介護と障害、「局をまたいで検討を」 ── 田中常任理事、介護給付費分科会で
令和9年度介護報酬改定に向け、通所介護などを議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は介護保険優先の原則に触れながら、「認知症に関連する担当の方が局をまたいで検討してほしい」と述べた。
厚労省は6月15日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=岩村正彦・東京大学名誉教授)の第258回会合を開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。
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厚労省は同日の分科会に、通所系や短期入所系のサービスについて資料1~5を提示。それぞれの最終ページに「現状と課題」「論点」を示し、委員の意見を聴いた。
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障害サービス選択の自由がない
質疑で、志田信也委員(認知症の人と家族の会副代表理事)は「若年性認知症利用者受入加算の算定率が通所介護、地域密着型通所介護ともに低い数字になっている」と指摘した。資料によると、同加算の算定率は通所介護で0.4%(事業所ベース)、地域密着型通所介護では0.5%(同)にとどまっている。
志田委員は「高齢の認知症の人に比べれば若年性認知症の人は圧倒的に数が少ないのは理解している」とした上で、「機会があれば、介護保険のサービスだけでなく障害福祉サービスを含めて若年性認知症の皆さんの社会福祉サービスの利用実態などを調べていただくことを希望する」と提案した。
田中常任理事も志田委員の意見に賛同。「若年認知症の方の通いの場が時代と合わない。早期発見・早期対応の中で介護保険が全てのサービスから優先するというルールがあり、障害サービス選択の自由がない」と指摘し、「認知症に関連する担当の方が局をまたいで、いろいろと検討していただきたい」と述べた。
同日の分科会における田中常任理事の発言は以下のとおり。
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通所介護、通所リハビリ等について
[田中志子常任理事]
資料に沿って発言したいと思います。はじめに資料1、57ページの通所の送迎については前回(改定で)ご配慮をいただき、ありがとうございました。とはいえ、引き続きの課題として現状を少しお話ししたいと思います。
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当地域では前回改定後、共同送迎を始めてみました。いくらかの車両や人員の利活用は改善できたものの、どこに課題があるかも見えてきています。
送迎時間のみならず利用者の出かける準備不足、出かけしぶり、出がけの失禁などが見られる際には排泄ケアをしてから出かけるなど、こういった出かける際の時間を積み上げると大変な時間に上っています。送迎車両に乗っている時間だけでなく自宅においてのケアがシャドーワークになっています。
さらに、家によっては鍵を開けて約束の場所でやり取りをするだけではなくて、こたつで飼い猫と寝ている利用者さんを起こして猫が外に出ないように鍵かけに配慮するなどなど、多くの個別で暗黙のルールに従わないといけないということも分かりました。
送り出しヘルパーなどの利用をされてるとしても、時間が重複することからヘルパーが全てのニーズに応えることはできません。これらを暗黙の要望どおり応えるとなると、考えていたほど簡単に共同送迎に移行できないということも分かってきました。
つまり、在宅では多様な背景があることから、どれほど個別ニーズに応えなければいけないかということに驚きました。それぞれの自宅において現在は算定できていない自宅内のこれら時間を要するケアについても送迎者にとっての実態を把握し、評価されるよう制度の見直しをしてほしいと思います。
また、資料3「通所リハビリテーション」については、40ページにあるようにADLならびにIADLの維持・改善がそれぞれ80%を超えるというデータがありました。
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このデータが意味をすることは、在宅生活の継続が可能であるということで、在宅でなくてはならないサービスでありますが、経営状況は厳しい深みにあり続けています。
制度の仕組みがアンマッチと言わざるを得ないので、社会保障の観点からも、自宅において極力、本人も自治体も費用を抑えて生活できる時期を延ばすために、この時期のサービスに手厚く報酬設定する必要があると思います。
一方で、これは全体にも関わることですが、いろいろな単位を評価いただくと、利用者側の限度額が変更されていないことで使いたいサービスを組み込むと利用費用が増え、何かを増やすと他のサービスを減らすということが見られています。
介護保険が制定された頃から横出しサービスありきと言われてきたものの、限度内で利用できていた時期が長いので、利用者さんたちの気持ちとすると保険で全額賄うのが当たり前という考え方もあり、ケアマネさんも自費ありきのプランをなかなか提案できない状況かと思われます。もろもろの費用高騰にあわせて限度額の引上げを検討する時期ではないかと考えます。
加えて、志田委員が指摘されたように若年認知症の方の通いの場が時代と合わない。早期発見・早期対応の中で介護保険が全てのサービスから優先するというルールがあり、障害サービス選択の自由がありません。ここは認知症に関連する担当の方が局をまたいで、ご検討をいただきたいと思います。
最後に、前回もお話ししたとおり、中山間・過疎地にあってはサービスが不足している自治体も少なくないことから、地域密着の在り方について隣接する自治体を地域密着サービスの該当地区とみなすなどの緩和もお願いできればと思います。以上でございます。
2026年6月16日




