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「中医協は永遠に不滅です」── 池端副会長、中医協委員を退任
Posted By araihiro On 2025年10月30日 @ 5:17 PM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments
当会の池端幸彦副会長は10月29日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会で退任の挨拶を述べた。池端副会長は関係者に謝意を表した上で今後の議論に期待を込め、「この中医協は永遠に不滅です。われわれ医療に携わる者にとって中医協はやはり今でも非常に重要な、かつ、大変責任の重い組織であることに違いはありません」と述べた。
池端副会長の退任挨拶は以下のとおり。
【池端幸彦副会長の退任挨拶】
非常に貴重なお時間を頂戴して、ありがとうございます。小塩会長からお許しいただきましたので、一言ご挨拶を申し上げたいと思いますが、一言じゃ済まないかもしれません。少し長くなるかもしれませんけども、最後だということで、お許しいただければと思います。
ただいまご紹介いただきましたように、私は本日をもって任期満了で中央社会保険医療協議会委員を退任することになりました。私はこれまで「入院・外来医療等の調査・評価分科会」の委員を6年。日医の副会長で、ご就任のため中途退任された前任の猪口雄二先生の後任として、2020年の8月に、中医協委員を拝命いたしまして、それから5年経ちます。合わせて11年間、この中医協に関わらせていただきました。
この間、多くの委員の皆さま方や事務局の皆さま方と活発な議論をさせていただき、そして、その議論を通じて私自身も多くの勉強させていただきました。まずもって、関わらせていただいた全ての先生方、事務局の皆さま方に心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
思い返せば2020年8月。私が委員に就任したときは、今、(退任挨拶を述べた)佐保委員からもありましたように、まさにコロナ禍の真っただ中であり、それまで会場の定番だった厚労省2階大講堂ではなく、ただ、奇しくも先週、初めて私も、改修を終えた講堂で総会に参加できたことを大変感激しました。
最初の数回は省外の施設を利用して対面会議でしたが、それから、ほどなくして完全ウェブ会議となりました。改定の審議が佳境に入ると週2回ペースになり、私の地元、福井から上京することを考えると助かった部分もあるのかもしれませんが、ただ、どうしても完全ウェブ会議だと十分な議論が尽くせない感がありまして、令和6年改定からは、ようやく対面が原則になって、やっぱり会場のこの空気感を感じながら対面で議論することの重要さをひしひしと感じました。
私自身は日本慢性期医療協会副会長の立場で、日本病院団体協議会からのご推薦をいただき、この中医協委員を拝命しました。ただ、私自身は県の医師会長のお役もいただきながら、地元福井県の片田舎で、地域密着型の小さな病院の理事長・院長として、今なお外来、在宅、入院等、現場の第一線で地域医療に携わっている現役バリバリの医師でもあります。
私が縁あって、この中医協委員を拝命したときに、どういう立場、立ち位置で何をどうお話しすればいいか、いろいろ考えましたが、もし私にしかできないことがあるとすれば、やはり今でも直接患者さんを診ている現場の医師として、映画のセリフではありませんが、「今、現場で何が起きているのか」ということを、どういう状況にあるのかということを少しでも、この場で臨場感を持って皆さん方にお伝えすることが、それこそ私しかできない使命の1つと肝に銘じ、この5年間、務めてまいりました。
ただ、もとより無精なもので、この場での私の発言は、実はほとんど読み上げ原稿なしで臨みました。この場で事務局の説明をしっかりお聴きし、そして、各委員のご意見もしっかり拝聴した上で、それと私の現場感覚と照らし合わせながら、わいてきた思いをこの場で伝えることに徹してきました。そのため、ときには冗長的であったり的外れであったり、言葉がつまり、お聞き苦しい点も多々あったかと思いますが、それは反省しており、改めて、この場を借りて、お詫び申し上げたいと思います。
今日は、ちゃんと読み上げ原稿をつくってまいりました。ただ、そんな舌足らずでお聞き苦しかったであろう私の発言にも、各委員の皆さま方に真摯にお聞きいただけたことには心から感謝申し上げるとともに、特に、いつも私の目を見て、顔を見て傾聴することに徹し、私に発言しやすい雰囲気をつくっていただいた小塩会長には改めて心から感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
最初はこの大役をどうこなせばいいか、不安もいっぱいでありましたが、皆さまの支えで、今こうして、とりあえず無事に任期を終えることができました。そして同時に、少し寂しい思いもしております。
ただ、やはり、先ほども議論がありましたように、まさに病院・診療所等の医療機関はおそらく皆さまが想像してらっしゃる以上に未曾有の危機的状況にあることは間違いありません。そして、この令和8年度の診療報酬改定の結果は、まさに医療機関の存亡に関わる大事な改定となります。そんな中、その改定の議論がまさに佳境に入った、この時期に退任しなければいけないことは正直、残念な気持ちもあります。
さて、最後ですから、大変僭越ではございますが、少し中医協に関して気になる点を申し述べさせていただきたいと思います。
就任当時、私は診療報酬改定は内閣府で改定率を決定し、社会保障審議会医療部会・医療保険部会で医療政策方針を決定、そして、それに基づいて、この中医協で医療費の分配を決定すると伺っておりました。しかし、近年は改定率の決定とともに、大臣合意でさまざまな具体的な指示が示されるようになった点については、中医協の形骸化とまでは言い切りませんが、少し違和感を覚えております。
また、遅々として解決の糸口が見出せないでいる医薬品の不安定供給問題。今後、まだまだ続くと思われる高額医薬品に対する対応や費用対効果の在り方、さらに、控除対象外消費税の問題等々、2年に1回の、この改定の議論では到底解決しきれない問題も山積しております。
中医協も1950年に始まって75年が経ち、もちろん、この間、いろんな改定、改革はありましたが、もう少し中長期的な大きな視野に立って、抜本的に、これらの問題が対応できる体制を検討する時期に来ているのではないか。そんな気がしております。
最後に、ここで一言、1つご紹介したい言葉があります。東京大学名誉教授で法哲学者の井上達夫氏が提唱された私の大好きな言葉、「正義」の定義をご紹介させてください。正義とは、自分の他者に対する行動がたとえ相手の視点に立ったとしても正当化できるか、その反転可能性を自己批判的に吟味してみることである。とおっしゃっています。
中医協は、保険者代表、診療者代表、公益代表、さらには人事院や業界代表の皆さま、そして事務方の皆さま方がそれぞれ、我が国の医療を守るという同じ目標に向かって自分の立場で正しいと思っていることをこの場でぶつけています。しかし、総論においても各論においても、自分が正しいと思っていても、確かに相手の視点に立つと、必ずしもそうは言えない、という理解ができることもございます。ただ、その中から、それを知りながらも、大きな共通の目標のために、皆が常に相手の立場を理解しあいながら、より正しいと思える結論を何とか導き出していくことこそが、この会議の一番重要な点ではないかと信じております。
最後に一言。故長嶋茂雄さんではありませんが、この中医協は永遠に不滅です。われわれ医療に携わる者にとって、中医協はやはり今でも非常に重要な、かつ、大変責任の重い組織であることに違いはありません。目前に迫ったR8改定の議論はもちろん、今後とも国民の命と暮らしと尊厳を守るためにも、世界に冠たる日本の国民皆保険を死守し、地域医療を守り抜くための議論を尽くしていただき、より良い医療を提供できる体制を堅持していただくことを心から切にお願いを申し上げ、少し長くなりましたが、私からの退任のご挨拶とさせていただきます。本当に長い間、ありがとうございました。
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この日の中医協では、慢性期入院医療など「入院(その3)」のほか、「医療機関を取り巻く状況」についても議論した。厚労省は医療機関の経営状況に関するデータを示した上で「これまで各切り口別に見た2023年度・2024年度の医療機関の状況等を踏まえ、近年の医療機関の経営状況等に対してどのように対応することが考えられるか」との課題を挙げた。
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質疑で、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「今回の調査結果を見ても、医療機関を取り巻く状況は極めて厳しく、過去に例のない危機的な経営状況に陥っていることが改めて明らかになっている」と指摘。「国民の命と健康を守り、地域医療を支えるためには、適正化を行うことは全くの論外であり、物価高騰・賃金上昇に見合った診療報酬上の高い評価を強力に推し進め、実現するしか選択肢はないことを明確に申し上げたい」と訴えた。
続いて、太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)も「2023年のデータよりも2024年のほうがさらに悪化していることが明らかになった。5割を超える病院が2期連続で赤字になっている状況は、やはり重く受け止めていただかなければいけない」と強調。「今、必死に各地域の病院は資金繰りをしながら何とか医療を継続している状況なので、2026年度改定においては、この数値をしっかり見ていただきながら、ご対応をいただく必要がある」と述べた。
池端副会長も「2024年のデータを見る限り、さらに悪化していることは十分、ご理解いただけるのではないか」とし、「どの病院種別でも赤字。ほぼ全ての病院が赤字体質にある」と全体的な底上げを求めた。池端副会長の発言要旨は以下のとおり。
【池端幸彦副会長の発言要旨】
私も太田委員、江澤委員がおっしゃったように、2024年のデータを見る限り、さらに悪化しているということは十分、ご理解いただけるのではないかと思っている。今、金融機関の話が出た。私は今日が最後になるので言わせていただく。福井県の医師会で医師信用組合を持っており、その会員からの問い合わせがものすごく増えている。しかし、なかなか貸し出しできない。厳しい状況が目に見えてわかる状況。しかも、今回は病院側もさらに悪化して、さらに診療所も悪化している。さかんに、この中医協で「病診連携を図りましょう」「外来を地域に返しましょう」と言われるが、その返す診療所が元気でなかったら、この病診連携は成り立たない。今回は病院も診療所も大変厳しい状況であるということをぜひ、ご理解いただければと思う。
(病院と診療所など)格差の話が出たが、病院に関して言えば、どの病院種別でも赤字。ほぼ全ての病院が赤字体質にある。大都市、地方都市、人口の少ない所もほとんどが赤字。こうした病院を全部、切り捨てるような議論にならないようにお願いしたい。
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