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「LIFEは誰のためにあるのか」── 中尾副会長、LIFE検討会の初会合で
Posted By araihiro On 2025年9月2日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments
令和3年度介護報酬改定で導入された科学的介護情報システム(LIFE)加算等の見直しに向けた検討会で、日本慢性期医療協会の中尾一久副会長は「LIFEは何のためにあるのか。誰のためにあるのか。私は、最終的には利用者のためにあるべきだと考える」との認識を示した上で、「そうした観点で根本的に考えるべきではないか」と問題提起した。
国立長寿医療研究センターは9月1日、厚生労働省老健局老人保健課の協力を得て「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会(座長=秋下雅弘・東京都健康長寿医療センター理事長兼センター長)の初会合を開催し、当会から中尾副会長が構成員として出席した。
同検討会は「令和7年度科学的介護に向けた質の向上支援等事業」として設置され、会議の事務局を国立長寿医療研究センターと厚労省老健局老人保健課が務める。この日の会議はオンラインで開催され、YouTubeでライブ配信された。
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開会に際し、同センターの島田裕之・老年学・社会科学研究センター長が挨拶。「LIFEについては、令和3年度介護報酬改定より運用が開始されたところだが、介護現場におけるデータ入力や、その後の活用方法には、まだまだ課題が残されているといった現状かと思われる」との認識を示した。
その上で、島田センター長は「これまでの運用で浮かび上がった課題等を踏まえ、2027年度改定へ向けた今後の見直しに向けて、より良いLIFEのあり方を検討していただきたい」と協力を要請。「具体的には、LIFE関連加算の構造やLIFEフィードバックのあり方、業務負担を軽減するための項目の整理等々が挙げられようかと思う」と述べた。
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続いて、同センターの担当者が本検討会の設置目的を改めて説明した上で、「主な検討事項」などを提示。厚労省の担当者はLIFEの経緯、現状や課題などを紹介し、最後に「論点」を示した。厚労省から示された「論点」は、「主な検討事項」と同様の内容になっている。
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質疑で、中尾副会長は「入力の手間などがあり、なかなか利用されていない」と指摘した上で、「誰のために有効活用しなければいけないのか、根本的に考えるべき」と述べた。
【中尾一久副会長の発言要旨】
LIFEの会議に初めて参加させていただくので、少しずれた質問、意見になるかもしないが、そもそも、このLIFEというのは何のためにあるのか。これは介護サービスの向上というか、そういう漠然としたものとして私は受け止めている。では、誰のためにあるのかということだが、私はやはり最終的には利用者のためにあるべきだと考える。その次に、事業者のためにもあるべきだと考えている。
しかし、現時点では、データの蓄積は粛々とされているかもしれないが、入力の手間があるなど、加算は付くとしても、なかなか利用されていない。事業者も同様。ましてや、患者・利用者に対する説明のときには、実はLIFEがほとんど利用されていないような気がする。
その原因の1つは、LIFEのアウトプットに難しい面があるため、利用者に説明するときの説明材料がなかなか出てこないという理由があるのではないか。そこは少し問題だろう。そういうことができないと、当然、PDCAサイクルも回らない。もし可能であれば、この入力の手間を省くために、例えば、介護データベースから直接、引っ張ってこれるものがもっとないだろうか。
LIFEは何のためにあるのか。誰のために有効活用しなければいけないのか。そうした観点で、根本的に考えるべきではないかなと思う。個人的な意見で恐縮だが、以上である。
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中尾副会長の発言を受け、秋下座長は「おっしゃるとおり、LIFEは国民のためにある。それが明らかにされるのがLIFEのデータ。ケアのデータベースとして非常に貴重なもので、宝の山になると思う」と評価した。
その上で、秋下座長は「今までエビデンスがない中で行われているケアの質を高めるために非常に大きく貢献する」と期待を込め、事務局の見解を求めた。厚労省の担当者は「誰のためなのか、非常に本質的なご意見」と理解を示した。
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「介護サービスの質の評価のあり方に係る検討に向けた事業報告書」P14
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こうした議論を受け、松田晋哉座長代理(福岡国際医療福祉大学看護学部教授)が発言。「今の点に関して、平成21年度に介護サービスの質の評価のあり方に係る検討に向けた事業があり、その報告書が出ている。そこで『質の評価の階層図』が示されているので、一度そこに戻って、この議論をしなければいけないと思う」とし、階層図の概要などを紹介した。
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今後の検討に向け、松田座長代理は「科学的介護推進体制加算を1階建てにして、それ以外の加算は、それを取ることを前提として、2階建てとするような、何か、その質の評価に資するような、評価をしやすいような仕組みにしていくことが大事ではないか」との考えを示した。
その上で、LIFEから得られたデータについて「各施設がベンチマークにして自分たちで考えることができるような情報、フィードバックの仕組みを考えていくことが重要」と指摘した。
秋下座長は「これまでの議論のプロセスについて、もし時間が許せば次回の検討会の冒頭で少し学び直すというか、あるいは議論できる時間をいただいてもいい」と提案。この日の議論を終え、厚労省の担当者は「多くの有意義なご指摘をいただいたので、次回以降の資料にできるだけ役立てていきたい」と述べた。
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