災害急性期、「病院が病院を支援」 ── 池端副議長、病病連携の重要性を強調
15団体で構成する日本病院団体協議会(日病協)は8月28日、第260回代表者会議後に記者会見を開いた。災害時の医療支援をめぐり、池端幸彦副議長(日本慢性期医療協会副会長)は、発災直後に病院機能が低下した際には、入院患者の受け入れをはじめとする病院間の連携が重要になるとの認識を示した。
池端副議長は、特に急性期の「最初の2週間、3週間」は、被災した病院が十分に機能できない中で、入院患者をどのように受け入れるかを短時間で判断しなければならないと指摘。熊本地震では、比較的被害の少なかった熊本市内の病院などから支援が行われ、「病病連携が結構うまくいったのではないか」と振り返った。水道や電気などのライフラインが復旧していない病院や、医師、看護師が十分に勤務できない医療機関への支援についても、病院同士の連携が有効に機能したとの見方を示した。
会見では、神野正博議長(全日本病院協会会長、恵寿総合病院理事長)が同日の代表者会議で協議した内容を報告した。主な議題として、中医協におけるOTC類似薬の一部保険外療養、医療関係職種の養成・確保、医療DX、医療に関する消費税問題などを説明した。
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災害急性期、「病院が病院を支援」
神野議長は会見冒頭、熊本地震や千葉県の豪雨災害、石川・富山を中心とした豪雨災害に触れ、亡くなった人への哀悼と被災者、被災病院へのお見舞いを表明した。その上で、神野議長は「これまで病院団体はDMAT、AMAT、JMAT、DPATなどを通じて各地で支援活動に取り組んできた」として、「病院同士の連帯を今後も大切にしたい」との考えを示した。
質疑では、災害時における病院連携について質問があった。神野議長は「災害支援には医療施設への支援だけでなく、住民や避難所への支援などさまざまな形がある」とした上で、発災直後の急性期については「病院が病院を支援するというのが、われわれが最初にできることではないか」と説明。熊本地震では、病院同士が支援する仕組みが有効に機能したとの認識を示した。その上で、急性期を過ぎた段階では、「住民支援をはじめ幅広い活動にも病院が関わる必要がある」とした。
池端副議長は、被災直後の2~3週間について「病院が機能しなくなった時に、まず入院患者さんをいかに受け入れるかということで、病病連携が必要になる」と述べ、限られた時間の中で患者の受け入れ先を確保することの重要性を強調した。
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OTC類似薬、医師の判断・事務負担に懸念
中医協の報告については、OTC類似薬の一部を保険外療養とする仕組みをめぐる議論が紹介された。
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同制度では、患者から追加負担を求めるかどうかについて「医師による確認」が必要となる。神野議長は、国会審議などを通じて除外対象が複数示されたことから、追加負担を求める患者と求めない患者を判断する医師にとって、「公平性」を含め非常に難しい判断になるとの懸念を示した。
さらに、対象患者が制度上の要件に該当するかどうかを確認する作業が加わることで、診療時間の増加やシステム対応など、新たな負担が生じると指摘。「われわれとしては、いわゆる『診察料等』に含まれるものとするならば、そちらに関しては『特段の上乗せ』といったものが必要になってくると思われる」と説明した。
質疑で、こうした負担について診療報酬上の評価を求めるのか、国によるシステム整備を求めるのか問われると、神野議長は「2つとも、私は『あり』だと思う」と回答。時間や手間が増えることに対する診療報酬上の手当てと、システム面での支援の両面について今後議論していく考えを示した。
一方、現段階で追加の要望書を提出する予定はないと説明。診療報酬で評価する場合については、初・再診料や診察料による対応が1つの選択肢になるとの見方を示した。
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医療人材の確保、外国人も「議論すべき」
医療関係職種の養成・確保をめぐっては、人口減少と若年人口の減少が進む中で人材確保策が課題となっている。神野議長は、厚生労働省の「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」で、外国人材を医療関係職種として受け入れることが議論の対象となっていない点を挙げ、「外国人材についても今後の人材確保策の1つとして議論すべきとの意見が代表者会議で示された」と報告した。
また、地方を中心に医療関係職種の養成校で定員割れが生じていることにも触れ、サテライト教育やオンライン、オンデマンド授業などを活用しながら養成機能を維持する必要性を指摘した。
一方、「現在の人員配置基準そのものが存在するから医療関係職種の確保に苦労している面がある」として、医療DXの進展などと合わせて配置基準を見直す必要があるとの考えを改めて強調した。
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医療DX、「病院と介護施設との連携も」
医療DXについては、「厚労省が2028年までに200床以上の病院で電子カルテ普及率100%を目指すことや、2030年までにクラウドネイティブな環境を整備する方針などについて意見を交わした」と報告。神野議長は、こうした目標を実現する上では「財源的な問題といったことに対して懸念事項がある」との認識を示した。
さらに、代表者会議では、医療DXを急性期病院間の連携だけで考えるべきではないとの意見も出たという。神野議長は「今後、85歳以上の高齢者が増加していくことを踏まえ、病院と介護保険施設、福祉施設、在宅医療との情報連携を進める必要がある」と指摘。「診療情報提供書などを含む情報共有ネットワークを一体的に構築すべき」との意見や、「病院だけの医療DXでは不十分ではないか」との意見があったと伝えた。
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消費税問題、「時間はない」と議論加速へ
医療機関が負担する控除対象外消費税の問題について、神野議長は、4月に日病協議長に就任して以降、毎回の代表者会議で継続的に情報交換を行っていると説明した。
今回の会議では、自民党と日本維新の会の7月7日の申し合わせで、今年度中に消費税をめぐり何らかの結論を出す方向性が示されていることから、「そんなに時間はない」との認識を共有。「課税方式、非課税還付、還付・リベート方式など複数の案がある中で、今後さらに議論を進める方針を確認した」と報告した。
神野議長はまた、「医療と消費税に関する国民会議」への参加も各団体に呼びかけていると説明。日病協を構成する15団体のうち、現時点で12団体が参加する方向であることを伝えた。残る団体については、「理事会がまだ開催されていないなど手続上の事情もある」として、今後の判断を待つ考えを示した。
国民会議について神野議長は「病院団体だけでなく政治家や元官僚、メディア、国民の代表者なども交えて議論するので、課税方式や非課税還付など特定の方式を最初から前提とするのではなく、できるだけ多くの方々に納得いただけるような形を目指したい」との考えを示した。その上で、「国民会議での議論を日病協に持ち帰り、改めて各団体で検討していく方針」と述べた。
2026年8月29日


