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生産性向上等の事例、「早い段階で共有を」── 田中常任理事、介護給付費分科会で

Posted By araihiro On 2025年9月6日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 令和6年度介護報酬改定の効果等を検証するための調査案が示された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は「生産性向上のテクノロジーに関する調査はこれから定着してくる」と評価した上で、「設問のわかりやすさも大きな問題」と指摘し、認知症ケア支援機器等について「事例があれば早い段階で共有をお願いしたい」と提案した。

 厚労省は9月5日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭・東大大学院法学政治学研究科教授)の第247回会合を開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。

 厚労省は同日の分科会に「令和6年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和7年度調査)の実施一覧」を示した上で、4項目の調査項目や調査票案などについて資料「1-1」から「1-4」を用いて説明し、委員の意見を聴いた。
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01スライド_実施一覧

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 議論を踏まえ、田辺分科会長は「特に生産性等、それから福祉器具等に関しては『メリットの部分しか聞いていないのではないか』、『デメリットに関して、もう少し深掘りできるような形を整えていただけないか』という意見が多々出たようだと認識している。これは自由(記載)欄で拾えるのか、そうでないのか。いろいろ考えなければいけない部分もある」とした上で、「いただいた意見を踏まえ、具体的な修正に関しては私にご一任いただきたい」と提案し、了承された。

【田中志子常任理事の発言要旨】
 資料「1-4」(介護現場における生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくりに資する調査研究事業(案)」について。
 生産性向上のテクノロジーに関する調査は、これから定着してくる調査であると認識している。裏を返すと、大変用語が大雑把で説明が不足している印象である。また、用語だけでなく、18ページの(13)については、医療機器、ドライヤー、配膳ロボット、掃除機などが並び方もバラバラで羅列されており、その中でも「再加熱カート」「とろみサーバー」など、14ページ(9)の「食事・栄養管理支援機器」の部門ではないかと思われるようなものもあり、考えをまとめることが困難である。
 実際に調査に回答される方にとっては、設問数もさることながら、設問のわかりやすさも大きな問題であるので、わかりやすさの観点から、介護テクノロジー利用の重点分野について調査要領にイラスト等とともに具体的な製品が掲載されている「介護テクノロジーの試用貸出リスト」などのリンクを記載する等の工夫をしていただければと思う。
 さらに、15ページ「認知症生活支援・認知症ケア支援機器」については、例えば、認知機能の低下による生活の困りごとを解消する機器等を想定しているとのことだが、新たな取り組みでもあり、どんな機械を想定しているのか、多くの回答者が困惑すると思われるため、事例があれば早い段階で共有をお願いしたい。

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一刻も早い対策が必要

 この日の分科会では、介護人材の確保や処遇改善に関する方策等についても意見を交わした。

 厚労省は同日の会合に「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題」と題する資料を提示。これまでの対応などを振り返った上で、処遇改善関連加算の取得状況や調査結果、骨太方針2025における指摘事項などを紹介し、最後に「現状と課題及び論点」を示した。
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02スライド_現状と課題及び論点

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 「論点」では、「現行の介護職員等処遇改善加算について事業所の事務負担軽減と処遇改善の実効性を両立する観点」などを挙げた上で、「介護サービス提供を維持していくための介護職員をはじめとする介護従事者の確保を行う必要性等を勘案して、どのような方策が考えられるか」と意見を求めた。

 田中常任理事は「医療と同様、介護もいったん破綻したら再建は相当困難。一刻も早い対策が必要」と強調した上で、「社会保障が増えるのは困るから我慢しなさいということではなく、他産業と同等の待遇を受ける権利がある」と訴えた。

【田中志子常任理事の発言要旨】
 全国の都道府県知事と市町村長に実施したアンケートで、介護保険サービスの提供体制の持続に危機感を抱く首長が97%にのぼり、その理由を2つまで挙げてもらうと、介護現場で働く人が減り、制度の支え手不足が72%で最多との報道があった。まさに私たちの現場と同じような感覚であり、現場では他産業への転職がどんどん行われていて、今から検証するというような時間的余裕はなく、医療と同様、介護もいったん破綻したら再建は相当困難である。対策のスピードこそが重要であり、一刻も早い対策が必要と考える。
 また、これまでもたびたび発言しているように、病院で働く介護福祉士を含むケアに当たる職員を双方雇用している医療法人では、医療系処遇改善と介護系処遇改善の差額から、処遇の低いほうに合わせているということになり、29ページ(処遇改善関連加算の取得状況)にあるように、通所リハビリテーション、介護医療院の算定の加算取得の数値になっている。
 支払う立場の負担、どの財源を使えるかの課題はもちろん理解した上で申し上げれば、社会保障が増えるのは困るから我慢しなさいということではなく、私たちは精一杯頑張っているということは他産業に負けないと思っている。したがって、介護施設で働く全ての方々は当たり前に他産業と同等の待遇を受ける権利があると考える。それがなされない状況が続けば、介護保険以前のように介護が家族に立ち戻り、今まで以上に介護離職が増え、多くの産業、国民が困ることになるのではと危機感を感じている。

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