設計などについて批判的な意見が相次ぎました。一方、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、産科医不足の解消や訴訟リスク軽減などを目的とした同制度を「画期的」と評価した上で、補償範囲の拡大や給付水準のアップなどに「剰余金」を充てるべきと主張しました。

 これらの意見に対し、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、同制度の目的の1つである「紛争の防止」(訴訟リスク軽減)に関連し、「補償金を得た上で産科医に損害賠償請求の裁判を別途起こす風潮になることが怖い。産科医がこの制度によって救済されるのか心配だ」と指摘しました。同制度については、今後も同部会で議論していく予定です。

 続いて、来年度から始まる第2期の「医療費適正化計画」について、厚労省は前回6月21日の会合で示した基本方針の修正案を提示し、大筋で了承されました。ただ、議論の中で武久委員は、介護療養病床から医療療養病床に転換する「逆流」現象が見られることを指摘した上で、介護療養病床の廃止策と医療費適正化計画との関係などを質問しました。しかし、厚労省側から明確な回答はありませんでした。

 最後の議題である「協会けんぽの財政運営」については、2011年度決算で黒字に転じたことなどを厚労省が説明、「2010~12年度の3年間にわたる財政再建の特例措置(国庫補助)により、3200億円の累積赤字を解消した」と報告しました。これに対し、全国健康保険協会(協会けんぽ)理事長の小林剛委員は、「財政の赤字構造が好転したわけではない」と主張、協会けんぽへの国庫補助率を現行16.4%から上限20%まで引き上げるよう求めました。委員からは賛否両論があり、継続審議となりました。
 
7月30日の医療保険部会02



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