地域密着の限界を感じている ── 田中常任理事、介護給付費分科会で
令和9年度介護報酬改定に向け、地域密着型サービスについて議論した厚生労働省の会合で日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は、「現場では地域密着の限界を感じている。制定から20年が経ち、人口減少、介護人材不足を考え、地域密着から広域管理へのかじ取りも大胆に検討する必要があるのではないか」と述べた。
厚労省は5月25日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=岩村正彦・東京大学名誉教授)の第257回会合を開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。
.
.
この日の議題は、「令和9年度介護報酬改定に向けて(小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護)」──。厚労省は同日の分科会に3つの資料を示し、委員の意見を聴いた。
.
「サービス提供体制の確保を図る方策」などを議論
資料1「小規模多機能型居宅介護」では、「サービス提供体制の確保を図る方策」、「役割を踏まえた適切な評価」などを論点に挙げた。
.
.
資料2「看護小規模多機能型居宅介護」では、「医療ニーズを有する中重度の要介護者の生活を支える地域の拠点」とした上で、「更なる普及が求められる」とし、安定的なサービス提供の方策を論点に挙げている。
.
.
資料3「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」では、「地域連携の取組の推進」、「地域に開かれた拠点としての役割」などを論点に挙げた。
.
.
また、資料1・2の論点と同様に、「介護サービス事業者の事務負担軽減
の観点から、算定率が低い加算や算定率の高い加算についてどのように考えるか」との論点も挙げている。
質疑で、田中常任理事は資料1・3を中心に次のように述べた。
.
小規模多機能型居宅介護について
[田中志子常任理事]
資料1と3について述べたいと思います。まず、資料1の小規模多機能ですが、「泊まり」「通い」「訪問」の機能を持つ小規模多機能は、とりわけ軽度認知症の方々の在宅生活継続を支援するには、本当になくてはならないと考えています。
一方、自治体によっては、閉鎖した事業所があっても、そのうち公募がないこともあります。その理由が、ニーズがないから閉鎖したと考えられるためかもしれませんが、実態は運営困難だからであり、利用したい人が減っているわけではありません。入所施設に入るよりも比較的経済負担が低い小規模多機能を使い、できる限り在宅生活を延伸することが利用する側にとっても自治体にとっても有効であると考えています。
また、山間地では、先ほど報告があったように、設置がない隣接自治体からの利用があり、地域密着から広域密着化しています。
.
.
41ページにあるような課題を解決するための方策を2040年に向けて今から準備する必要があると感じています。
また、泊まりの部屋数と利用者数のアンマッチを考えると、夜間に何かあった際の緊急ショートステイの際にベッドが空いていないことが多く、かといって、制度上、その他の施設種別のショートステイをすぐには利用できず、大変使いにくいものです。併用できるような変更や規制緩和を望みます。
同様に、先ほども発言が委員からありましたが、ケアマネが包括されることから、それまで関わっていたケアマネと変更され、どうしても閉鎖的な情報管理となり、状態が変わりゆく高齢者の支援をする上では連携しにくいものです。ケアマネの在り方については、一足早く移行する必要があると考えます。
さらに、スケールメリットを考えると、先ほど東委員がおっしゃったように大規模多機能として、老健等を小規模多機能のような包括払いを導入し、業者が利用しやすくすることも検討の余地があると思います。
.
認知症対応型共同生活介護について
続いて、資料3のグループホームです。日中、適切な離床ができていれば、夜間はよく眠れる利用者がほとんどです。また、かつてと違い、最近は夜間のケアを効率化できる質の良いおむつや体位交換支援ベッドなども増えており、夜勤の負担も軽減している実態があります。
3ユニットの2名夜勤は、一般の方が考えるように、乱暴な発想ではないと思います。グループホーム3ユニット2名夜勤は複数回の設置が多いという報告の現状では、ICT等の条件を満たせば複数回でも実施可能か、緊急に調査をしてほしいと思います。
また、1・2・3の資料を通じて、現場で思うことですが、現場では地域密着の限界を感じています。制定から20年が経ち、人口減少、介護人材不足を考え、地域密着から広域管理へのかじ取りも大胆に検討する必要があるのではないでしょうか。
看護多機能、小規模多機能については、その仕組み上、地域での運営しかできないと考えますが、近隣の他自治体をまたぐことも増えると想定されることから、指導管理は都道府県で行うということでもよいと思います。
2026年5月26日






