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質を含めた経年調査を ── 田中常任理事、介護給付費分科会で
Posted By araihiro On 2026年2月17日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments
令和9年度介護報酬改定に向けた調査案が示された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は「仮に黒字であっても、利益が出ているから報酬を下げるというようなミスリードがないことを切に願う」と述べた上で、「質を含めた経年調査を追加してほしい」と提案した。
厚労省は2月16日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭・東大大学院法学政治学研究科教授)の第254回会合を開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。
厚労省は同日の分科会に「令和8年度介護事業経営実態調査の実施について(案)」などを提示。調査時期(令和8年5月)や公表時期(同 10月頃)、新たな調査項目などを説明し、大筋で了承を得た。
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令和8年度調査について厚労省の担当者は「今年度実施した『令和7年度介護事業経営概況調査』の調査項目を基本としつつ、必要な見直しを行う」との方針を説明。食事の提供や訪問・通所系サービス、介護テクノロジーの導入状況などの項目を挙げた。
このうち、食事の提供に関する項目では「施設系サービスについて、食費に計上される食事提供回数を把握するための調査項目を追加する」とした。
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また、介護テクノロジーの導入状況等に関する項目では「介護テクノロジーの機器別に保守・点検等のランニングコストを把握できるよう見直す」としている。
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質疑で、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「介護テクノロジーの導入後も月々のランニングコストにかなりの費用がかかっている」と指摘。介護老人保健施設の調査票について「機器ごとに細かく聞いていただいているのは良い」と評価した。
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一方、同じ設問の「機器の保守・点検等にかかった費用額」との記載については、「この表現では、毎月かかるランニングコストを回答するようには見えず、年に一度の保守・点検費用を回答するように見えてしまう」と指摘。「正確に現状を把握するため、『保守・点検』ではなく『ランニングコスト』に修正していただきたい」と要望した。
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今回の調査では、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームに居住する場合の訪問回数等についても把握する内容となっている。
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江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「訪問サービスの移動コストに見合ったものとすることは妥当」としながらも、「訪問や通所のサービスの質が重要であり、居住場所にかかわらず、サービスの質の向上に資する調査が必要だ」との認識を示した。
その上で、江澤委員は「前回の改定でも、居宅介護支援においては訪問系サービスではないにもかかわらず、同一建物減算が設定された」と指摘。「これまでも長きにわたり、集合住宅など居住場所による減算ばかりが議論されてきており、肝心のサービスの質の議論が置き去りとなっている」とし、「サービスの質の向上や、不適切な過剰なサービス提供の是正に資するような調査となることを要望したい」と述べた。
田中常任理事も江澤委員の意見に賛同し、「質を含めた経年調査を老健事業等で追加してほしい」と述べた。
このほか、同日の分科会では、「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会のとりまとめについて報告があり、田中常任理事は「LIFEをしっかり活用できるように進めていきたい」と述べた。田中常任理事の発言要旨は以下のとおり。
■ 令和8年度介護事業経営実態調査について
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この調査により、仮に黒字であっても、利益が出ているから報酬を下げるというようなミスリードがないことを切に願う。現場は大規模事業所で赤字がないとしても、大変厳しい運営の中でスタッフに他事業所に負けないような給与を払うべく、様々な工夫をして、爪に火をともすような努力で切り回しているのが実態である。
また、訪問・通所系の有料ホーム等へのサービス提供については、個別在宅との差を見える化できて良いと思う一方で、同一事業所以外の複数の有料ホーム等をきちんと回っている通所・訪問事業所もあり、抱え込みではないというような状況もある。離島については、そういった事業と同一事業所内移動のようなサービスと違うと思うが、そこをどう見るかというのは検討が必要だと思う。
また、江澤委員もご指摘のように、もう少し質を含めた経年調査を、老人保健健康増進等事業等で追加をしてほしい。これは要望である。
一部の事業所に課題があるとしても、過疎地ではマンパワーの問題もあり、各個人宅を回れない地域もある。集合的な住まいを必要としている方々がいて、これらが必ずしも悪いばかりではないことを精緻な説明を合わせて行う必要があると思われる。以上、要望と意見である。
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■ 科学的介護情報システム(LIFE)について
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LIFEについて、現場からの評判はいろいろ聞くが、国を挙げて始めたことなので、しっかりと活用できるように進めていくのがよい。すぐに可能なことではないと思うが、利用者フィードバックの理想は、利用者ご本人が把握するべく、利用者にきちんと寄与されるべきものであるだろう。
例えば、どこのサービスを利用したときに状態が良くなったかなど、データが本人について回り、本人の生活に役立つものであるならば、もっと利用者サイドの理解も進む。とすれば、事業所ごとに提出するものではなく、時間の流れとともに、ご本人ごとの調査ができるような方針にも変更していく必要があるのではないかと考えている。
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