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身体的拘束、「0%の施設等の調査を」 ── 井川副会長、入院外来分科会で

Posted By araihiro On 2025年8月1日 @ 11:11 AM In 協会の活動等,審議会,役員メッセージ | No Comments

 入院・外来医療等に関する「中間とりまとめ(案)」の報告に向け、「身体的拘束を最小化する取組」などを議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の井川誠一郎副会長は「0%の施設と、それ以外の20%を超えるような施設の患者の病態や認知症の度合いなどが同等なのか、調査が必要ではないか」と提案した。

 厚労省は7月31日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織である「入院・外来医療等の調査・評価分科会」(分科会長=尾形裕也・九州大学名誉教授)の令和7年度第8回会合を開き、当会から井川副会長が委員として出席した。
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01スライド_議題

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 厚労省は同日の分科会に「入院・外来医療等の調査・評価分科会におけるこれまでの検討状況について検討結果(中間とりまとめ)(案)」を提示。「急性期入院医療」など15項目のテーマについて、令和6年度調査の主な結果とともに、同分科会で出された意見などを記載した。
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02スライド_目次

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 このうち、▼10. 働き方・タスクシフト/シェア、▼15-1.意思決定支援、▼15-2.身体的拘束を最小化する取組、▼15-9.診療科偏在対策──の4項目については「本日の議論を反映」とし、空欄となっている。
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03スライド_本日の議論を反映

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 この日の分科会では、「中間とりまとめ(案)」の審議に先立ち、これら4つのテーマについて議論。最後に、尾形分科会長が「本件を中医協総会に報告するに当たり、本日の議論を踏まえて必要な加筆・修正を行うことについては分科会長である私と事務局にご一任をいただきたい」と諮り、了承を得た。

 井川副会長は「15.個別的事項」のうち、同日のテーマとなった「15-1.身体的拘束を最小化する取組」と「15-2.診療科偏在対策」について意見を述べたほか、「5-3.廃用症候群リハビリテーション」について加筆を求めた。井川副会長の発言要旨は以下のとおり。

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身体的拘束を最小化する取組について

[井川誠一郎副会長]
 まず1点、確認させていただきたい。先ほど、クリップセンサーは「患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具」の範疇に入るという説明があった。
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04スライド_P17

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 しかし、抑制の一番の原則は個人の運動を抑制するというところから始まっているので、現場の皆さんは「クリップセンサーは該当しない」という認識でおられるのではないかと思っている。

 例えば、足下に置いたマットセンサーがOKで、背中に引いたマットが駄目という話になってしまうので、本人の動きを抑制しないようなセンサー類に関しては、私は今までOKだという認識でいたことを申し上げたい。
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05スライド_P19

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 19ページでは、「回復期リハビリテーション病棟、療養病棟、障害者施設等入院基本料では身体的拘束の実施率20%以上が3~4割を占めていた」としている。
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06スライド_P20

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 また、20ページでは「入院料別の身体的拘束の状況について、身体的拘束が行われている患者のうち「常時:手指・四肢・体幹抑制」の割合は治療室、地域包括医療病棟、療養病棟では約7割であった」と指摘している。この結果によると、「包括期・慢性期では、長い間ずっとやりっぱなしなんだな」という感じに見える。一方で、同じ入院料でも、拘束ゼロの医療機関も15%から20%ぐらいあることが同時に示されている。

 私見だが、トップダウンで一気に拘束ゼロという形にもっていけた施設はそのまま維持できて、拘束ゼロのままいける。一方で、「できるだけ減らしましょう」と皆さんの意見を聞きながら、看護師の意見を聞きながら、という形で少しずつ減らして、という形ですすめている施設というのは、なかなかゼロにならないというのが現状だろうと私は思っている。

 そういう意味で言うと、できていない施設に話を聞くと、0%の施設は「患者層が違うんだよ」と言って、「われわれの施設じゃ無理なんだよ」という話になる。ぜひ、0%の施設と、それ以外の施設、20%を超えるような施設の患者の病態や認知症の度合いなど、そういうものを一度調べていただいて、それが同等のものなのかどうなのかという調査は必要ではないかと思っている。その上で、当然、年齢分布などもそうだが、その違いを把握していただければ、今後、身体的な抑制、拘束が減っていく一助になるのではないかと思う。

【厚労省担当者の発言要旨】
 クリップセンサーの仕組みについて、運動の抑制があるかなど、さまざまなことも考えられるかもしれないので、もう少し整理が必要かどうかについて、また検討させていただきたいと思っている。

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診療科偏在対策について

 76ページ以降、外科の医師数に関するデータとあわせて、今後、一般外科・消化器外科医が減少してくることが非常に問題になるというデータが示された。
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07スライド_P76

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08スライド_P77

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 その原因の1つとして、81ページに時間外労働の多さについて、82ページに「ライフワークバランスの確保」の困難が大きな課題であると報告いただいた。
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09スライド_P81

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10スライド_P82

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 確かに、そのとおりだと思うが、私は82ページで、全体との比というものに注目した。「ライフワークバランスの確保」の困難は全体と比べると約2.3倍。その次にあるのが「医師が不足しており過酷なイメージがあるから」で、これが2.4倍ぐらいある。

 何よりも多いのは、「出産・育児・教育体制が十分でないから」という回答で、これが2.8倍ある。女性の外科医数がもともと少ないので、N数は絶対に増えないので、この差は非常に大きな意味を持ってくるのではないかと思う。

 昨年、医政局が開催した「第7回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」において、日本消化器外科学会理事長の調憲先生が参考人として発言された。
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11スライド_調資料P7

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 そのときに、調先生は「女性会員自体は全体の7%ではあるが、会員数は増加している。2015年から36%の増加を認めている」とし、また「年齢が若いほど女性の割合が高く、30歳未満では20%を超えている。したがって、日本消化器科外科学会にとって女性消化器外科医の支援は非常に重要な課題と考えている」と述べている。
 
 今申し上げた30才未満というのは、今の研修制度でいえば、外科医になりたての方々ということで、そういう方々が20%を超えて活躍されようとしている。先ほど津留委員がおっしゃったように、医学部入学者の3分の1以上が既に女性であるという状況を考えれば、今後、女性の消化器外科医として活躍する場をつくっていかなければ、当然、消化器外科医の数は減ってくる。そういう視点からの取組は、津留委員がおっしゃるように必要であると私も思っている。

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中間とりまとめ(案)について

 17ページ、「5-3.廃用症候群リハビリテーションについて」の項目の2番目の丸に「運動器リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料において、7単位/日以上の提供では FIM 利得が比較的小さかった。」という記載がある。
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12スライド_廃用リハ

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 次のページに、「分科会での評価・分析に関する意見」として、「廃用症候群リハビリテーション料について、7単位以上で FIM 利得が小さくなる傾向が認められたことや、かなり多くの廃用症候群リハビリテーションを実施している施設があることを踏まえると、疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数のあり方についても検討する必要があるのではないかとの意見があった。」と書かれている。
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13スライド_廃用リハ意見

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 確かに、そういう意見があった。これは6月13日の令和7年度第3回の分科会の議論だと思うが、私はそのとき、運動器も廃用もいずれも脳外科に比べて傾きは小さいが、確実に増加していること、6単位と9単位の間には2から3点という点数差があって、その点数差はかなり大きい意味を持つと発言させていただいた。
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14スライド_提供単位数別のFIM利得

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 同時に、これはDPCデータからのデータなので、廃用症候群のn数から言えば1万単位。運動器にいたっては4万、5万という単位で、1上がって箱ひげ図が書かれている。SDがわからないので断言はできないが、有意差が出てくるのではないか。有意差があるものに対して、差が変わらないから、そこのところをやらなくてもいいよという議論になってくるのはいかがなものかと私は思っている。ぜひ、その他の反対意見に関しても一緒に記載しておいていただきたい。

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