第51回通常総会を開催 橋本会長が再任、「寝たきりゼロ」を軸に 慢性期医療の価値を制度へ
当会は6月25日、東京研修センターで「第51回通常総会」を開催した。総会では、令和7年度事業報告、同決算報告、役員選任などの議案が審議され、いずれも満場一致で承認された。役員改選では、橋本康子氏が引き続き会長に選任され、3期目の執行体制が始動した。
橋本会長は開会挨拶および就任挨拶で、令和8年度診療報酬改定後の現場対応、来年に控える介護報酬改定、2040年を見据えた医療・介護提供体制の再構築に触れた。慢性期医療の役割については「その人らしい暮らしにつなげていく」ことにあると位置づけ、当会が掲げる「寝たきりゼロ」について、「単なるスローガンではなく、慢性期医療の実践を結集した現実的な目標である」と強調した。
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慢性期医療の使命は「患者の生活の再構築」
総会は、中尾一久副会長の進行で開会した。冒頭、橋本康子会長は出席者に謝意を示した上で、令和8年度診療報酬改定後の医療現場が病床機能の転換や質向上に向けた対応を進めている現状に言及した。さらに、来年には介護報酬改定が予定されていることを踏まえ、「これまでと同じ仕組み、同じ考え、発想のままでは医療・介護提供体制を維持することは極めて難しい」と述べた。
橋本会長は「慢性期医療が単に急性期後の受け皿ではなく、患者の生活を再構築するための医療である」と強調。急性期病院で救命された患者が、その後どのような生活を送り、どのような生活を取り戻せるのか。橋本会長は「要介護状態や寝たきりをいかに防いで、その人らしい暮らしにつなげていくのか」が慢性期医療の使命であるとした。
これまで当会では、武久洋三名誉会長が「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」と訴え続けてきた。橋本会長は武久名誉会長の思いを受け継ぎながら、具体的な目標として現在掲げている「寝たきりゼロ」に改めて言及。「これは単なるスローガンではない。リハビリテーション、栄養管理、口腔管理、認知症ケア、排泄支援、在宅復帰支援など、慢性期医療の現場が積み重ねてきた多職種実践の延長線上にある極めて現実的な目標」と位置づけた。
一方で、「慢性期医療の価値は社会に十分伝わっているとは言い難い」との課題も提示。「医療費や介護費は、ともすれば抑制すべきコストとして語られがちである」と指摘した上で、「患者の機能を改善し、要介護状態を防ぎ、在宅生活を支える医療は社会にとっての資源、投資。その価値をデータに示して制度に反映させていく必要がある」と述べた。
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慢性期医療の価値をさらに明確化する
役員選任後、橋本会長は3期目の会長就任にあたり、改めて決意を述べた。会員の承認を受けて引き続き会長を務めることについて「この職責の重さを改めて強く感じている」と述べ、協会が設立以来、慢性期医療の質の向上と制度的評価の確立に取り組んできた歩みを振り返った。
橋本会長は「この2年間、一貫して慢性期医療の構造改革を訴えてきた」と強調。「高齢化が進み、医療・介護人材が不足していく中で、単に今ある仕組みを守るだけでは将来の医療・介護は維持できない。必要なのは慢性期医療の目的、プロセス、アウトカムを明確にし、制度そのものを再設計していくことだ」との考えを示した。
橋本会長がその中心に据えたのが「寝たきりゼロ」という目標。「寝たきりをつくらない」「寝たきりを改善させる」「悪化させない」の3つを医療・介護の大きな柱として位置づけることが「これからの慢性期医療に求められる」とした。その実現に向けて、橋本会長は「療養病床の役割をより明確にし、治療と改善を担う『慢性期治療病棟』としての機能を確立していく必要がある」と述べた。
その上で、橋本会長は「誤嚥性肺炎、尿路感染症、低栄養、脱水、褥瘡、その他の感染症など、高齢者に多い病態に対して慢性期医療は十分に治療と改善の力を発揮できる。その成果を示し、社会に伝え、制度として評価される形にしていかなければならない」と訴えた。
また、リハビリテーション、栄養、口腔、認知症ケア、排泄支援、ポリファーマシー対策、在宅復帰支援など、慢性期医療の現場には多くの「巧みの技」があると評価。橋本会長は、これらについて「経験だけに基づくものではなく、科学的根拠と実践知に裏付けられた、これからの日本に必要な医療の力」と述べた。今後の任期では、慢性期医療の価値をさらに明確化し、会員とともに政策提言、データ収集、制度改革への働きかけを進めていく考えを示した。
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令和7年度事業・決算を承認
議案審議では、矢野諭副会長が議長を務めた。正会員1026名のうち、当日の出席者、表決書による承認者、委任状提出者により、定款に定める過半数を満たし、総会は成立した。議事録署名人には越智豊理事と田中圭一理事が選任された。
第1号議案の令和7年度事業報告では、富家隆樹事務局長が概略を説明した。第33回日本慢性期医療学会を大阪国際会議場で開催し、約1800人が参加したことや、同学会と第13回慢性期リハビリテーション学会を合わせて計585題の演題が発表されたことが報告された。研修事業では、総合診療医認定講座、看護師特定行為研修、認知症ケア講座、経営対策講座などを継続したことや、慢性期医療展が15回目を迎え、来場者数が5万人近くまで回復したことも紹介された。
第2号議案の令和7年度決算報告では、次年度繰越金が約3億7720万円、正味財産合計が約5億1660万円となったことが説明された。経常収益は約1億5960万円、経常費用は約1億5140万円で、当期経常増減額は約820万円のプラスとなった。一方、預貯金のみで見ると約950万円の赤字で、エアコン・自動ドアの取り換え、看護師特定行為研修テキストの購入・精算などが要因として示された。
監査報告では、谷田理一郎監事が近石登喜雄監事とともに監査を行い、令和7年度の事業および会計が公正かつ適正に処理されていると報告した。第1号議案、第2号議案はいずれも拍手をもって承認された。
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橋本会長を中心に新執行部が発足
第3号議案では、池端幸彦副会長が役員選任について報告した。理事60名、監事2名の役員案は、事前に提出された表決書・委任状により原案通り承認された。役員任期は、令和10年6月の総会までの2年間である。
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総会に先立って開催された新理事会では、定款に基づき会長選任が行われ、理事全員の一致により橋本康子氏が会長に選任された。副会長および常任理事は、会長が理事の中から指名し、理事会の決議を得て選任された。
副会長には、池端幸彦氏、安藤高夫氏、矢野諭氏、井川誠一郎氏、中尾一久氏の5名が就任した。常任理事には、富家隆樹氏、中西克彦氏、安藤正夫氏、鈴木邦彦氏、田中志子氏、美原盤氏、進藤晃氏、中村哲也氏、鈴木龍太氏、仲井培雄氏、猿原大和氏、鉄村信治氏、江澤和彦氏、木下祐介氏、木戸保秀氏、西尾俊治氏、志田知之氏の17名が選任された。富家隆樹氏は引き続き事務局長として協会運営を担う。
池端副会長は「役員一同が協会の発展に力を尽くす」として、会員の支援と協力を求めた。役員選任は拍手により承認され、総会後には新しい役員名簿が配布された。
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政策・制度改革へ、副会長が抱負を語る
新執行部の挨拶では、副会長、常任理事、各委員会責任者が順に登壇し、それぞれの立場から今後の抱負を述べた。
池端幸彦副会長は、2012年から副会長を務めており、今期で8期目になる。長年の協会活動を振り返り、「まだまだ私自身、日本慢性期医療協会としてやりたいことがある」と述べ、引き続き職責を果たす考えを示した。
池端氏は、日本医師会の副会長も拝命する予定であることを報告した。福井県医師会長としても4期目を務めており、今後は複数の立場で多忙になるとの見通しを示しながら、「私自身のルーツは、やはりこの日慢協」と述べ、日本医師会や地域医師会で得る幅広い視野を日慢協の活動にも生かしていく考えを示した。
衆議院議員として社会保障政策にも尽力している安藤高夫副会長は、国の骨太方針や予算編成をめぐる議論に触れた。来年の介護報酬改定を見据え、職員の処遇改善や物価高への対応とともに、老健、特養を含む介護事業の経営原資を確保する必要があると説明。「処遇改善だけでなく事業本体の経営が維持される必要がある。本体が潰れてしまうことがないようにしてほしい」と述べた。
また、病院・介護施設の建て替え、老朽化対策、災害対策についても言及。「建築費の高騰により、病院や介護施設の更新が難しくなっている」として、公的補助や金融面での支援の必要性を訴えた。社会保障費を機械的に抑制する議論に危機感を表し、療養病床削減をめぐる過去の議論にも触れながら、「社会保障費のキャップ制をつくらないようにしてほしい。皆さんと共に阻止したい」と会員に呼びかけた。
井川誠一郎副会長は、副会長としては、橋本会長と同じく3期目になることを紹介。中医協の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」の委員を務めていることにも触れ、次期改定に向けた抱負を語った。
井川氏はまた、「今後は若い世代を政策議論の場へ送り出していく時期にも来ている」として、若手の育成にも力を尽くす考えを示した。武久名誉会長のもとで協会活動に関わってきた経緯を振り返り、「同じ志を継いでいただいている橋本会長を支えることは当然だが、さらに後輩を引き上げていくことも今後2年間の役割にしたい」と語った。
矢野諭副会長は、2012年に理事に就任し、2018年から副会長を務めている。北海道を拠点としていたが、現在は協会活動のため東京に生活拠点を移していることを紹介し、「私の体の続く限りは日慢協のために全力を尽くしたい」と語った。
矢野氏は、診療の質向上委員会委員長、看護師特定行為研修の責任者として活動している。診療の質向上と人材育成はいずれも協会事業の基盤であり、同氏はこれらの役割について「体の続く限り務めさせていただきたい」と述べた。
中尾一久副会長は2期目の副会長就任にあたり、学会長として第34回日本慢性期医療学会を11月19、20日に福岡国際会議場で開催することを案内した。福岡開催の魅力にも触れ、多くの参加を呼びかけた。
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委員会活動で質向上と人材育成を推進
続いて、事務局長および各委員会責任者らが挨拶した。富家隆樹事務局長は、橋本会長を事務局長として支え、研修委員会、DX推進委員会、人財育成委員会の委員長として、会員に資する活動を進めていくと説明した。協会運営の実務を担う立場から、「会員の皆さま方に資する委員会を進めていきたい」と述べた。
鈴木龍太常任理事は、日本介護医療院協会会長、学術委員会委員長としての立場から挨拶した。日本介護医療院協会は2018年の介護医療院創設後に活動を本格化してきた。学術委員会委員長としても、学会での優秀演題選定に10年以上関わってきたことを振り返った。
鈴木氏は、自身が73歳になったことにも触れ、次の世代への引き継ぎも視野に入れていることを示した。介護医療院は、慢性期医療と介護の接点に位置する制度。鈴木氏は毎年、会員を対象とした調査結果を公表し、日慢協の活動と深く関わりながら政策提言を行ってきた。制度創設期から運営を支えてきた世代が次の担い手をどう育てるかという課題を提示した。
中西克彦常任理事は、都道府県慢性期医療協会会長会議の議長として挨拶した。同会議は、橋本会長の発案により2024年から年2回開催されており、地域ごとの慢性期医療協会の連携強化を目的としている。中西氏は、初代議長として指名を受けた経緯を紹介し、「慢性期の医療の発展と、当協会の活動に貢献できるように努めてまいりたい」と述べた。
都道府県単位の慢性期医療協会は、地域ごとの医療・介護提供体制、病床機能、在宅医療、介護連携、人材確保などに向き合う立場にある。中西氏は、地域組織の声を全国組織の活動につなぐ役割を担っている。
青年部会部会長の成川暢彦理事は、発足2年目を迎えた青年部会の活動を報告した。昨年度は部会を3回開催し、施設見学研修も1回実施した。今年度は、田中志子常任理事が運営する「大誠会グループ」の医療・介護施設を見学する予定であると紹介した。
成川氏は、会員数が微増していることにも触れ、「慢性期医療に関するイベントを企画・実施しながら会員増に努めていきたい」と述べた。青年部会は、次世代の経営者、医師、医療・介護職が協会活動に関わる入り口となる。井川副会長が後進育成に触れたこととも重なり、世代交代を見据えた取り組みとして位置づけられる。
広報委員会委員長の進藤晃常任理事は、これまで運営してきた広報サイトを現在の潮流に合わせて見直す方針を報告した。慢性期医療を広く知ってもらうため、YouTubeチャンネルの開設を企画しているとして、「今年の第34回日慢協学会までにはオープンしたい」と伝えた。
広報委員会の活動は、橋本会長が開会挨拶で述べた「慢性期医療の価値はまだ十分に社会に伝わっていない」との問題意識に対応する。慢性期医療の現場で行われているリハビリテーション、栄養、口腔、認知症ケア、排泄支援、在宅復帰支援などの実践を、専門職だけでなく社会にどう伝えるか。進藤氏は「オープンしたら皆さん、ぜひ視聴していただきたい」と呼び掛けた。
総合診療医認定講座委員会委員長の西尾俊治常任理事は、同講座が今年で12回目となることを報告した。西尾氏は「同講座には日慢協会員に限らず、医療センターや大学病院の医師も参加している。慢性期に限らず、地域を診る医療を学ぶ場として、24講座で構成されている」と紹介した。
西尾氏は「講師陣や講座内容が毎年ブラッシュアップされている」として、慢性期医療が地域医療全体とつながることを示す事業であると紹介。同講座は、急性期・回復期・慢性期・在宅・介護を横断して患者を支える医師像を育てる場として、協会の人材育成機能を担っている。
災害対策委員会委員長の安藤正夫常任理事は、宮城県で東日本大震災を経験した立場から「自院も大きな被害を受けた。災害対策はこれからますます大事な時代になっているので、微力ながら貢献したい」と述べた。
安藤氏は、来年の日本慢性期医療学会が仙台で開催される予定であることにも触れ、学会長として「今年の福岡はもちろん、来年の仙台もよろしくお願いしたい」と参加を呼びかけた。
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慢性期医療から広がる多職種協働
常任理事の挨拶では、慢性期医療の広がりと今後の課題が各氏の発言から示された。
仲井培雄常任理事は「日慢協からスピンアウトした地域包括ケア推進病棟協会の会長を務めている」と自己紹介。2040年に向けて高齢、虚弱、多疾患併存の患者が増えている現状に触れた。急性期病棟でも看護・多職種協働加算などにより、多職種協働が標準的な機能として位置づけられ、高齢者対応が進んでいると説明した。
仲井氏は、リハビリ・栄養・口腔連携の取り組みが介護から急性期まで広がっていることにも触れた。これらの流れについて、「医療・介護に関する多くの施策が日慢協から発信されている」と評価。自らが関わる地域包括ケア推進病棟協会でも、その取り組みを参考にしながら活動していると説明した。慢性期医療で培われた実践が、急性期や地域包括ケアの領域にも波及している。
猿原大和常任理事は、静岡県浜松市で介護医療院、介護老人保健施設、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などを運営する法人の立場から挨拶した。自身の法人は病院を持たず、介護保険施設を中心としているため、「日慢協の会員の中でも珍しい存在である」と紹介した。
猿原氏は、「浜松市の死亡原因の第1位が老衰になった。悪性腫瘍を超えた」と伝えた。その上で猿原氏は、「介護医療院は看取りという重要な機能を持つ施設」とし、老衰死が増える中で、欠かすことのできない場であると語った。
江澤和彦常任理事は、岡山県倉敷市と山口県宇部市で病院・施設を運営してきた経営者として、医療機関経営の危機を訴えた。7割の病院が赤字とされる現状について、「異常事態であり、政策としていかがなものか。医療・介護は国民にとって欠かすことのできない提供体制。このままでは消えてしまう」と危機感を表した。
さらに江澤氏は、病院建物の老朽化にも言及。「築40年以上の病院が少なくない中、建築費の高騰により民間病院では建て替えに手が届かず、公立病院でも入札不調が相次いでいる」と説明した。江澤氏は「箱物が壊れて病院がなくなるのではないかという局面。課題は山積しているが、引き続き取り組んでいく」との考えを示した。
木戸保秀常任理事は、回復期リハビリテーション病院を運営する立場から、リハビリテーションの本質について語った。回復期リハビリテーション病棟の創設期から協会と関わってきた経緯を振り返りながら、「リハビリで最も大事なのは回復期の後」との認識を示した。
木戸氏は「回復期を終えた患者をどのように支えるかが、これからのリハビリテーションの課題。介護保険だけでなく医療保険も含め、多疾患を抱える高齢者の生活をどう支えるか」と問題提起。「慢性期の中でのリハビリを考えていかないと、これからの時代を絶対に乗り切ることはできない」と述べ、回復期リハビリテーションと慢性期医療の連続性を強調した。
志田知之常任理事は、今回の改選で新たに常任理事に就任した。2016年に理事となってから10年が経過したことを振り返り、機関誌編集委員として日慢協の機関誌「JMC」に関わってきた経験を紹介。「日慢協のJMCは大変素晴らしい。編集委員として会員より先に原稿を読む機会がありがたい」と語った。
また、志田氏は富家事務局長のもとで始まるDX推進委員会にも参加することになったと報告。自院について「一番、医療DXが遅れている病院の代表として加えていただいたのかな」と謙遜しながら、「日慢協の中にもDXに十分取り組めていない病院は多いのではないか。そのような現場の声を届けながら、協会のDX推進に貢献したい」と述べた。
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研修参加優秀施設を表彰、質向上への取り組みを評価
総会終了後には、令和7年度の「研修参加優秀施設」表彰が行われた。井川誠一郎副会長が進行し、橋本会長が表彰状を授与した。
同表彰は、日本慢性期医療協会が主催する研修会に多くの職員が参加した施設を年度ごとに表彰するもの。令和7年度は、表彰対象となる研修事業が15種類あり、100床あたりの参加者数が20人以上の施設を「金賞」、15人以上を「銀賞」、10人以上を「銅賞」としている。
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金賞には、富家病院、島の病院おおたに──の2施設が選ばれた。銀賞は、金上病院、内田病院、富家千葉病院、セントラル病院、千里リハビリテーション病院、加藤病院、志田病院の7施設。銅賞は、平成扇病院、城東病院、桜ヶ丘病院、高良台コミュニティホスピタル、筑紫南ヶ丘病院の5施設で、計14施設が受賞した。
表彰状では、良質な慢性期医療を提供する病院として、職員の研修に意欲的な姿勢が認められたこと、職員全体で医療・ケアの質向上を常に目指し、真摯に取り組んでいることが称えられた。金賞を代表して、富家病院理事長の富家隆樹氏、島の病院おおたに理事長の大谷まり氏が登壇した。
富家氏は「研修参加優秀施設賞が2016年に始まって以来、当院はすべての年でメダルを獲得してきた」と紹介。2016年、2018年、2020年には金賞を受賞したが、その後は金賞から遠ざかっていた。「今回、5年ぶりに金賞を取り戻すことができて非常に嬉しく思う」と喜びを表し、「今後も金賞を取り続け、最も多く金賞を持つ病院を目指したい」と意欲を示した。
大谷氏は、銅賞、銀賞を経ず、初めての受賞が金賞であったことに驚きを示した。事務局から「賞を取れるかもしれない」との連絡を受けるまで受賞を予想していなかったという。
今後の抱負として、「広島の慢性期の医療とともに、そして地域医療と、日本慢性期医療協会、慢性期医療の貢献に少しでもお力添えができれば幸せに思う」と語った。
表彰を終えて井川副会長は「研修参加優秀施設の認定マークを施設の広報等に活用してほしい」と伝えた。
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2040年を見据え、医療・介護連携の方向性を提示
総会および表彰式に続き、「総会記念講演会」が開催された。講師には、厚生労働省老健局老人保健課長の堀裕行氏を迎えた。演題は「医療・介護連携を見据えたこれからの地域医療について ~介護保険の視点から~」。座長は橋本会長が務めた。
堀氏はまず、介護保険を取り巻く人口構造の変化について説明した。総人口が減少する中で、15~64歳の現役世代は減少する一方、75歳以上人口は当面増加する見通しであるとし、介護を必要とする高齢者が増える一方で、支える側の人材確保が厳しくなる状況を示した。
また、要介護認定率は年齢とともに上昇し、75歳以上では約3割、85歳以上では6割近くに達することを紹介。急性期病棟に入院する患者の中にも、入院時点ですでに要介護認定を受けている人が相当数いるとして、退院後も地域で医療と介護の双方による支援を受ける患者が増えていくとの見方を示した。
その上で堀氏は、今後の地域医療を考える際には、医療と介護を一体的に捉える必要があると説明した。2040年に向けたサービス提供体制については、中山間・人口減少地域、大都市部、一般市など、地域ごとの人口動態やサービス需要の違いを踏まえて検討が進められているとした。
さらに、新たな地域医療構想では、病床だけでなく、入院、外来、在宅医療、介護との連携を含めた医療提供体制全体を対象にする方向で見直しが進んでいることを紹介した。介護保険事業計画についても、中長期の推計に基づき、地域の医療・介護資源の状況を見ながら、在宅医療、介護サービス、人材確保、生産性向上、介護予防などを組み合わせて対応を検討していく考えを示した。
堀課長は「これまで医療は医療だけを見て、介護は介護だけを見てという傾向があったが、医療も介護も必要な方が増えるので、両方を考えていただきながら医療体制についても議論していただく必要がある」とした。その上で、「地域によって、いろいろなバリエーションがあると思う。地域のことは地域の先生方が一番よくご存知なので、医療を検討する際に介護にも目を配っていただき、一緒に考えていただければありがたい」と語った。
2026年6月26日

