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「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」 出席のご報告

Posted By 日本慢性期医療協会 On 2012年5月11日 @ 9:52 PM In 審議会 | No Comments

 平成24年5月11日、厚生労働省において、「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」が開催され、当協会からは、副会長の清水紘先生が出席いたしました。清水紘先生は、当協会の介護保険委員会委員長を務めており、介護療養型医療施設が備える医療系介護保険施設としての役割と機能に強い信念を持たれています。

 介護職員の処遇改善については、本年2月に非公式会合として「意見交換会」が開催されましたが、今回は「懇談会」として開催され、16名の医療・介護・福祉関連団体の代表者や学識経験者による議論が公開されることになりました。

 懇談会の議題には、「介護プロフェッショナルのキャリア段位制度」、「認定介護福祉士(仮称)」、「ITの活用を通じた業務効率化」の3つが挙げられていました。

 「キャリア段位制度」とは、現場でOJT(オン ザ ジョブ トレーニング)を図りながら職業能力を向上させていくための仕組みで、本年秋からのスタートが予定されている内閣府の国家戦略です。介護分野に7段階のレベル認定を導入することによって、処遇や社会的評価の改善を図り、他産業からの労働者(とくに若い世代)の参入を促すことが目的とされています。

 意見交換の中で清水紘先生は、介護職員の処遇改善全般にわたり、次の6つの点について発言をいたしました。

 ①現行の制度では無資格者であっても介護職に就くことができるが、今後は有資格者に限っていくべきではないか。

 ②介護療養型医療施設には、介護職員のみならず看護職員も勤務している。そのため、看護職員の処遇改善を図ろうとすれば施設の持ち出しでカバーせざるを得ず、この点が介護療養型医療施設における処遇改善加算の申請率が低く留まっている要因だと思われる。2月の意見交換会の際に、宮島俊彦・老健局長から是非とも多く申請するようにとのお話しがあったが、加算はなぜ介護職員だけなのか、という思いが常に頭の中にある。

 ③平成18年の介護保険法改正により、主任介護支援専門員という資格が設けられたが、その存在意義はいまだ不明確である。認定介護福祉士(仮称)の創設にあたっては、是非とも将来的な位置づけを明確にしていただきたい。

 ④介護人材の確保には、行政とくに都道府県の協力が不可欠である。京都府では平成22年度より、介護福祉士資格取得支援講座を開催しており、大変好評である。

 ⑤次回改定では、介護職員処遇改善加算を基本報酬に組み込むということであるが、交付金や加算の際に求められていた要件の具備がどのように評価されるのかが不明である。基本報酬とする前に、交付金や加算による成果は明らかにされるべきであり、必要な差別化は正当に行われるべきであると考える。

 ⑥EPAに基づくフィリピン人介護福祉士も処遇改善加算の対象になるとのことであるが、人員としてカウントされるための要件が、「1年以上の滞在」および「日本語能力試験N2」となっており、ハードルとして高すぎるのではないか。また、地方分権一括法の施行によって都道府県から市町村に権限が移譲された余波を受けて、EPAの申請と報告とが同時期に重なることとなり、現場がとても混乱した。介護保険業務はただでさえ業務量が多いので、現場の負担軽減をもう少し考慮していただきたい。

 他の出席者からは、「キャリア段位制度において『アセッサー』(評価者)という用語が使用されているが、よりなじみやすい用語に置き換えるべきではないか」、「エビデンスに基づく介護は今後さらに求められるようになるので、認定介護福祉士(仮称)のカリキュラムをどのように考えていくかがとても重要である」などの発言がありました。
 また、「評価だけを先行させるのではなく、介護職に求められる役割を十分議論する必要があり、あわせて職業資格とのダブルスタンダードを解消していかなければならない」との指摘もありました。

 おわりに、藤田一枝・厚生労働大臣政務官より、「介護職員処遇改善の基本は、サービスの質の評価からはじまるということをあらためて認識した。地域包括ケアを企図した介護人材確保のグランドデザインをしっかりと構築していくために、引き続き皆様の貴重なご意見をお聴かせいただきたい」と述べられました。

 当日本慢性期医療協会ではすでに、介護福祉士を対象とした研修として「医療介護福祉士認定講座」を開催しており、チーム医療のレベルアップに最適な講座として大変注目を集めております。今後は、国が創設する「認定介護福祉士」(仮称)とどのようにリンクさせていくのかが検討課題になると思われます。

 「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」は継続して開かれる予定であり、当協会は慢性期医療の視点から意見を発信してまいります。
 
介護職員の処遇改善等に関する懇談会
 



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