賃上げの調査について意見 ── 井川副会長、入院外来分科会で
「令和8年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見」を踏まえた調査項目などを議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の井川誠一郎副会長は賃上げに関する調査が令和9年度のみになっている」と指摘し、「令和8年度で一度チェックしておいたほうがいい」と提案した。
厚労省は5月14日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院・外来医療等の調査・評価分科会」の令和8年度第1回会合を開き、当会から井川副会長が委員として出席した。
同分科会の開催は昨年9月以来、約9カ月ぶり。新たな分科会長には松原由美氏(早稲田大学人間科学学術院長補佐)が就任した。松原分科会長は「このような大役を仰せつかり、身の引き締まる思い。ご支援、ご協力を得ながら円滑に進められるよう努めたい」と挨拶した。
今回の主な議題は、令和8・9年度入院・外来医療等の調査について。厚労省は同日の分科会に今後のスケジュールのほか、「調査項目・内容(案)」などを示し、了承を得た。
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質疑で、井川副会長は調査項目などについて意見を述べた。井川副会長の発言要旨は以下のとおり。
【井川誠一郎副会長】
2点申し上げる。1点は賃上げについて。調査項目によると、令和9年度調査のみという形になっている。「基本的な考え方」に記載されている「賃金改善実績報告書」が実際のデータとして出てくるのは9月ぐらいになるだろう。そうすると、令和9年度の調査でそれが出てきて、われわれの議論の場に上がってくる時期は、報告書を検証した上とすれば、10月近くになってしまう。そうすると、われわれの議論の中で1回しか話が出ないという事態になりかねない。
今年の診療報酬改定の大きな目玉の1つは、2段階の評価。それぞれの年度に対して何%というものが付いている。そのため、令和8年度で一度チェックしておいたほうがいいのではないか。
もう1点は身体的拘束について。加算という点で言うと、療養や地域包括ケアなど、割と限られた病棟での評価が行われているが、もともとの入院基本料という観点から言うと、今回の改定では体制と実績の両方を見るような形になっている。前回は体制だけだったが、今回は実績が加わっており、実績が満たされない場合にはマイナス20点という大きな減算がなされる。やはり、そこは全ての病棟で把握すべき内容である。
それから、それぞれ、なぜ身体的拘束がされているのか。特に、割と漫然とされてしまうのが失礼ながら急性期だと思うが、それが本当にカテコラミンが投与されている中枢ルートを抜かれたら、困るから抑制されているのか、ただ単に中枢ルートが入っているから抑制されているのかという話になると、かなり大きく違う。中枢ルートが入っているから抑制されているかどうかという話になると、われわれ慢性期は、ほとんどそういうのはもうしないというところが結構多くなってきているので、そういう観点から一度見ていただくということがあってもよいのではないかと思っている。
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【厚労省担当者】
賃上げに関する調査は前回改定にならって令和9年度だけの調査になっている。賃上げ自体はベースアップ評価料の様式で届出を行っている医療機関は全て把握することができる。ベース評価料などを届け出ていない医療機関に対する調査などは入院・外来医療等の調査によって補足することも考えられる。そういった調査を令和9年度に実施するという形で、例年どおりの設計のご提案とさせていただいている。
令和8年度の賃上げの評価は重要だということであるが、こちらは大臣折衝事項の中にも記載されており、また総会でも議論されることになると思う。
入院・外来医療等の調査はどちらかというと技術的事項の検討ということになっているので、そういったところをすみ分けて、しかるべき場で議論されていくということだと理解している。
2026年5月15日


