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医療介護連携のICT・DXを重点的に ── 介護保険部会で橋本会長

Posted By araihiro On 2025年7月29日 @ 11:11 AM In 会長メッセージ,協会の活動等,審議会 | No Comments

 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の報告書などを踏まえて意見を交わした厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の橋本康子会長は人材確保・生産性向上の項目に挙げられた「テクノロジー」に触れながら、「今後、テクノロジーやICT・DXなどを進めていくならば、医療介護連携におけるICT・DXをもっと重点的に考えるべき」と指摘した。

 厚労省は7月28日、社会保障審議会(社保審)介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事・法学学術院教授)の第123回会合を開催し、当会から橋本会長が委員として出席した。
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01スライド_議題

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 この日の議題は3項目。「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(座長=野口晴子・早稲田大学政治経済学術院教授)が7月25日付けでまとめた最終報告書や自治体担当者らの報告などを踏まえて議論した。

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人材確保プラットフォーム機能の充実などを追記

 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会は、高齢者等に関する施策や他の福祉サービスも含めた共通の課題等の検討を行うため、今年1月9日に初会合を開催。その後、4月10日に「中間とりまとめ」を公表し、7月24日の第9回会合で最終的な「とりまとめ(案)」を大筋で了承した。

 介護保険部会では、4月の「中間とりまとめ」に示された3つの方向性について、5月19日と6月2日に議論。今回公表された最終報告書では、新たに(4)福祉サービス共通課題への対応(分野を超えた連携促進)などが加わった。
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02スライド_最終とりまとめ

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 この日の部会で、厚労省老健局総務課の江口満課長は「中間とりまとめをベースに、障害福祉、子ども分野の内容を含め、福祉サービスの共通課題に係る対応の方向性を追記した」と説明。新たな項目(4)について、「社会福祉連携推進法人の活用を促進するための要件緩和、地域の実情に応じた既存施設の有効活用、人材確保等に係るプラットフォーム機能の充実などが示されている」と伝えた。

 その上で、江口課長は「これらの点の多くは今後、社会保障審議会福祉部会などで制度改正に向けてご議論いただくことになると考えているが、本部会においても適宜、その検討状況をご報告しつつ、ご議論いただきたいと考えている」と述べた。

 続いて、同検討会の座長を務めた野口部会長代理が関係者に謝意を示した上で、「この検討会は今までになかった議論」と評価し、次のように述べた。

【野口晴子部会長代理の発言要旨】
 (前略)皆さまに改めて深く感謝する。この検討会は、今までになかったことだと思うが、地域共生に向けてのサービス、地域包括ケアシステムを深化させるというコンテクストのもとで、介護、障害福祉、子どもの福祉分野、人的資本の蓄積、教育の部分まで視野に入れたサービス提供のあり方について9回にわたって1月から議論を重ねてきた。
 地域によって全く実情が違うため、地域に合わせた柔軟な対応の検討、具体的には配置基準等の弾力化、包括的な評価の仕組み、そうしたものを実装するための社会福祉連携推進法人の活用などについて、2040年に向けて大胆に皆さまと議論し、ロードマップを書かせていただいた。
 社会保障の負担に対する国民の理解が得られにくい中で、地域共生社会の実現に向けた質の良いサービスをいかに提供できるか。今後、社会保障審議会介護保険部会と福祉部会において議論いただきたい。
 検討会では、最後に構成員の皆さまから「厚生労働省だけではなく、さまざまな省庁に関わるイシューが含まれているので、省庁を越えた議論に発展し、こうしたロードマップに従って緊急に対応していただくことを期待している」という意見が多かったことをお伝えしたい。このロードマップ実現のために、制度に落とし込んでいくところで、皆さまの議論を大いに期待する。

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テクノロジーやICT、「進んでいるのか」

 質疑で、伊藤悦郎委員(健康保険組合連合会常務理事)は「この取りまとめの方向性、考え方について異論はない」としながらも、「地域ごとのサービス需要の変化等に対応して、介護サービスをどう維持・確保していくか」と指摘。「制度の持続可能性を確保していくため、介護サービスを支える負担をどうしていくかという大前提の問題もある。制度を支えている現役世代の負担軽減という観点も含めて、より踏み込んだ給付と負担の見直しについても今後、検討していただきたい」と述べた。

 石田路子委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長)は、4つの方向性のうち、(2)の「人材確保・生産性向上・経営支援等」の項目に言及。「人材確保や生産性向上などで『テクノロジーの導入』というのが、いつも当たり前のように書かれている。ICTへの促進という言葉もあるが、実際に、これがどのぐらいまで進んでいるのかがよく見えない」と指摘した。
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03スライド_(2)人材確保・生産性向上・経営支援等

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 その上で、石田委員はICTをめぐる最近の開発状況などを紹介。「まだスタートラインに立っている段階ではないか。ICTの活用をいくら述べていても、実際の現場で、どのぐらい反映されているのかがわかりにくい」と苦言を呈し、「もう少し掘り下げた実態調査などをしていただき、その方向性を見たい」と述べた。
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04スライド_(3)地域包括ケアシステム、医療介護連携等

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 こうした意見を踏まえ、橋本会長が発言。(3)の「地域包括ケアシステム、医療介護連携等」の項目に言及し、「テクノロジーやICT・DXなどを進めていくならば、医療介護連携におけるICT・DXをもっと重点的に考えるべき」と述べた。
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05スライド_介護人材確保プラットフォーム

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 橋本会長はまた、(4)福祉サービス共通課題への対応に挙げられた「人材確保等に係るプラットフォーム機能の充実」について、同日のヒアリングを踏まえて意見を述べた。橋本会長の発言要旨は以下のとおり。

■ 医療介護連携等について
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【橋本康子会長】
 先ほどの石田委員のご発言について、確かにおっしゃるとおりだと思う。(3)には、「地域包括ケアシステム、医療介護連携等」と書かれている。今後、テクノロジーやICT・DXなどを進めていくならば、医療介護連携におけるICT・DXをもっと重点的に考えるべきではないか。
 例えば、医療分野ではマイナ保険証を今年中に導入するように取り組んでいるが、介護保険情報との連携はどうか。マイナ保険証には薬剤情報など、いろいろな情報が入っているが、介護保険の時期に、どんなサービスを受けたかという情報は一切入っていない。医療・介護の情報が分断してしまうのはいかがなものかと思うので、今から進めていくのであれば、必要な情報をマイナ保険証の中に入れるか、介護保険証に入れることなどを考えていかなければならないと思う。

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【菊池馨実部会長】
 今の橋本委員の意見との関係で、先週の障害者部会でも議論したので情報提供させていただく。橋本委員の発言に重なるが、地域における連携を通じたサービス提供体制の確保については「介護、障害、子ども」というが、医療と保健、ヘルスの視点がなければ真の意味の地域共生社会と言えないのではないかという意見が複数出ていた。その点では、医療法等改正法案の地域医療構想では、介護との連携までは入ってきた。
 私からは、厚労省の中でも問題意識としては大いにあると思われるので、そのあたりをしっかり見ていく必要があると申し上げた。この介護保険部会の課題でもあるが、医政局から、ぜひ法案についてのお話を伺わせていただきたいとお願いしているので、また日を改めてお願いできればと思っている。

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■ 人材確保等に係るプラットフォームについて
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【橋本康子会長】
 長崎県の担当者から離島の説明をいただいた。離島の場合にはすごくわかりやすいが、中山間・人口減少地域についてはどうか。中山間・人口減少地域の定義がきちんとなされているのかをお聞きしたい。
 次に、「人材確保等に係るプラットフォーム機能の充実」について。確かに、ネットワークをつくっていくことは必要だと思うが、ネットワークをつくって取り組むとすれば、核となるのは何か。責任を誰が持つのか。みんなで一緒にやって、みんなで話し合ってやっていきましょうというのでは追いつかないぐらい人員不足だ。核となる上で一番適切なのはハローワークかなと思う。しかし、ハローワークなどが核になっても、来るのを待っているだけでは駄目だと思う。例えば、先ほど紹介があったように、オープンキャンパスにするとか、人材を生み出したり発掘したりする営業活動なども必要だと思う。それをするのであれば、どこかが核になっていく、どこかが責任を持ってやっていくことも必要で、そういうところをもう少し明らかにしたほうがいいのではないか。
 また、人を集めたらそれで終わりというわけではなくて、教育や指導なども必要になる。そうしたことは事業所等が進めていかなければいけないが、最低限の教育指導も考えていかなければいけないと思う。

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【厚労省担当者】
 地域分類の件については、今後、この介護保険部会において、事務局から資料を示しながら、ご議論いただきたいと考えている。

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